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読書感想文2013 part 3

「読書感想文2013」 part3は、5月〜6月の読書録です。

 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  謎解きはディナーのあとで (東川 篤哉著、小学館文庫)   作品の紹介 

全6編を収録したミステリー短編集。
東京 国立署の新米刑事、宝生麗子は、大企業 宝生グループのお嬢様。
的外れな推理を披露しまくる、風祭モータースの御曹司、風祭警部のもと、事件現場に向かうが、
麗子にも、高度な推理力があるわけではなく、捜査は、すぐに行き詰まる。
そんな麗子に代わって、事件を解決するのは、宝生家の執事兼運転手、影山。
「お嬢様はアホでございますか」、「お嬢様の目は節穴でございますか」など、という失礼な言葉が
玉にきずだが、麗子の話を聞くだけで、犯人を言い当てる。
肩のこらないライトなミステリー。 影山の謎解きもわかりやすく、全編にあふれるユーモアも秀逸。
大ヒット、シリーズ化にも納得。
2011年度「本屋大賞」受賞作。 2011年ドラマ化。 オススメ度:8.2

コメント  聖女の救済 (東野 圭吾著、文春文庫)   作品の紹介 

「探偵ガリレオ」シリーズの第5作。
若き会社社長、真柴が自宅で死んでいるのが、不倫相手の宏美によって発見される。
宏美は、真柴の妻でパッチワーク作家、綾音の弟子。 鑑識の結果、真柴の死因は毒物である
ことがわかる。 真柴が毒殺されたとき、綾音は、実家に戻っていた。 毒物は、誰が、いつ
しかけたのか? 警視庁の刑事、草薙と内海が捜査にあたるが、てがかりはなかなか見つから
なかった。 内海は、草薙の大学時代の同級生で、物理学の准教授、ガリレオこと湯川に捜査
協力を依頼する。 湯川も、事件のトリックに苦戦するが、少しずつ核心に近づいていく、、、。
読者が想像できるはずのない、まさかのトリック。 「おみごと」の一言に尽きる発想でした。
シリーズ第3作の傑作「容疑者xの献身」に肩を並べるクオリティー。
「ガリレオ」シリーズ特設サイトはコチラ  オススメ度:8.5

コメント  プラチナタウン (楡 周平著、祥伝社文庫)   作品の紹介 

大手総合商社の部長、山崎鉄郎、55歳。 家庭を顧みず、仕事一筋で生きてきた。
そんな山崎のもとに、故郷、宮城の緑原町役場に勤める、中学校の同級生、クマケンこと熊沢が
訪ねてくる。 クマケンは、76歳と高齢の町長に代わって、山崎に次期町長になってほしいと頭を
下げる。 もともと政治に関心がないうえに、150億もの莫大な負債を抱えた、人口1万5千の町の
町長になる気などまったくなかった山崎だが、、、。
一ヶ月後、役員から子会社への出向を命じられ、やけ酒をあおり泥酔。 酔っ払っている間にクマ
ケンからかかってきた電話で町長を引き受けてしまう、、、。
町長に就任し、山崎は、想像以上にひどい実情に驚く。 私利私欲の塊のような古参議員がしきる
町議会。 利用者のほとんどいない公共施設。 痛みを伴わずに、町の再生を願う町民たち。
そんな逆境の中、山崎が考えた策は、テーマパークのような永住型老人ホームだった。
山崎は、さっそく、勤め先だった商社の同期に相談を持ちかけ、行動を開始する、、、。
エンターテイメント性の強い作品ではありますが、現代の日本が抱える老後の問題にかなり深くきり
こんでいます。 ちょっと説明的な箇所が散見されるけど、物語全体を包むユーモアセンスが、それを
中和してくれていたような気がします。 特に、山崎の相棒、クマケンがいい味出してました。
オススメ度:8

