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読書感想文2005 part 5

「読書感想文2005」 part5 は、ふたたび、さまざまなジャンルの作品をお届けします。

 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  アジアンタムブルー (大崎 善生著、角川文庫)  作品の紹介

 アダルト雑誌の編集者 山崎は、SMの女王ユーカの紹介で葉子に出会う。 葉子は、水溜りに
写った風景や人しか撮らないカメラマン。 二人は恋に落ち、いっしょに暮らし始める。
 やがて、葉子は、山崎の雑誌の撮影を引き受け、山崎、ユーカとともにヨーロッパに旅立つ。
ところが、数年後、葉子が末期癌に侵されたことがわかり、二人は、かつてしごとで訪れた
フランスのニースへ向かう。 葉子はニースで死を迎える準備をする・・・。
 物語は、山崎と葉子の恋を軸に、山崎が彼女の死後に出会う女性との現在、そして、高校生の
時の先輩の女性、中学生のころ、心の傷になった事件の回想などを交錯させながら進んでいきます。
 前作であり名作「パイロットフィッシュ」と同じ主人公ですが、別の話として読んでも、さしつかえない
と思います。 両作品ともおすすめだけど、この作品だけ読んでもOK。
 物語の最初から葉子が死ぬとわかっているのに、読み進んでいくうちに心がどんどんせつなく
なっていきます。 葉子が、自分に誇りを与えてくれた山崎に感謝しながら死んでいくラストは
感涙です。 透明感のある文章もgood。 僕のオススメ度:9

コメント  サヨナライツカ (辻 仁成著、幻冬舎文庫)  作品の紹介

 豊は航空会社のバンコク駐在員。 好青年と呼ばれている通り、これまでまっすぐに生きてきた。
4ヵ月後には結婚を控えている。 相手は、家柄もよく、教養の高い女性、光子。 しかし、ある日、
沓子(とうこ)という美女に出会う。 沓子は貞淑な光子とは対照的な女性。 自由奔放に振舞う
彼女と豊は、すぐに恋に落ちる。 結婚を目前に控え、時間的な限りがあることを豊も沓子も
十分にわかりあいながら、激しく、狂おしく愛し合う。 結婚が迫るにつれ、精神的に疲弊して
いく二人。 豊は迷う。 光子と結婚して安定した一生を送るべきか、それとも沓子と冒険的な
人生に踏み出すべきか・・・・・・。
読んでて、ほんとに心が痛くなるせつないお話。 二人の恋愛がほんとに熱く描かれていて、
ドキドキしました。 物語を通してモチーフとなる「サヨナライツカ」という詩の「人間は死ぬとき、
愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトにわかれる」というフレーズもすてき。
僕のオススメ度:8.5

コメント  龍時(リュウジ)02-03 (野沢 尚著、文春文庫)  作品の紹介

日本初の本格的サッカー小説「龍時(リュウジ)」の第二部。 今回は02-03年シーズンを描いている。
16歳で単身スペインのプロサッカーリーグに身を投じたリュウジは、2年目のシーズンをレンタル移籍先の
ベティスで迎えていた。トップチームの一員とは言え、スターティングメンバーとして名を連ねるには、まだ
実力が足りない。試合後半、途中交代で出場しても、よかったり、悪かったり・・・・・・。
第二部の「02-03」は、プロ選手としてのリュウジのセカンドステップ、恋、そして、ライバルチームの韓国人パク
との友情が、きめ細やかに描かれています。 そして、物語終盤でリュウジが気づく、自分と日本サッカーとの
関係に関する描写がほんとにすばらしい。 サッカー好きの人には、すごくオススメ。できれば、1巻(01-02)から
読んでみて。  僕のオススメ度:9(サッカー好きでない人には8〜8.5かな)

コメント  スローグッドバイ (石田 衣良著、集英社文庫)  作品の紹介

表題作をはじめとした計10編からなる、石田 衣良さん初の恋愛短編集。
表題作は、2年間同棲したカップルがさよならするためのデートのお話。他にも、ネットで知り合った女性と
「ローマの休日」を計画する男のふしぎな物語。友人から彼女(彼氏)を紹介されるのがうっとおしくて、
恋人のふりをするカップルのお話。そんなラブスートーリーが石田 衣良さんお得意のしゃれたことばと
世界観の中で進んでいきます。ハードボイルドじゃない、石田ワールドも、なかなかいいものですよ。
男性にも女性にも読んで欲しい一品。 僕のオススメ度:8.5(9に近い8.5)

