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読書感想文2006 part 1

「読書感想文2006」 part1 も、新旧織り交ぜた作品になると思います。


 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  東京タワー (リリー フランキー著、扶桑社)   作品の紹介 

正式タイトルは「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。
福岡で生まれた著者は、3歳で両親が別居し、オカンと暮らし始める。高校は大分で
オカンの元を離れ、ひとり暮らし。そして、大学は東京の美大へ。 どうにか卒業し、
やっと人なみの生活ができるようになったころ、オカンとの東京での生活が始まる・・・。
そんな生活に、オトンが時々からんでくる。でも時々の割には存在感が大きい。
愛情にあふれた苦労人のオカン。ダメな息子。にぎやかな親戚のおばちゃんたち。
オカンを慕う著者の友だち。どこにでもありそうな風景。でも、これが小説として成立
したのは、文章力だけじゃない。エピソードの特殊性もあるが、全編を貫くオカンの愛、
それを痛いほど感じ、それに応えようともがく著者の姿が読む人の心を打つからだろう。
僕のオススメ度:8

コメント  宿命 (東野 圭吾著、講談社文庫)   作品の紹介 

三十すぎの刑事、勇作は、地元の会社社長の殺人事件をきっかけに、小学校のころから
ライバルであり宿命の敵だった晃彦に十年ぶりに再会する。 しかも、晃彦は、勇作の
かつての恋人、美佐子を妻にしていた。 勇作は、晃彦を犯人として疑う。 そして、彼との
結婚生活に限界を感じていた美佐子も勇作の捜査に協力するが・・・・・・。
勇作と晃彦と美佐子、三人の運命を軸にしながら、三人の父親とその周辺人物の過去が
次々と明らかになるにつれて事件が核心に近づいていく。 謎解きやトリックというミステリー
の要素とは別に、二人の男の背負った宿命の描き方も秀逸。 最後の一行まで目を離せない。
僕のオススメ度:8

コメント  風の海 迷宮の岸〜十二国記〜 (小野 不由美著、講談社文庫)   作品の紹介 

この世と、虚海(と言う名の海)を隔てて存在する幻の世界。その世界には十二の国がある。
この世で生を受けた十歳の少年が、ある日、向こうの 世界に連れていかれる。
彼の本当の姿は、向こうの世界で生まれた神獣「麒麟(きりん)」だった。
麒麟は、国に一人しかいない存在。そして、天の命を受け、王を選び、一生、王に仕える運命。
彼は、女性の仙人たちに養育されながら、国王候補者 たちと対面することになるが・・・・・・。
という、ひとりの少年が一人前の麒麟に育つまでの 苦悩や葛藤、冒険を描いた物語。
「十二国記」シリーズの第二弾。 第一弾(「月の影 影の海」)を読んでいなくても、(読んで)
だいじょうぶです。  ジャンルで言えば、ファンタージー系のライトノベル ということになるん
だろうけど、なかなか骨太な話だと 思います。 個人的には、前作よりもおすすめ。
僕のオススメ度:8.5

コメント  東の海神 西の滄海〜十二国記〜 (小野 不由美著、講談社文庫)   作品の紹介 

「十二国記」シリーズの第三弾。 今回は雁(えん)という国が舞台。
ともに現世からやって来た延王・尚隆と麒麟(延麒:えんき)の六太。 ある日、六太は、昔なじみの
更夜(こうや)の誘いで城外に出るが、拉致されてしまう。 六太を人質にとり、クーデターを企てる
反乱軍。 一方、六太を救出すべく、単身、動き回る王の尚隆。 やがて、ふたつの軍が対峙し・・・・・・。
前二作とはうってかわって、一見、何の使命感もないように見える、ちゃらんぽらんな二人(尚隆と六太)
が主人公。 ところが、この二人。 やるときはやるのです。 そのギャップと、六太救出のスリリングな
展開がみどころ。 僕のオススメ度:8

