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読書感想文2006 part 2
「読書感想文2006」 part2 は、春の読書録です。
↓ Click NOVEL mark !
コンビニ・ララバイ (池永 陽著、集英社文庫)
作品の紹介
とあるコンビニの店長、従業員、お客を描いた短編集。 七編収録。
幼い息子を亡くした幹郎は、失意の妻とやり直すためにコンビニを始めたのも束の間、
今度は妻にも先立たれてしまう。 やる気のない店長、幹郎を支えるしっかり者の店員、治子。
治子に想いを寄せるヤクザ。 離婚直後のアルバイト店員。 なじみ客のホステス、役者の卵。
ひとつのコンビニが縁で知り合った人たちの喜怒哀楽を、やさしい視線で描いていきます。
解説の北上 次郎さんが、この作品を「重松 清さんと浅田 次郎さんを足したような小説」と
評していました。 もちろん、いい意味でですが、言いえて妙だと思いました。
「本の雑誌」が選ぶ2002年上半期ベスト1作品。 僕のオススメ度:8.5
ダ・ヴィンチ・コード(上・中・下) (ダン・ブラウン著、角川文庫)
(上)
(中)
(下)
作品の紹介
ルーブル美術館の館長、ソニエールが殺害された。 犯人はカトリックの中でも厳しい戒律を持つ
会派(オプス・デイ)の修行僧、シラス。 ソニエールのダイイング・メッセージを元に、彼の孫娘
であり、フランス司法警察の暗号解読官、ソフィーとハーバード大学の宗教象徴学の教授、ロバートは
ソニエールが長年守り続けてきた「聖杯」の謎を追うことになる。 しかし、フランス司法警察により
ロバートはソニエール殺害の嫌疑をかけられ、追われる身に・・・。 そして、物語は、ロバートと
ソフィーの逃亡、そして聖杯の謎解き、警察の追跡にシラスの追跡が折り重なるように展開していく。
単行本が発売されたのが2004年5月。 これまで食わず嫌いみたいな感じで読まずにいたのですが、
2006年3月の文庫化をきっかけに読み始めたら、これがひじょうにおもしろい。 ダ・ヴィンチの「最後の
晩餐」の謎解きみたいな話ではなく、一級のミステリーでした。 しかも、我々がこれまで知らなかった
キリスト教の歴史も重要な鍵を握っていて、最後まで飽きさせない展開と世界観でした。 美術に興味が
なくても、キリスト教の知識がなくても、全然OK。 僕のオススメ度:8.5
容疑者Xの献身 (東野 圭吾著、文藝春秋)
作品の紹介
元ホステスの靖子は中学生の娘と平穏に暮らしていた。 ところが、別れた夫が姿を現し復縁を迫る。
彼の暴力に愛想を尽かしていた母娘は衝動的に殺人を犯すが、隣人の高校教師、石神の機転で警察の
追求をかわしていく。 やがて、担当刑事の友人であり、石神の大学時代の同級生でもある、大学の
助教授、湯川が事件に興味を持ち始める・・・・・・。
靖子に想いを寄せる石神の献身ぶり、そして、湯川と石神という二人の天才の駆け引きが、事件の謎解き
と平行して、丹念に描かれています。 だけど、警察が石神に翻弄されている姿を俯瞰しているはずの
読者も、石神に、いえ、作者に翻弄されていることに気づくはずです。 物語の最後の最後で・・・。
「直木賞」受賞作。 僕のオススメ度:9
天空の蜂 (東野 圭吾著、講談社文庫)
作品の紹介
ある重機メーカーが防衛庁用に開発した最新鋭のヘリの試験飛行の日。 そのヘリが乗っ取られる。
しかし、犯人が乗り込んでいるわけではない。 無線でコントロールされたヘリコプターは原子力
発電所の上空で静止した。 「天空の蜂」と名乗る犯人の要求は、日本中の原子力発電所を使用不能
にすることだった・・・。 燃料が尽きて、ヘリは発電所に落下するのか? 残された時間の中で
犯人探しが始まる・・・。 原子力問題をわかりやすく解説しながら、発電所の光と影、そして
そこで働く人、反対派、犠牲者の人間模様を見事に描いている。 そういった土台の上で、一級の
サスペンスが展開していく。 僕のオススメ度:8
切断 (黒川 博行著、創元推理文庫)