コメント  夜のピクニック (恩田 陸著、新潮社)  作品の紹介

融(とおる)と貴子は高校三年生。で、クラスメイト。で、異母兄弟。融の父の浮気相手が貴子の母だった。
融と貴子の父は、二人が中学の時に死んでしまうが、偶然、二人は同じ高校に進学し、三年生で同じクラスに
なった。とは言え、事情が事情だけに口を聞いたことがない。お互いに嫌われていると感じている。
秋、高校の年中行事、歩行祭がやってきた。一昼夜かけて80kmを歩く過酷なイベントだ。貴子は歩行祭の間に
融とことばを交わすという賭けに出る・・・・・・。
平たく言っちゃうと、歩行祭の24時間を描くお話です。融と貴子。そして、個性豊かな同級生たちが物語に
彩りを添えます。 シチュエーションをものすごく制限しているにもかかわらず、ほんとにおもしろい。
笑わせて、泣かせて、考えさせられて、感動させる一級品に仕上がっています。
おそらく2004年最大の話題作。 本屋さんが選んだ2005年「本屋大賞」グランプリを受賞。
2004年度 「本の雑誌」編集部が選ぶ年間ベスト10 総合第1位! 僕のオススメ度:9.5

コメント  世界中が雨だったら (市川 拓司著、新潮社)  作品の紹介

「いま、会いにゆきます」の市川 拓司さんの新作。 「琥珀の中に」、「世界中が雨だったら」、「循環不安」の
三つの短編を収録。 大好きなクラスメイトの女の子がどんどん太っていき、とまどう高校生。 ふたつ年上の
姉を想う内気な中学生。 そして、結婚相手紹介システムでやっと理想の女性に巡り会った26歳のまじめな男性。
三つのお話の三人の主人公が、たいせつな女の子を想いながら、それぞれの事件に巻き込まれていくお話。
「いま、会いにゆきます」や「そのときは彼によろしく」と根底に流れるものは同じなのだけど、今回はちょっと
心が痛くなるかも。 いい人ばかりの話じゃないし。 あと、今までの作品とは違う角度で「死」をとりあげて
います。  僕のオススメ度:8.5

コメント  チルドレン (伊坂 幸太郎著、講談社)  作品の紹介

著者いわく「短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください」。らしい。
確かに5つの短編から構成されているけど、それぞれの話はつながっている。
物語は主人公 陣内と友人3人、そして陣内の職場の後輩、あわせて5人を中心に進む。 陣内の大学生時代、
そして、家裁の調査官として働く就職後(30歳すぎ)を描いている。 陣内は、とにかく飄々として、ピュアで、
憎めない男。 こんな男がまわりにいたら刺激的で毎日が退屈と無縁だと思う。 そして、陣内の友人、
目の見えない永瀬がいい。 やさしくて、頭の回転が速くて、自分の運命を受け入れている、心に余裕を持つ男。
この二人のキャラクターに出会うだけでも、この作品を読む価値があると思う。 いつもの伊坂作品同様、
ミステリー的な要素も含まれているけど、比較的軽め。 この作品は、むしろ、陣内の世界観を楽しむべき。
5編すべておもしろかったけど、個人的には「チルドレンU」がお気に入り。 僕のオススメ度:9

コメント  重力ピエロ (伊坂 幸太郎著、新潮社)  作品の紹介

イズミ(泉水)と春は、2歳違いの兄弟。だけど、父親が違う。春は、母親がレイプされて生まれた。
そのせいか、春は、類まれなるルックスを持ちながら、性的なものを嫌悪して生きてきた。
イズミは、20代後半。仙台市内の遺伝子研究の会社に勤め、春は、定職につかず、グラフィティアートを
消すしごとをしている。ある日、イズミの会社が仙台で発生している連続放火事件のターゲットになる。
一方、春は、放火事件の現場近くには、必ずグラフィティアートが書かれていた、という法則を発見する。
やがて、癌で入院中の、彼らの父も加わり、一連の事件を推理していくと・・・・・・。
ミステリーを独特の世界観と文体で展開する伊坂ワールドは、今回も全開。前二作(「オーデュボンの祈り」、
「ラッシュライフ」)もかっこいい、デキのいい作品だったけど、この「重力ピエロ」は、イズミと春の兄弟、
そして、二人を見守る父、死んだ母の思い出、春をストーカーする女の子など、キャラがしっかり立ってるし、
泣かせる場面もあったりして、深みを感じました。 僕のオススメ度:9