コメント  神去なあなあ日常 (三浦 しをん著、徳間文庫)   作品の紹介 

横浜の高校生、平野 勇気、18歳。 高校を卒業しても、大学に行くわけでもなく、就職するわけでも
なく、フリーターでやっていこうと思っていた、、、。 ところが、卒業式の当日、担任の教師と親に
強制的に三重県の神去(かむさり)村に送り込まれてしまう。 神去村は、携帯の電波も通じない山奥
の村で、勇気は、ここで林業を叩きこまれることになる。
最初は、すぐにでも逃げ出そうと考えていた勇気だったが、下宿先のヨキや雇い主の清一たちに林業の
基礎から仕込まれ、次第に林業のおもしろさに目覚めていく。
やがて、恋をし、村人たちからも受け入れられた勇気にとっての正念場、48年に一度の大祭の日が
近づいてきた、、、。
エンターテイメント色満載の林業×青春小説。 「林業の話?」と、この小説を手に取らないのは、
あまりにも、もったいない。 林業のことを全くわからなくても、全然OK。 とにかく、おもしろい。
著者の三浦しをんさんのリーダビリティーの高さは、ほんとうに秀逸。脱帽。
ちなみに「なあなあ」というのは、神去村の人たちの口癖。 「なあなあ」と呼びかけているのではなく、
「なあなあで済ます」というのでもなく、「ゆっくり行こう」とか「まあ落ち着け」というくらいの意味。
「本の雑誌」2012年度文庫「エンタテインメント」部門:第6位。 オススメ度:8.7

コメント  嫉妬事件 (乾 くるみ著、文春文庫)   作品の紹介 

大学のミステリ研究会で、年末恒例の、部員の創作作品による犯人当てイベントが開催されようと
していた。 しかし、イベント直前に、部室の本の上に「あるもの」が置かれているのが見つかる。
折りしも、イベント用の創作小説担当の部員が遅刻することになり、居合わせたメンバーは、イベント
そっちのけで、「あるもの」を置いた犯人探しにやっきになる。 素人探偵たちの捜査と推理の末に
とんでもない犯人とその動機が明らかになる、、、、、、。
↑の「あるもの」って、いったい何なの?って、気になりますよね。
ネタバレになるので、書きませんが、ほんとにとんでもないものです。 おそらく、ミステリー小説に
およそ凶器(?)として出てくるはずのないものです。 恐いものみたさの人は、ぜひ、ご自分の目で
確かめてください。 きっと「ええ〜っ!」と声をあげると思います。
著者の乾くるみさんは、「リピート」とか「イニシエーションラブ」とか、ひじょうにクオリティーの高い
作品を書かれているので、この本も、ジャケ買いならぬ著者買いしたのですが、全然違うテイストの
作品でした。 著者のライトなミステリーは、個人的には、あまり合わないかも。
表題作(「嫉妬事件」)以外に、犯人当て形式の短編「三つの質疑」を収録。 オススメ度:6.8

コメント  FINE DAYS (本多 孝好著、祥伝社文庫)   作品の紹介 

表題作(「FINE DAYS」)を含む計4編を収録した短編集。
ジャンル的には、恋愛小説になるのだろうけど、ふつうの恋愛小説とは、ひと味もふた味も違う趣き。
独特の世界観を持つ著者が、タイムスリップや予知能力などを、アクセントに加え、幻想的な作品に
しあがっています。 著者のファンなら「買い」でしょう。 オススメ度:8