コメント  黒祠(こくし)の島 (小野 不由美著、祥伝社)   作品の紹介 

消息を立った友人のノンフィクション作家を追って、調査員の式部は九州北西の離島に向かう。
そこは、島独自の信仰が強く根付く、世間とは隔絶された島だった。 案の定、調査に非協力的な
島民たち。 そんな矢先、彼の友人が死体で発見されたという話を、島の医師から聞く・・・。
これでもか、これでもかと次々と容疑者を変えていく展開。 世間の評価は高いけど、僕は正直
言って、読むのが疲れたかも・・・。
文庫版も発売されました。 『2002本格ミステリーベスト10』本格ミステリー 3位。
『ダ・ヴィンチ』Book of The Year ミステリー部門 4位。 僕のオススメ度:7

コメント  ブレイブ・ストーリー(上・下) (宮部 みゆき著、角川書店) コメント(上) コメント(下)   作品の紹介 

11歳の少年、ワタルは離婚寸前の両親のことで悲しんでいた。 ある日、彼は、現世の人々が
想像力で創り上げた世界「幻界(ヴィジョン)」へ旅立つ。 自らの運命を変えるために。 
幻界でワタルを待ち受けていたものは、苦難の旅だった。 彼は勇者の剣を手に「運命の搭」を
めざす・・・・・・。  上下巻合わせて1,300ページを超える大作ファンタジー小説。
ワタルの勇気と成長のストーリー。 RPGみたいな世界が舞台。 たまには、大人も、こういう
作品をすなおな心で読んでみるのもいいと思う。 僕のオススメ度:8

コメント  スパイク (松尾 由美著、光文社文庫)   作品の紹介 

ある日、下北沢の街角でうりふたつのビーグル犬(名前も同じ"スパイク")を連れた28歳の男女
(幹夫と緑)がぶつかりそうになる。 そのことがきっかけでお茶を飲み、一週間後の再会を約束
する二人。 けれども、一週間後、幹夫は約束の場所に現れなかった。 がっかりしている緑に
愛犬スパイクが突然、人間のことばで話しかける。 自分はパラレルワールドから来た幹夫の
スパイクであることを・・・・・・。 物語の設定としてはSFで、ミステリーや恋愛の要素も入っている
けど、人間の「運命」というテーマが全編に流れている。 ラストは、せつなかったけど、やっぱり、
納得させられました。 僕のオススメ度:7.5

コメント  砂漠 (伊坂 幸太郎著、実業之日本社)   作品の紹介 

仙台の大学生5人を取り巻く犯罪、超能力、恋愛、麻雀を描いた物語。 タイトルにもなっている
「砂漠」は、卒業後に待ち構えている「社会」をたとえたもの。 主人公のひとりが叫ぶ「その気に
なれば、砂漠に雪だって降らすことができる」ということばが心地いい。 ミステリーの要素も出て
くるけど、今回は学生生活をベースにした↑のテーマの掘り下げに重点が置かれている感じ。
そして、さまざまな要素が物語のラストで一気に結びつく構成や、ちょっとした「だまし絵」みたいな
伊坂作品の魅力である手法も健在。 僕のオススメ度:9

コメント  博士の愛した数式 (小川 洋子著、新潮文庫)   作品の紹介 

80分しか記憶が持たない64歳の元・数学者。 彼のもとに30歳前の家政婦が派遣される。
最初は戸惑いながらも、徐々に打ち解けていく二人。 やがて、彼女の10歳になる息子が
その輪に加わり、数学と阪神タイガース(とりわけ、大投手 江夏 豊)の話題を交えながら、
三人のつながりが深まっていく・・・・・・。
小川 洋子さんの描く世界観はいつも独特で、静謐。 だけど、目に見えないオーラを感じる。
僕は、登場人物がみんな慎み深くて、相手を思いやることにいっしょうけんめいな姿が
この作品の大きな魅力だと思います。 あたたかくて、やわらかい秀作。
本屋さんの店員が選ぶ「第一回本屋大賞」第一位。 僕のオススメ度:9

コメント  ぼくのキャノン (池上 永一著、文藝春秋)   作品の紹介 

沖縄のとある村。 その村は、戦時中に設置された大砲(キャノン砲)を祀り、巫女の老婆を
中心に秘密結社が支配する一風変わった村だが、村人たちは、村の豊かさのおかげで、誰一人
不満を言う者はない。 しかし、村の豊かさには、とんでもない秘密が隠されていた・・・。
物語の舞台、村の秘密、登場人物のキャラクター、どれも一級品。 ミステリーの要素あり、
ユーモアたっぷりで、最後まで飽きさせないお話でした。 僕のオススメ度:8.5