作品の紹介
病院内で殺人事件が発生する。 死体の耳は切り取られ、耳の穴には別人の小指が差されていた。
しばらくして、別の死体が発見される。 そして、この死体は、最初の事件で切り取られた耳を
くわえていた。 連続して起こった猟奇的な殺人事件をベテラン刑事が追い求める・・・・・・。
犯人は、作品中で「彼」という三人称で登場します。 ほとんど感情を表に出さず、超人的な執念で
殺人を企てる犯人の狙いは何なのか? 読者は、犯人である「彼」と警察の捜査を俯瞰しながら、作品を
読み進めることになります。 「彼」が誰なのかは、途中で薄々わかるのですが、「彼」の動機とトリックは
最後まで見抜けないと思います。 僕のオススメ度:8
クラインの壺(つぼ) (岡嶋 二人著、講談社文庫)
作品の紹介
現実と何ら変わらない仮想現実体験を実現した夢のバーチャルリアリティマシン「クライン2」。
このマシンで体験するゲームの原作として自分のシナリオが採用された上杉は有頂天だった。
原作を買い上げてもらっただけでなく、高いギャラでゲームのモニターのしごとにも声をかけられ、
いっしょにモニターとして働くことになった女性、梨紗も美女で、上杉の幸せな日々が始まったかに
見えたのだが・・・・・・。
一言で言えば、SFのフレーバーのするミステリー小説。 「クライン2」は、まさにSFでしか理解できない
ようなマシンだし、その研究所もなんだか怪しくて、ミステリーの舞台にぴったりな感じ。
あまり詳しく書いちゃうとネタバレになっちゃうので、書けないのですが、読者も知らず知らずのうちに
クラインの壺に引きずり込まれてしまいます。 最後の方は、どこまでが現実で、どこからが仮想現実
なのか、まったくわからなくなります。 とは言え、話が複雑なわけではないので、一級品のミステリー
小説として堪能できると思います。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 国内ミステリー部門:第3位。 僕のオススメ度:8
グレイヴディッガー (高野 和明著、講談社文庫)
作品の紹介
30代の前科5犯、小悪党の八神は生まれ変わろうとしていた。 骨髄バンクに登録した彼は、白血球の型が
一致した患者が現れ、骨髄液摘出の手術を明日に控えていた。 しかし、金を借りに行った友人が何者か
に殺害され、彼自身も謎のグループに追われる。 一方、都内では、中世の魔女裁判の処刑を真似た殺人
事件が次々と発生する。 犯人はグレイヴディッガー(墓堀り人)。 八神は、謎のグループの追跡をかわし
ながら入院先の病院へ向かう。 しかし、友人の殺人事件の容疑者として警察も彼を追い始める。 さらに、
グレイヴディッガーが、八神を追う謎のグループを追い始めて・・・・・・。
↑に書いた通り、八神の逃亡を軸に、謎のグループの追跡、グレイヴディッガーの追跡、そして警察の追跡を
見せ場たっぷりにスリリングに描いていきます。 なぜ八神は命を狙われるのか? グレイヴディッガーの
目的は?正体は? 謎解きの要素も仕組みも秀逸。 最後まで飽きさせないドライブ感がおすすめです。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 国内ミステリー部門:第5位。 僕のオススメ度:8.5
素晴らしい一日 (平 安寿子著、文春文庫)
作品の紹介
表題作を含む六編を収録した短編集。 昔、付き合ってた男に貸した二十万円を取り返すべく、
その男の借金行脚に同行する三十歳の女性の一日を描いた表題作。 その他にも、家出娘に
なりすまし、老人の臨終の床でピンチヒッターをつとめる女性の話。 転職してきた美人の帰国子女
のキャリアウーマンをものにした男の落ちた落とし穴の話。 そんな、ちょっとした非日常を軽快な
文体で描いています。 ひとつのできごとや事件を通して、それぞれのお話の主人公がちょっとした
行き方や、そのヒントを学んでいる姿がとても自然で清々しくもありました。
話題の作家、平 安寿子さんのデビュー作。 僕のオススメ度:8