コメント  オーデュボンの祈り (伊坂 幸太郎著、新潮文庫)  作品の紹介

プログラマーの伊藤は、会社を辞め、コンビニ強盗を働く。しかし、護送中、脱走。気がつくと、荻島という島にいた。
そこは、外の世界(つまり日本)とは、百年以上にも渡って隔絶された島。そこには、人のことばを話し、未来のことが
わかるカカシ 優午がいたり、悪事を働いた島民を射殺する権利を持つ男がいる不思議な世界。ある日、カカシの
優午が何者かに殺害される。未来のことがわかる彼がなぜ殺されてしまったのか。伊藤は次第にその謎に近づいて
いく・・・・・・。 今、話題の伊坂 幸太郎のデビュー作。彼の作品を読んだのは初めてだったのですが、何とも言えない
不思議な世界観。これまで経験したことのない感覚に襲われました。ミステリーの要素もあったけど、僕は事件の
謎ときよりも、終始、不思議な世界観に圧倒されっぱなしでした。うーん、オモシロイとは思ったけど、人によっては
好き嫌いのわかれる作風かも。 「新潮ミステリー倶楽部賞」受賞作  僕のオススメ度:8.5

コメント  ラッシュライフ (伊坂 幸太郎著、新潮文庫)  作品の紹介

金がすべてと考える画商と新人画家。理知的な泥棒。新興宗教の幹部と若者。女性カウンセラーとその愛人のプロ
サッカー選手。そして、失業中の元デザイナー。 仙台の街を舞台に、バラバラ殺人事件や郵便局強盗、空き巣などの
事件が起こり、5組の人生が急接近、交錯し、そして、また分かれていく。まるで、一枚の騙し絵のように・・・。
前作「オーデュボンの祈り」ほど不思議な世界が舞台ではないけど、やはり独特の空気感のある作品。軽妙な文章
なんだけど、緻密なストーリー構成。 この作家にはまる人は、はまりきるだろう、きっと。 僕のオススメ度:8.5

コメント  明日の記憶 (荻原 浩著、光文社)  作品の紹介

広告代理店の営業部長 佐伯は50歳。妻と二人暮らし。家を出て一人暮らしをしている一人娘は、結婚を控えている。
しかも妊娠中。それでも、佐伯は幸せだった。 しかし、次第に物覚えが悪くなり始めたことに気づく。そして、頭痛、不眠、
めまいなど、身体の不調が彼を襲う。病院を訪ねた彼が受けた診断は、若年性アルツハイマーだった・・・・・・。
一気に病気が進行するのではなく、徐々に佐伯を蝕む病気。 病気の進行がわかっていながらも、それを食い止められない
佐伯の恐怖、苛立ち、妻を想う気持ちが、ほんとうにせつなく描かれています。 胸が締め付けられるような作品でした。
本屋さんが選んだ2005年「本屋大賞」第2位。 第18回「山本周五郎」賞受賞。 僕のオススメ度:8.5

コメント  流星ワゴン (重松 清著、講談社文庫)  作品の紹介

38歳のリストラされたサラリーマン、永田の家庭は崩壊寸前だった。妻はテレクラで次々と知り合った男と出かけていく。
息子は中学受験に失敗し、いじめにあって引きこもり。「もう死んでもいいかな」と思った永田の前に、ある夜、ワゴンが
止まる。そのワゴンには、五年前に交通事故死した橋本さん親子が乗っていた。橋本さん親子は、成仏できずに、
この世をさまよっていた。彼らは、死んでもいいかな、と思った人たちを(その人たちにとっての)「たいせつなところ」に
連れていく役目を負っていた。永田は、橋本さん親子の導きで、現在の自分と同い年である38歳の父親に再会する。
そして、父親との友情を深めながら、自分の過去に立ち向かっていく・・・・・・。
幽霊ものやタイムスリップものではありません。この物語は、人生に絶望した永田が、今は仲が悪くなってしまった父親と
(現在の自分と)同じ年で再会し、魂を再生していくお話です。泣けます。いい話です。子どもがいる人は必読です。
2002年度 本の雑誌 編集部が選ぶ年間ベスト10 総合第1位! 僕のオススメ度:9