コメント  クロノス・ジョウンターの伝説 (梶尾 真治著、朝日ソノラマ)   作品の紹介 

クロノス・ジョウンターというのは、20世紀末に、ある企業が開発したタイムマシンの名前。
しかし、このタイムマシンは過去にしか行けず、しかも(過去での)滞在時間に限りがある。
そして、帰り着く先は、元いた時代ではなく、未来。
この本には、そんなタイムマシンに乗って、時を越えた恋人たちのラブストーリーが三篇
収められています。 初デートを前にした女性の命を救うために何度も過去に遡る男の話。
限られた滞在時間の中で、過去の時代の女性と恋に落ちる男の話。 そして、子どものころ
憧れていた男性の命を救うために、過去に遡る女性の話。
どれもハッピーエンドなので、読んでいて気持ちがいい。 ちょっと甘すぎるかな、とも
思うけど、僕はこういう話きらいじゃない。 たまには、ロマンティックな純愛ものに
こころを預けるのも悪くない。 僕のオススメ度:8.5

コメント  アヒルと鴨のコインロッカー (伊坂 幸太郎著、東京創元社)   作品の紹介 

大学入学とともにアパートを借りた椎名は、いきなり、隣の部屋の河崎に本屋襲撃を手伝うように
頼まれる。 無事、本屋から辞書を盗み出すのだが・・・。
一方、二年前、ペットショップの店員、琴美は、同棲相手のブータン人、ドルジとともに、ペット殺しの
犯人に偶然、遭遇してしまう。 琴美は河崎の元彼女だった。
物語は、現在の椎名と河崎の話。 そして、2年前の琴美とドルジと河崎の話。 この2つの話を
交互に展開させながら進んでいきます。 そして、ある偶然から、現在の椎名が2年前の話の
結末に巻き込まれ、2つの話がつながるわけです。
ちょっとした、だまし絵みたいなしかけが埋め込まれていて、後半で「ええ〜っ」と声をあげるつくり。
物語のトーンは、いつもの伊坂 幸太郎風だけど、結末に救いがないと感じる人も多いかも。
第25回「吉川英治文学新人賞」受賞、「このミステリーがすごい! 2005年版」国内編 第2位、
2004年(第1回)本屋大賞 第3位、「週刊文春」2004年ミステリーベスト10 第4位。
↑という風に、世間的には評価の高かった作品です。 僕のオススメ度:8

コメント  ハードボイルド/ハードラック (吉本 ばなな著、幻冬舎文庫)   作品の紹介 

ハードボイルドな短編とハードラックな短編のふたつの物語を収録。
「ハードボイルド」は、同棲相手だった女性との思い出を振り返る、ある女性の一日の物語。
「ハードラック」は、昏睡状態に陥り、ただ死んでいく姉を思いながらの日々を過ごす女性のお話。
とは言え、どちらも暗い話ではなくて、希望がちゃんと見えるお話でした。 特に後者のお話は
個人的には、けっこうお気に入りかも。 僕のオススメ度:8

コメント  13階段 (高野 和明著、講談社文庫)   作品の紹介 

松山刑務所では、十年前の強盗殺人事件で死刑判決を受けた樹原(きはら)が収監されていた。
看守長で47歳の南郷は、弁護士からの依頼で、樹原の冤罪を晴らすべく、休暇をとり、事件現場で
ある千葉に向かう。 南郷が調査の相棒に選んだのは、傷害致死の罪で二年の刑期を終えた
ばかりの三上という27歳の青年だった。 三上は十年前、樹原が事件を起こした日、現場の近くで
彼女と家出中のところを補導されていた。 南郷は三上とともに、独自に事件の調査を始める。
南郷は自分の職業をいかして、徐々に事件の核心に近づいていくのだが・・・・・・。
いやあ、ほんとにおもしろかったです。 作者が張り巡らせた二重三重のしかけに踊らされる快感に
必ず酔いしれることができると思います。 事件の鍵となるしかけのディテールもよかった。
大満足の一作。 2001年「江戸川乱歩賞」受賞作。 僕のオススメ度:8.5

