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読書感想文2005 part 6
「読書感想文2005」 part6 は、新旧作品が混在したブックレビューです。
↓ Click NOVEL mark !
光の帝国 常野(とこの)物語 (恩田 陸著、集英社文庫)
作品の紹介
表題作を含む全10編の短編集。 宮城県の山奥にひっそりと暮らしていた常野(とこの)一族のお話。
常野一族は、遠くのできごとを知る力、未来のことを知る力など特別な能力を持つ人々。
権力を望まず、市井の中でひっそりと暮らすことを常としてきたが・・・・・・。
10編の物語は、戦時中から現代を描いています。ひとつひとつは、常野一族のひとり、または、
家族にスポットをあてて描かれた独立したお話ですが、つながっています。
全編をつらぬく世界観は、人が人を想う、真摯なこころ。そして、こころとこころのつながり。
その想いが時間と空間を越えてつながるさまは、ほんとうに美しい。じわーっと泣ける作品です。
僕のオススメ度:9
蒲公英(たんぽぽ)草紙 常野(とこの)物語 (恩田 陸著、集英社)
作品の紹介
↑の「光の帝国」の姉妹作で、「常野物語」シリーズの第二作。
20世紀を迎えた頃のお話。 宮城県のある村に、常野(とこの)一族の家族がやって来た。
常野一族は、人間が古来備えていたさまざまなふしぎな力を持つ一族。 村にやって来た
一族は人の記憶をそのまままるごと記憶するという能力を有していた。
物語は、医者の娘、峰子を語り部として、村の実力者の娘、聡子との友情、常野の家族
との交流を軸に進んでいきます。 物語のクライマックスは、決して明るい話ではないけど、
人の心の一途さ、美しさを強く描き、読み手の心が救われる一級品に仕上がっています。
僕のオススメ度:8.5
深紅 (野沢 尚著、講談社文庫)
作品の紹介
奏子(かなこ)が小学校の修学旅行に出かけている間、彼女の両親と幼い弟二人が惨殺される。
犯人は、彼女の父にだまされたことを恨みに思い、凶行に至った。 奏子が大学に進学後、犯人の
死刑が確定する。 その直後、彼女はあるルポをきっかけに、自分と同じ歳の、犯人の娘、未歩に
興味を抱く。 そして、偽名を使い、未歩に近づき、友だちになるが・・・・・・。
最初は、犯人の残虐性を描いたかと思うと、次に一転して、奏子の父の暗部を描く。 この対比は
ほんとに圧巻でした。 そして、会うはずのなかった被害者の娘と加害者の娘が接近し、思わぬ展開に
続く後半も、読み応えがあります。 発想の勝利とも呼べる作品。 ミステリー好きでなくても、読める
一作だと思います。 2001年度「吉川栄治文学新人賞」受賞。 僕のオススメ度:8.5
どちらかが彼女を殺した (東野 圭吾著、講談社文庫)
作品の紹介
和泉 園子という独身女性が殺された。 発見者は被害者の兄、康正。 彼は愛知県警に勤務する
警察官だった。 康正は、妹の死が自殺に見せかけた他殺であることを見抜き、警察に連絡する前に
犯行の証拠になりそうなものを自分で収集する。 そして、犯人への復讐のため、一人で捜査を始めるが、
加賀という刑事だけは、自殺を疑い、康正と平行して事件を追う。 やがて、康正も、加賀も、容疑者を
二人に絞り込む。 一人は、園子の元恋人。 もう一人は、園子の友人で、園子から恋人を奪った女性
だった。 康正と加賀は、容疑者二人に相対し、そして・・・・・・。
物語の中では、事件は解決します。 しかし、犯人の名前は書かれていません。 この小説は、読者に
犯人を考えさせる、というスタイルをとっているのです。 容疑者は二人なのですが、もちろん、かんたん
には犯人がわからないように書かれています。 犯人がわからない人のために、この本の巻末には、
ごていねいにも「推理の手引き」という袋とじまでついていました。 とは言え、この解説の中でも、犯人の
名前は書かれていないのですけどね(笑)。 僕ですか? 僕は、なんとか犯人がわかりましたけど。
という、ちょっと変わったミステリーです。 僕のオススメ度:8.5
秘密 (東野 圭吾著、文春文庫)
作品の紹介
平介は39歳。3つ年下の妻、直子、5年生の娘、藻奈美と幸せに暮らしてきた。しかし、直子と藻奈美を