コメント  口笛吹いて (重松 清著、文春文庫)  作品の紹介

表題作を含む五編からなる短編集。 昔、憧れていた近所のお兄さんと二十六年ぶりに再会したら、負け組に
なっていた。そんな総務課長の話や、お父さんがリストラされ、再就職したと思ったら、自分の通う高校の隣の
会社だった。そんな高校生の話などで構成されています。 すごく幸せではないけど、いっしょうけんめい生きる人、
家族や先生の思いやりを知りつつもすなおになりきれない子どもたち。そんな登場人物の、人と人の絆や思いが
ていねいに描かれています。 読後感のとてもよい作品でした。 僕のオススメ度:8.5

コメント  ビタミンF (重松 清著、新潮文庫)  作品の紹介

家族のつながりをテーマにした七編からなる短編集。 著者の言うように「ひとの心にビタミンのようにはたらく小説」。
「Familiy」「Father」「Fight」・・・ Fで始まるさまざまなキーワードが物語に埋め込まれています。
親と子、夫と妻。わかっているようでわかっていない。わかっていないようでわかっている。そんな、時にはもろく、
時には強固な関係が描かれています。 せつないけれど、理想を描くのではなく、現実が描かれている。
そんなお話です。 2001年「直木賞」受賞作。 僕のオススメ度:8.5

コメント  エイジ (重松 清著、新潮文庫)  作品の紹介

エイジは東京郊外のニュータウンに住む中学2年生。バスケに熱中していたが、左ひざを故障し、休部中。
同じクラスに好きな女の子がいるが、告白できずにいる。それどころか、その女の子から後輩と付き合うように
言われて、付き合うはめに。 ある日、エイジのクラスメイトが通り魔事件の犯人として逮捕される。
それまでクラスで目立つことのなかった、ただのクラスメイトだった。 それまでは、いろいろな問題を
抱えつつも、何とかやり過ごしてきたエイジだが、次第に、いろんなことがめんどくさくなったり、投げやりに
なったりする。あげくの果てに、友だちをナイフで刺す幻想や通り魔を犯す幻想が彼の心に芽生え始める・・・・・・。
物語の後半は主人公の揺れる心が、読んでて、とても痛かったです。心の描写がとても深くてリアル。
こどもが10歳くらいになったら、読んだほうがいい本かもしれません・・・・・・。
99年「山本周五郎賞」受賞作。 僕のオススメ度:8.5

コメント  ナイフ (重松 清著、新潮文庫)  作品の紹介

いじめをテーマにした五編からなる短編集。四編が中学生のいじめ。最後の一編は、先生がお母さんたちの反撃に
あうお話。作品としてはクオリティが高いのだけど、二編はいじめられるこどもの姿が悲惨で、一編はいじめられる
こどもの父親の心が痛くて、ちょっと読むのがつらかったです。四編目も、いじめを描いているけれど、救いがあった
ので、わりとすなおに読めました。最後の一編は、短編とは思えない密度の高い作品。最後の二編を読むだけでも、
この本を買う価値はあると思います。
大人も子どもも共有できる世界を描いた作品。1999年 坪田譲治文学賞作。僕のオススメ度:8

コメント  緋(あか)い記憶 (高橋 克彦著、文春文庫)  作品の紹介

表題作を含む七編からなる短編集。 「遠い記憶」、「ねじれた記憶」など七編すべてが、タイトルに「記憶」が
つく作品のみで構成されています。 人には思い出さないほうがいい記憶がある。 けれども、主人公たちは
結末など知らずに必死に遠い記憶の謎を追いかけます。 記憶と言っても、ほとんど意識の底にしかない、記憶
とも言えないようなかすかな記憶を。 ミステリー的な作品あり、ホラー的な趣きの作品あり、はたまた両方の
要素を含んだ作品ありで、けっこう楽しめました。 92年「直木賞」受賞作。 僕のオススメ度:8.5

コメント  葉桜の季節に君を想うということ (歌野 晶午著、文藝春秋)  作品の紹介

白金に住む元探偵の成瀬は、高校の後輩キヨシが好きな女性の依頼で、ある老人の死を調査することになる。
その老人の死には、健康食品や羽根布団を老人に高額で売りつける企業の影が見え隠れしていた。
一方、成瀬は、偶然、自殺しようとしていた女性を助け、彼女との恋愛にも忙しいのだが・・・・・・。
物語は、上記のリアルタイムの事件と成瀬が探偵時代に関わった事件を、交互に語るかたちで進んでいく
構成です。 事件そのもののトリックはともかく、物語全体にそれ以上のトリックが隠されています。
ま、たいがいの人は「やられたー」と思うでしょう・・・。 僕のオススメ度:7.5