コメント  生首に聞いてみろ (法月 綸太郎著、角川書店)   作品の紹介 

彫刻家 川島 伊作が病死した後、アトリエに残されたのは、愛娘 江知佳の像。
これは、人体から直接、型をとる石膏像だった。 しかし、像の首の部分が何者かに切り取られ、
持ち去られる。 伊作の弟からの依頼を受け、名探偵、法月 綸太郎が捜査に乗り出すのだが・・・。
緻密なストーリー構成。 これでもかとたたみかけてくるような謎の数々。 500ページ弱の読み応え
のある長編です。 でも、ちょっと話が複雑で長いと思う人がいるかも?
とは言え、ミステリーファンには、いいんじゃないかな。
2004年度「このミステリーがすごい」国内編 第1位。 僕のオススメ度:8

コメント  99%の誘拐 (岡嶋 二人著、講談社文庫)   作品の紹介 

慎吾は5歳の時、何者かに誘拐される。 犯人は、彼の父が会社再建のために用意した全財産
5,000万円を身代金として要求。 慎吾は無事だったが、彼の父は、再建資金を失い、会社は
あるメーカーに吸収合併されてしまう。 8年後、父は他界。 さらに12年後、慎吾は、父の
会社を吸収した企業でエンジニアとして働いていた。 ある日、その企業の会長の孫が誘拐され、
慎吾が身代金を運搬する係として誘拐犯として指名される・・・・・・。
この小説が書かれたのは1988年。 しかし、犯罪の手口はひとりの犯人がPCとネットワークを
駆使する最先端の内容。 トリックもみごとながら、その先見性に脱帽でした。
1989年「吉川英治文学新人賞」受賞作。 僕のオススメ度:8

コメント  超・殺人事件 −推理作家の苦悩− (東野 圭吾著、新潮文庫)   作品の紹介 

ひとことで言えば、笑えるミステリー短編集です。 全部で8編収録。
サブタイトルにあるように、推理作家の執筆の苦悩を、シニカルに、ブラックに、おもしろおかしく
描いています。 たとえば、税金対策のために小説のストーリーを変えちゃう作家の話。
たとえば、高齢化社会が行きつくところまで行っちゃって、ボケながらもミステリーを書き続ける
作家の話。などなど。 全部一風変わった作品ばかり。 僕のオススメ度:7.5

コメント  バッテリーW (あさの あつこ著、角川文庫)   作品の紹介 

もともとは児童文学として書かれたものの、大人を巻き込む250万部の大ヒットとなった「バッテリー」
の第4巻。 いよいよ主人公の天才ピッチャー、巧が大活躍か!と思いきや、練習試合で強豪校に
打ち込まれ、豪とのバッテリー崩壊の危機を描いたのが、この第4巻。 ちょっとイライラ、ソワソワ
するけど、改めて、巧と豪の精神的なつながりをていねいに描き出した内容。
本作のT〜Vに関しては「読書感想文2005 part 2」をご参照ください。 僕のオススメ度:7.5

コメント  同じ月を見ている (杉江 松恋著、小学館文庫)   作品の紹介 

原作は「ヤングサンデー」の土田 世紀さんのマンガ。 2005年11月には、窪塚 洋介主演で
映画にもなりました。 この作品は、映画の小説版ではなく、オリジナルのお話。
大学のクラブのOGであるエミに恋した都築 一平。 しかし、エミには婚約者がいた。
ある日、一平は、エミが携帯電話やメールでいやがらせをされていることを知り・・・。
ミステリーの要素をからめた恋愛小説です。 「同じ月を見ている」というタイトルと
その意味はよかったのだけど、内容はイマイチ薄味な感じがしました。 原作のマンガは
おもしろいらしいのだけど・・・。  僕のオススメ度:6.5

コメント  落下する夕方 (江國 香織著、角川文庫)   作品の紹介 

梨果は31歳。 8年間同棲した健吾から、ある日突然別れを切り出される。
二人の部屋から出て行く健吾。 しかし、梨果と健吾が別れる理由になった華子が
梨果と二人で同居生活を始めることに。 健吾は華子に夢中だが、華子は健吾に
それほどの興味を示さない。 とは言え、三人のふしぎな関係が続いていく・・・。
なあんだか、ふしぎなシチュエーションのお話でした。 話全体は暗くはないのだけど、
よく考えると、誰も幸せな人が出てこない話かもしれない。なんてことに気づきました。
江國さんファンにはおすすめです。 僕のオススメ度:7.5

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