乗せたバスが崖から転落。直子は命を落とす。そして、奇跡的に助かった藻奈美の身体には直子の魂が
宿っていた。戸惑いながらも、平介は、娘の身体を借りた妻との暮らしを始める。そして・・・・・・。
読み進むうちに「秘密」って、いいタイトル、よくできたタイトルだなあと思った。夫の秘密、妻の秘密。
そして事故を起こしたバスの運転手の秘密。さまざまな人の数々の秘密が物語を紡いでいく。
物語は事故から15年後までを描いているが、最後までせつなさがいっぱい詰まった作品だった。
男のせつなさ、女のせつなさ。どちらもみごとに描いている。けれど、男と女の感じ方が違う作品だとも思う。
「本の雑誌」が選ぶ「98年度ベスト10」第3位。 僕のオススメ度:8.5
ハサミ男 (殊能(しゅのう) 将之著、講談社文庫)
作品の紹介
首都圏の女子高生を殺害し、死体の首にハサミを突き刺す猟奇殺人犯、ハサミ男。
ところが、ハサミ男が第三の犠牲に選んだ少女を別の犯人が同じ手口で殺害してしまう。
たまたま、その少女の周辺を調べていたハサミ男自身が第一発見者となり・・・・・・。
じゃ、真犯人は誰なのか?という感じで、その後のストーリーは進んでいくわけですが、
小説全体が「だまし絵」みたいになっていて、後半で「あれ〜」と声をあげてしまいました。
映像ではなく、小説ならではの構成。 読み応えありです。 なかなか一筋縄ではいかない
新感覚のミステリー。
99年のメフィスト賞受賞作にてデビュー作。 僕のオススメ度:8.5
黒い仏 (殊能(しゅのう) 将之著、講談社文庫)
作品の紹介
名探偵 石動(いするぎ) 戯作(ぎさく)は、ある日、ベンチャー企業の社長から福岡県の
寺に隠された秘宝の調査を依頼される。 時を同じくして、福岡市で身元不明の死体が
発見される。 一見、何の関係もないように見えた調査と殺人事件が次第に繋がり合って行く・・・。
本の背表紙に「賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作」と書いてありました。
読み進んでも、「いったい何で?」と思っていたけど、後半になると、その意味が次第にわかってくる。
「ええ〜っ? 何ぃ〜? そんなのありぃ〜!」と叫ばずには、いられないでしょう(笑)。
この本を読む意味と楽しみは、ここにあるのではないでしょうか。 ほんと、ただ者ではない、かなり
変わったミステリー。 たまには、こういうのもいいかも? 僕のオススメ度:8.5
電子の星 池袋ウエストゲートパークW (石田 衣良著、文春文庫)
作品の紹介
大人気「池袋ウエストゲートパーク」シリーズの第4弾。 表題作を含む計4編を収録。
あいかわらず、安心して読めるし、おもしろいんだけど、今回はちょっとパワーダウンかも?
「池袋ウエストゲートパーク」T・U・Vの読書感想文は、「読書感想文2005(1)」をご参照
ください。 また、「池袋ウエストゲートパーク」の基礎知識に関しては「池袋ウエストゲートパーク
小説版 vs テレビ版」をご参照ください。 僕のオススメ度:8.5
劫尽童女(こうじんどうじょ) (恩田 陸著、光文社文庫)
作品の紹介
遺伝子操作の天才である父によって、超能力を与えられてしまった少女、遥(はるか)。
父と彼女は、アメリカ軍傘下の謎の組織「ZOO」に追われる日々を送っていた。 彼女が10歳のとき、
父が死に、遥は同じく遺伝子操作を受けた愛犬とともに父が託した組織に保護されるが・・・・・・。
話がどんどん展開し、しかもスケールが大きくなっていく。 そのへんはとてもよかったのだけど、
最後の終わり方が、個人的にはちょっと???な感じ。 とは言え、僕のオススメ度:8
六番目の小夜子 (恩田 陸著、新潮文庫)
作品の紹介
地方の進学校に津村 沙世子という転校生がやって来た。 その高校では、三年に一度「サヨコ」と
いう役割が一人の生徒に引き継がれ、秋の学園祭で「サヨコ」を題材にした劇が演じられる。
今年は六番目の「サヨコ」の年。 ところが、本来の「サヨコ」とは別に「サヨコ」がいるらしい。
本来の「サヨコ」は、早々に「サヨコ」の役を降り、別の生徒にその役を引き継いだが・・・・・・。
「サヨコ」の役割を引き継いだ生徒の真相探し。 そして、謎の転校生、沙世子の存在。
沙世子の名前は、単なる偶然に過ぎないのか? 次々と起こるふしぎな事件の結末は?