エミリー (嶽本 野ばら著、集英社文庫)
作品の紹介
表題作(「エミリー」)を含む三編を収録した短編集。 最初のお話(「レディメイド」)は12ページ
の超短編。 二番目のお話「コルセット」は、自殺を決心した古風なイラストレーターと自分に自信の
持てない病院の受付の女の子との、ちょっとふしぎで切ない物語(82ページ)。 そして、表題作の
「エミリー」が115ページ。 中学校でいじめにあってるロリータ・ファッションをこよなく愛する女の子が
主人公。 彼女のあだ名はエミリー。 彼女は、ある日、原宿で、同じ中学校の先輩で、男性しか
愛せない男の子に出会い・・・・・・。
僕にとって初めての「嶽本 野ばら」作品。 話題の「下妻物語」の作者の小説だということもあり、思い
きって、手にとってみました。 「私には合わない」という人もいて、ちょっと身構えて読み始めたけど、
意外にも(?)読みやすかったかも。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 恋愛小説部門:第2位。僕のオススメ度:8
唇のあとに続くすべてのこと (永井 するみ著、光文社文庫)
作品の紹介
38歳の料理研究家、菜津は商社マンの夫、9歳の娘と幸せな日々を送っていた。 三冊目の料理の
本の準備が進んでいたある日、結婚前の不倫相手、岸が不慮の事故で死亡する。 岸の告別式で
十一年ぶりに再会した元・同僚、藤倉に、菜津は心を奪われる。 やがて、岸の死が事故死では
ないのではないか?という証言が出て、警察の捜査が始まる。 警察の捜査は、菜津にも及び・・・。
菜津と藤倉の恋愛が縦の糸だとすれば、菜津のかつての不倫相手、岸の死の真相に迫るミステリーの
要素が横の糸として、物語が紡がれています。 岸の死の真相は? 菜津と藤倉の恋愛の行方は?
そして、他にも、このふたつの要素にからむ男女が物語にバランスのいい彩りを添えています。
この、一見、どきっとするタイトルの後に続くことばは、何だと思いますか?
答えは、物語の中に書かれていますが、決して、ひとつではないし、単純なものではありません。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 恋愛部門:第10位。 僕のオススメ度:8
煙か土か食い物 (舞城 王太郎著、講談社文庫)
作品の紹介
福井県の片田舎で中年の主婦が次々と頭を殴られ、地中に(わざと見つかるように)生き埋めに
されるという事件が発生。 5番目の被害者の息子、奈津川 四郎は、ロスのERの外科医。28歳。
実家からの連絡で急遽帰国し、自ら事件解決に乗り出すのだが・・・・・・。
ふつうのミステリーだと思って読み始めたら、エライ目に会います。 バイオレンスがキライな
人にはおすすめしません。 キレのある文体、スピード感、通常の枠組みに収まらない小説を
お望みの人には超おすすめです。 主人公の四郎は、天才だけど、暴力的で、行動も発想も、もう
ハチャメチャ。 おまけに家庭の中も、優秀な頭脳を持つが、暴力的だったり変人の兄が三人。
そして、政治家で超バイオレンスな父が仕切るメチャクチャな世界。 次々と起こる事件も、その
謎解きも、かなり変。 でも、読んでるうちにずぶずぶとハマっていくふしぎなワールド。
恐いもの見たさ(?)で読むのもありかも。
最近注目の舞城 王太郎のデビュー作にして「メフィスト賞」受賞作。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 総合:7位 現代文学部門:6位 僕のオススメ度:8
動機 (横山 秀夫著、文春文庫)
作品の紹介
「半落ち」の横山 秀夫さんの第二作品集。表題作を含む4つのミステリー短編を収録。
短編だけど、どの作品も密度が濃くて、読み応え十分。 表題作は、警察官が主人公。
他の三作が、出所間もない殺人犯、地方新聞の女性記者、裁判官のお話で、いろんな
角度、シチュエーションでミステリーを堪能できるぜいたくな一冊。