コメント  ジャンプ (佐藤 正午著、光文社文庫)  作品の紹介

三谷は、出張前夜、恋人の部屋に泊まることになっていた。その恋人、みはるは、彼の朝食のリンゴを買うために
出かける。しかし、「5分で戻る」と告げて出かけたまま、失踪してしまう。 彼女は事件に巻き込まれたのか?
三谷とみはるの姉は必死にみはるの足どりを追う。 しかし、彼女の失踪は彼女の意志によるものだった・・・・・・。
うーん。いい作品なんだけど、みはるの意志に共感、感情移入できる人とできない人がいるかもなー。僕は、ダメでした。
失踪の謎にも途中で気づいちゃったしなあ・・・。 でも、世間的にひじょうに評価の高い作品。読む価値は十分にある
と思う。買って損はしない(はず)。 2000年度 本の雑誌 編集部が選ぶベスト10 総合第1位。 僕のオススメ度:8.5

コメント  Y (佐藤 正午著、ハルキ文庫)  作品の紹介

43歳の秋間のもとに、ある夜、奇妙な電話がかかってくる。電話の主、北川は秋間の親友だと名乗るが、
秋間には覚えがない。数日後、秋間は北川の代理人と名乗る女性から1枚のフロッピーディスク、500万円の現金、
そして巨額の現金が記帳された貯金通帳を渡される。そのディスクには、北川と秋間の関係、そして北川の
秘密が記されていた。北川は、ある女性を助けるため、18年の時を遡り、25歳から43歳を二度生きた男だった・・・・・・。
SF、ファンタジー小説かなと思って読んでいると、ミステリーの要素が強くなり、でも、恋愛小説の側面も
あるし・・・と思いながら読み続けました。 最初の世界で北川が愛した女性たちは、二度目の世界では全く
違う人生を歩んでいます。そして、北川と秋間の関係も全く違うものになっています。人間の「縁」と「運命」の
ふしぎさを考えさせられる作品でした。 「誰かが誰かのために生きている」、これが僕の究極の感想です。
2001年度 本の雑誌が選ぶおすすめ文庫年間ベスト10 総合第1位! 僕のオススメ度:9

コメント  誰か 〜Somebody〜 (宮部 みゆき著、実業之日本社)  作品の紹介

財閥会長の運転手、梶田という男が自転車にはねられて命を落とす。しかし、目撃者がおらず、犯人は逮捕され
なかった。梶田の二人の娘は事件の早期解決のため、父の人生を出版し、マスコミに取り上げてもらいたいと
会長の今多に懇願する。今多は、娘婿で広報室勤務の杉村に梶田の娘たちの手助けを依頼した。
杉村は、出版のための取材を通して、梶田の娘たちの思いの違い、梶田の過去、梶田をはねた犯人の噂など
さまざまな謎に近づいていくのだが・・・・・・。
スケールの大きな事件を描いたミステリーではありません。むしろ、梶田の亡き妻、娘、娘の婚約者、昔の知人、
そして、梶田の過去を遡る杉村、彼の妻、義父、、、、、、いろんな人たちの思いや悩みをていねいに描いた佳品
だと思います。ミステリーが苦手な方にもおすすめします。 僕のオススメ度:8

コメント  大人失格 〜子供に生まれてスミマセン〜 (松尾 スズキ著、光文社-知恵の森文庫)  作品の紹介

ふしぎな俳優(& 劇作家・演出家)松尾スズキさんのおバカなエッセイ。 僕は松尾さん、けっこう好きだけど、
松尾さんを知らない人が読んでも、十二分にオモシロイと思います。ま、僕なりの解釈をすれば、このおバカな
本を読んで「つまらん」と思う人が「大人」なんだろうな。 たとえば、「まぬけなもの」として、でかい王将の置物や
目玉が飛び出す般若のキーホルダーを挙げたかと思うと、「愛は叶わぬと憎しみに変わる。恋はたいてい間違っている」
という名言が出てきたりする。たったこれだけの紹介でこの本を読もうかな?と思った人は、大人失格かもしれません。
あと、(実は)心が疲れ気味の人にもおすすめかも。 僕のオススメ度:8

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