今や超売れっ子となった恩田 陸さんのデビュー作。 学園ミステリーとして、興味深く読める
作品に仕上がっています。 僕のオススメ度:8
コンセント (田口 ランディ著、幻冬舎文庫)
作品の紹介
ユキは30歳を目前のフリーライター。ある日、行方不明だった10歳違いの兄がアパートの部屋で
腐乱死体となって発見される。それ以来、死臭がかぎ分けられるようになってしまうユキ。
大学時代、不倫関係にあった心理学の教授を訪ねるが、兄の死因も死臭の原因もわからない。
やがて、大学時代の同級生でシャーマンを研究する律子、そして精神科医の山岸と再会し、
精神分裂だと思っていた兄のほんとうの思い、そしてユキ自身の秘密に近づいていく・・・。
これがデビュー作とは思えないドライブ感、そしてクオリティ。既成のジャンルにとらわれない
スタイルの作品だと思いました。結末がこれほど気になった小説は、ほんとに久しぶり。
「本の雑誌」が選ぶ年間ベスト10 : 2000年度 第3位。 僕のオススメ度:9
アンテナ (田口 ランディ著、幻冬舎文庫)
作品の紹介
祐一郎が8歳の時、6歳の妹、真利江が忽然と姿を消した。 それ以来15年間、祐一郎には弟が
生まれるが、父が死に、母が新興宗教にはまり込み、心休まる時間がなかった。
そして、14歳になった弟の祐弥が発作を起こし、精神病院に入院する。 祐弥は、真利江と交信
できると言う。 一方、祐一郎は、SMの女王、ナオミと出会い、変容を遂げていく・・・・・・。
上記の「コンセント」の姉妹作。 「コンセント」に続き、すごい作風です。 ジャンルなんて
関係ない、すごい小説。 スピリチュアル & 哲学 てんこ盛り。 ある意味、イッちゃってます。
だけど、おもしろい。 くせになる。 僕のオススメ度:8.5
モザイク (田口 ランディ著、幻冬舎文庫)
作品の紹介
佐藤ミミは、まもなく30歳。 精神病の疑いのある患者を説得し、精神病院に「移送」する
のをしごとにしている。 彼女は、ある日、正也という14歳の少年の移送のしごとを引き受ける。
ところが、移送途中、正也が失踪する。 ミミは正也を探して、渋谷の街に出かけるが・・・・・・。
「コンセント」、「アンテナ」に続く三部作の三作目(※三部作は、連続ものではありません)。
それにしても、すごい三部作でした。 これまで読んだことのない作風、内容だったので、三冊を
いっき読みしてしまいました。 スピリチャルな内容だけに、合う・合わないはあるかもしれない
けど、三冊まとめて、オススメです。 僕のオススメ度:8.5
魔王 (伊坂 幸太郎著、講談社)
作品の紹介
2005年10月発売の伊坂 幸太郎 最新作。
カリスマ性の強い若手政治家、犬養の出現により、日本は徐々に愛国心に目覚め、全体主義の
思想が人々の心に広がっていく。 そんな中、27歳の会社員、安藤は、近くにいる人間の発言を
自由にコントロールする超能力があることに気づく。 ある日、彼は犬養の街頭演説の会場に
出向き、犬養の言葉を変えようとするが・・・・・・。
前半が安藤のお話。 そして、後半が、別の能力を持った安藤の弟のお話です。
弟は兄とは違った能力、そして方法で、世界に立ち向かおうとします。
いつもの(伊坂作品の)ように、ちょっとふしぎな設定と世界観。 伊坂ファンには、おすすめ。
それにしても、伊坂さんは、エピソードや雑学をストーリーに組み込むことの天才だと思う。
僕のオススメ度:8.5
死神の精度 (伊坂 幸太郎著、文藝春秋)
作品の紹介
2005年8月発売。 表題作を含む短編6編を収録。
死を1週間後に控えた人間のもとに訪れる一人の死神。彼はさまざまなタイプの人間に姿を変え、
一週間、ひとりの人間を調査する。その人が、予定通り、死ぬべきか、死を見送るべきか・・・。