「日本推理作家協会賞」受賞。 「このミステリーがすごい」2001年 国内編 第2位。
「週刊文春 傑作ミステリー」2001年 第3位。 僕のオススメ度:8
心では重すぎる (大沢 在昌著、文春文庫)
作品の紹介
静岡の薬物依存症更生施設で働く私立探偵、佐久間のもとに、失踪した元・人気マンガ家を
探して欲しいという依頼が舞い込む。 その捜査の一方で、佐久間は、更生施設の少年の
悩みの原因であり、彼を精神的にコントロールしている女子高生との接触を図る。
やがて、ふたつのできごとのバックにヤクザの存在が見え始め、ひとつの大きなうねりが
姿を現す・・・・・・。 750ページの大作。 登場人物も、細かい事件も多彩でした。
構成自体は超複雑というわけではないのだけど、やはり、ちょっと疲れたかも・・・。
文庫でも発売されています(上・下巻)。 僕のオススメ度:8
つめたいよるに (江國 香織著、新潮文庫)
作品の紹介
「つめたいよるに」と「温かなお皿」の二編を収録。 「つめたいよるに」が九編。
「温かなお皿」が十二編を収録した短編集。 ひとつひとつのお話は、平均10ページ。
そんな、短いけれど、やさしくて、時には幻想的な合計二十一の短編が収められています。
江國らしい世界観は、超短編でも健在。 僕のオススメ度:7.5
生きる (乙川 優三郎著、文春文庫)
作品の紹介
表題作「生きる」の他に二編を収録した時代小説の短編集。
江戸時代。藩主の死の後を追い切腹すること(=追腹)が美徳とされた時代。
亡き主君に受けた恩に報いるため、初老の武士は死を決意するが、家老に懇願され、
追腹を思いとどまる。 やがて、藩から追腹禁止令が出されるが、藩主の後を追う者が
次々と現れる。 男は、まわりからの冷たい視線の中で生きることになるのだが・・・。
三編とも、無骨な武士の生き様を描いています。 運命に翻弄されながら、それでも、
がんばって生きようとする男たち。 それを支える女たち。 決して明るいトーンの
話ではないけれど、人間の心の弱さを丹念に描き、物語の最後には救いを見せてくれる、
そんな心憎い組み立ての極上の作品集です。 2002年「直木賞」受賞作。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 時代小説部門 第1位。 僕のオススメ度:8.5
十兵衛両断 (荒山 徹著、新潮文庫)
作品の紹介
江戸時代のお話。 表題作を含む五編からなる短編連作集。 柳生 十兵衛と祖父、石舟斎、
父、宗矩と柳生 一族が韓国の高官と妖術師に立ち向かう様を描いています。
柳生 十兵衛が韓国の妖術師に身体を乗っ取られた。 韓国の妖術によって、魂をすりかえ
られたのだった。 妖術師は韓国で柳生の剣を広め、政治や中国との戦いに備える。
一方、十兵衛は、韓国の妖術師の身体を鍛錬し、今一度、元の剣の腕を取り戻そうと、血の
にじむような鍛錬を始める・・・・・・。
全編、韓国妖術の怪しさがたちこめ、何とも言えない不思議な世界観をかたちづくっています。
もちろん、柳生一族の葛藤や剣の道のこともきちんと描かれてはいるのですが、やはり妖術の
インパクトが強くて、強くて。 一風変わった時代小説をお望みの人にはおすすめです。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 総合第3位。時代小説部門 第8位。 僕のオススメ度:8
あくじゃれ (諸田 玲子著、文春文庫)
作品の紹介
正式タイトルは「あくじゃれ 瓢六捕物帖」。 江戸時代のお話。
26歳の色男、瓢六は賭場で逮捕されるが、奉行所の狙いは賭博容疑ではなく、大物
ばかりを狙った強請りの犯罪解明にあった。 奉行所は瓢六が関連してるのでないかと
にらんだが、瓢六は黙秘を続け、尻尾をつかませない。 やがて、処分保留のまま、牢に
入れられるが、ふとしたことから、同心 弥左衛門の捜査を手伝うことになる。 最初の事件を
無事解決した瓢六は、その後も、弥左衛門とともに次々に難事件を解決する。 奉行所から