主人公の死神が対峙する人間は、死を目前に控えて、いろんなシチュエーションに向き合っている。
恋愛。ヤクザ同士の抗争。殺人事件。などなど。 ひとりひとりに違う人生があるように、違う最期が
用意されているんだな、と考えさせられる。 とは言え、話がシリアスになりすぎないのは、作者が
生み出した、一見クールで、でも、天然で、ほんとはやさしい死神のキャラによるものだと思う。
全体的にミステリー色は軽めでした。 僕のオススメ度:8
陽気なギャングが地球を回す (伊坂 幸太郎著、祥伝社)
作品の紹介
公務員と喫茶店マスターは37歳。高校の同級生。 20歳の若者はスリの達人。 中学生の息子を持つ
シングルマザーは、正確無比の体内時計を持っている。 こんな4人がふとしたきっかけで銀行強盗を
はじめた。 今回も、あざやかな手口で無事、現金の奪取に成功。 ところが、逃走途中、現金輸送車
襲撃犯の車とはちあわせして・・・・・・。
ストーリーのテンポがいい。 会話もウィットたっぷり、それでいておかしい。伏線の張り方も、おしゃれで、
ちょうどいい感じ。 おそらく、いちばん気軽に読める伊坂作品。 僕のオススメ度:8.5
暗いところで待ち合わせ (乙一(おついち)著、幻冬舎文庫)
作品の紹介
駅のホームから線路に若い男が落ちて死んだ。警察は、現場から逃げ去った男、大石を追う。
大石が逃げ込んだのは、駅のすぐ近くの一軒屋。 その家では、目の見えない女性、ミチルがひとりで
暮らしていた。 大石は、ミチルに気づかれないよう、音をたてずに同居生活を始める・・・・・・。
とは言え、大石はミチルを脅すわけでもなく、彼女に話しかけるわけでもなく、ただただじっとしている
わけです。 こんなふうに、会話のないストーリーが、緊張の中で、たんたんと進んでいくのです。
主人公の二人が会話を交わさないというユニークな設定 & 展開がよかった。 僕のオススメ度:8
ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ (滝本 竜彦著、角川文庫)
作品の紹介
夜ごと街に現れるチェーンソー男に立ち向かう高1の美少女、雪崎 絵里。 そして、たまたま闘いの場に
遭遇し、絵里を サポートすることになる高2の山本 陽介。 物語は、絵里 vs チェーンソー男の闘いを見守る
陽介を ストーリーテラーにして、陽介の同級生との友情を 織り交ぜながら進んでいく。
まったくありえない設定で話がすっと始まる。 でも、ま、いいか、みたいな感じで読み進む。
で、ま、いいか、みたいな感じで話が終わる。 もちろん、話の中には、いろいろ考えるべきことが書かれている。
けれど、あんまり難しいこと考えすぎないで、自由に読んでほしいお話。
「本の雑誌」が選ぶ「2004年度文庫ベスト10」第5位。 僕のオススメ度:8
しゃべれども しゃべれども (佐藤 多佳子著、新潮文庫)
作品の紹介
今昔亭三つ葉。 26歳の噺家(落語家)。 前座のひとつ上の「二つ目」。 まだまだ精進中。
そんな三つ葉のもとに、まわりとうまくコミュニケーションできない人間が集まってくる。
テニスコーチの従兄弟。 ぶっきらぼうな若い女性。 いじめにあっている小学生。 そして元プロ野球選手の中年。
三つ葉は、彼らに落語を教え始めるのだが・・・・・・。 何か、せつなくて、あったかくて、泣かせて、笑わせて。
読後感がほんとにさわやかな作品。
「本の雑誌」が選ぶ「1997年度ベスト10」第1位。 僕のオススメ度:8.5
月の影 影の海(上)(下) (小野 不由美著、講談社文庫)
(上)
(下)
作品の紹介
平凡な高校生生活を送っていた陽子は、ある日、ケイキと名乗る男に連れられ、もうひとつの世界に
たどりつく。そこは陽子の暮らしていた世界とはまったく違う世界。 いきなり妖獣たちの襲撃を受け、
守ってくれるはずのケイキや守護獣たちともはぐれてしまう陽子。 もとの世界に戻りたいと願う陽子の
ケイキを探す苦難の旅が始まる・・・・・・。
壮大なファンタジー小説「十二国記」シリーズの序章とも言える作品。壮大なお話ではありますが、
世界観がきっちりと描かれているので、話が散漫にならず、ひじょうに読みやすい。物語が進むにつれて
明かされる、陽子の出生の秘密、もうひとつの世界に呼ばれた理由、ケイキの正体などなど、よく考え
られた構成だなあと、いたく感心しました。 僕のオススメ度:8
いまひとたびの (志水 辰夫著、新潮文庫)
作品の紹介
著者の志水 辰夫さんは、どちらかと言うとハードボイルド作家というイメージが
強いのだけど、この作品は定年前の男の物語を9編納めた短編集です。
全編を貫いているのは、死。 とは言え、暗いトーンではなく、抜群の自然描写を
交えながら描いた上質の作品集です。 自分の死と向き合いながら、静かにその日の
準備を始める男。 今は亡き初恋の女性の思い出を胸に、彼女の娘と出会う男の話。
死期を悟った叔母と最後のドライブをする男の話。 そんな男たちの物語です。
本作品は直木賞候補となった他、「日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞」を受賞。
僕のオススメ度:8(ただし、50歳以上の男性は「9」かも)
裂けて海峡 (志水 辰夫著、講談社文庫)
作品の紹介
愛する女性を守るためにヤクザを殺し、二年の懲役刑を受けた長尾。
しかし、彼が服役している間に、彼の経営する船会社の唯一の船が鹿児島県沖で
遭難し、七人の乗組員全員が死亡してしまう。 ふとしたきっかけから、船の事故原因に
不審を抱いた長尾は、独自に調査を始めるが、知ってはいけない真実を知ってしまう。
ミステリー色あり、冒険色あり、スムーズに読めるエンターテイメント作品に仕上がって
いると思います。 だけど、個人的には、ラストに共感できなかった。
書かれたのは20年以上前(1983年)。 僕のオススメ度:7.5
宮殿泥棒 (イーサン・ケイニン著、文春文庫)
作品の紹介
表題作を含む四編を収録した中篇小説集。 主人公がみんな優等生なんですよ。
そういう意味ではめずらしい作品だと思います。 四編のうち、三編が中年〜老人を主人公に
しています。 優等生が主人公なんだけど、エリートものではなくて、むしろ、優等生のこころの
弱さみたいなものが繊細に語られていました。
「本の雑誌」が選ぶ「2003年度おすすめ文庫ベスト10」第3位。 僕のオススメ度:8
逆光のメディチ (藤本 ひとみ著、新潮文庫)
作品の紹介
15世紀のイタリア、フィレンツェで栄華を極めたメディチ家の光と影を描いた作品。
メディチ家の長男 ロレンツォは容姿には恵まれないが、豪快な性格。いい仲間に恵まれている。
次男のジュリアーノは、絶世の美男子。 ある日、絵が好きな美少女、アンジェラは、偶然、
ジュリアーノに出会い、恋に落ちるが、ジュリアーノにはすでに恋人がいた。
一方、兄のロレンツォは、叔父のレオーネと次期当主の座を争っていた・・・・・・。
物語は、この後、教皇をも巻き込んだロレンツォとレオーネの壮絶な闘い、そして、ジュリアーノと
アンジェラの恋の行方を中心に、メディチ家の危機を描ききります。
ジュリアーノとアンジェラのじれったい恋よりも、ロレンツォの参謀、クールなアントニーノと
復讐の鬼と化したレオーネとの策謀の駆け引きが見もの。 僕のオススメ度:8
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