頼りにされる瓢六は、捜査の時は外出を許されるが、ふだんは牢の中。 かと言って、罪が
確定するわけでもなく、釈放されるわけでもない。 そんな瓢六の奇妙な一年を描いた作品。
「本の雑誌」が選ぶ2005年文庫ベストテン 時代小説部門 第4位。 僕のオススメ度:8
風の万里 黎明の空〜十二国記〜(上・下) (小野 不由美著、講談社文庫)
(上)
(下)
作品の紹介
「十二国記」シリーズの第四弾。 この世と、虚海(と言う名の海)を隔てて存在する別の世界。その世界には
十二の国がある。 この世から別の世界に連れ去られた(高校生だった)陽子は、慶という国の女王となる。
天に選ばれて即位したものの、官僚が国のことを自由にさせてくれない中、暗澹たる日を送っていた。
一方、北の国、芳の王女、祥瓊(しょうけい)は非道を尽くした父母を殺され、国を追われる。
そして、この世から偶然流されて来た才の国の少女、鈴も下働きで苦難の日々を送っていた。
祥瓊(しょうけい)と鈴が苦難を逃れて慶の国にたどり着き、女王、陽子も含めた三人の運命が交差する。
やがて、慶の国の悪名高い地方長官を倒す戦いに三人は身を投じていく・・・・・・。
「十二国記」の第一弾(「月の影 影の海」)の主人公、陽子のその後を描いた物語。 三人の少女の
心の葛藤、成長が丹念に描かれており、なおかつ、ストーリーとしても、三人の運命が交差する組み立てが
きちんと描かれていました。 ラストがいい感じ。 「十二国記」もこの巻で真ん中を過ぎましたが、ほんと
クセになるおもしろさです。 僕のオススメ度:8.5
図南(となん)の翼〜十二国記〜 (小野 不由美著、講談社文庫)
作品の紹介
「十二国記」シリーズの第五弾。 荒廃した恭の国を救うため、自ら王に立候補する十二歳の少女、
珠晶(しゅしょう)の物語。 作者によると、「十二国記」の外伝的な位置づけの作品。
物語は、豪商の娘、珠晶が次の王を選ぶための場所、蓬山にたどり着くまでの苦難の旅、そして
人との交わり、人間的な成長を描いています。 妖魔が出てきたりして、いくつかの山場はあるの
だけど、「十二国記」シリーズの中では、やや小粒な印象を受けました。 僕のオススメ度:7.5
黄昏の岸 暁の天(そら)〜十二国記〜 (小野 不由美著、講談社文庫)
作品の紹介
「十二国記」シリーズの第六弾。 第二弾(「風の海 迷宮の岸」)で戴の国の王に選ばれた驍宗
(ぎょうそう)と王を選んだ神獣、麒麟の泰麒(たいき)の、その後の物語。
即位から半年後、驍宗は反乱鎮圧に乗り出すが、戦地で行方不明に。 一方、留守を預かる泰麒も
逆臣に襲われ、麒麟として覚醒する前にいた世界(=現在の日本)に戻ってしまう。 混乱の極みに
陥る戴の国。 驍宗、泰麒の側に仕えていた戴の将軍、李斎(りさい)が命からがら戴を脱出し、
慶の女王となった陽子に助けを求めるが・・・・・・。
第四弾(「風の万里 黎明の空」)で慶の女王としてのスタートを切った陽子、第三弾(東の海神
西の滄海」)の主人公、延の王、尚隆と延麒もたっぷり登場します。
「十二国記」シリーズは明るい世界観ではないものの、各話の最後は爽快感のあるエンディング
なので、今回もそれを期待していたのだけど、事件がすべて解決せず、ちょっと物足りない感じを
受けました。 続編に続く、かもしれないけど。 僕のオススメ度:7.5
華胥の幽夢(かしょのゆめ)〜十二国記〜 (小野 不由美著、講談社文庫)
作品の紹介
「十二国記」シリーズの第七弾。 表題作をはじめとする五編の短編を収録。
この短編集は、「十二国記」のこれまでの六つの物語で主役のまわりを彩ってきたキャラクターたちに
スポットを当てています。 これまでの物語の前後を、サブキャラクターの視点を通して描いているので、
これまで「十二国記」を読んだ人なら、もうひとつの「十二国記」として堪能することができるのでは、
と思います。 僕のオススメ度:8
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