コメント  利休にたずねよ (山本 兼一著、PHP文芸文庫)   作品の紹介 

1591年、千利休は、天下人、秀吉から切腹を申しつけられる。 秀吉は、謝罪すれば赦すと伝えるが、
もともと言いがかりのような罪で言い渡された切腹だけに、利休に謝罪の意思は全くなかった。
利休の弟子である、秀吉の臣下の大名たちも、利休の助命を嘆願するが、秀吉は耳を貸さない。
秀吉は、天下人になった自分を、利休が腹の底では蔑んでいるのではないか、という疑念を消すことが
できなかった、、、。
この物語は、利休切腹の朝から始まる。 続いて、切腹の前日、十五日前、十六日前、二十四日前、
ひと月前、五十日前、、、利休が十九歳の頃へと、時を遡っていく。
それぞれの時を、利休と縁(ゆかり)の深い人物〜秀吉、細川忠興、石田三成、利休の妻、宗恩など〜
の視点で描き、同時に、利休の人となりや矜持などをあぶり出していく構成。
すなわち、連作短編のような体裁をとった長編小説。 読者は、この作品に収められた24の物語を読み
進めるうちに、茶道というよりも、美に対する利休の才能とこだわりに魅入られていくのでは、、、。
そして、利休の茶道の出発点とも言える高麗の女性とのはかない恋など、読みどころ満載の秀作。
2009年「直木賞」受賞作。 「本の雑誌」2011年度文庫「時代小説」部門:第10位。 オススメ度:8.2

コメント  鶴屋南北の恋 (領家 高子著、光文社文庫)   作品の紹介 

二十六歳の深川芸者、鶴次は、十年来の情夫、十郎の手引きで、七十一歳の老人に囲われることになる。
その男こそ歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」の作者にして、歌舞伎界の重鎮、鶴屋南北だった。
鶴次は、初見で、南北の器の大きさに惹かれる。それは、南北の隠宅に移り住んでからも変わらなかった。
南北は、大物でありながら、少しも偉ぶったところがなく、鶴次を心から慈しむ。
鶴次の心から、やがて十郎の面影は消えていき、南北の最晩年を心安らかな時間にするために懸命に尽くす。
しかし、十郎は、自らが鶴次を南北の愛人になるてはずを整えたにも関わらず、鶴次への想いを消せないで
いた。鶴次には、ないしょにしているが、十郎は、南北の息子であり、歌舞伎界の次世代を担う有望な作家
だった、、、。七十をこえた南北が未だに背負わなければならない歌舞伎界のため、そして、父の残された
人生のときを安らかなものにするため、鶴次を南北のもとに送りながらも、十郎の心は乱れていた、、、。
静謐な時間に輝く鶴次と南北の微笑ましくも真実の愛を描いた秀作。当時の歌舞伎界の描写も秀逸。
「本の雑誌」2012年度文庫「時代小説」部門:第5位。 オススメ度:8.2

コメント  千里伝 (仁木 英之著、講談社文庫)   作品の紹介 

舞台は中国、唐の時代。 軍人の父と妖(あやかし)の母の間に生まれた千里は、18歳になっても、
外見は5歳の幼児のままだったが、何不自由なく幸せに暮らしていた。
しかし、母が、異界のものに連れ戻され、父も、時を置かずに、異界に連れ去られる。
千里は、天地を望みどおりに創り変えることができる伝説の秘宝「五嶽真形図(ごがくしんぎょうず)」を
求めて旅に出ることになった。
道連れは吐蕃(とばん)王国の狩人・バソン、少林寺の少年僧・絶海、謎の道士・趙帰真(ちょうきしん)。
千里は、バソン、絶海とともに、五嶽真形図の主となる力のある選ばれた存在であり、三人は、趙帰真に
導かれ、図のありかへと迫る。 しかし、異界の王、共工も、五嶽真形図を求めており、共工の息子たちが
図を手にしてしまう。 千里たちは、図を取り返すべく、仕上げの儀式がおこなわれる長安に向かう、、、。
中国を舞台にしたファンタジー小説ですが、とても読みやすい内容。
この世=正義、異界=悪という構図ではなく、両者よりも高い視点を持つまでに至る千里たちの成長の
プロセスがいい感じに描かれていました。
中国を舞台にした仙人ファンタジー「僕僕先生」がベストセラーとなった著者が放つ、もうひとつの中国
歴史ファンタジー。 「僕僕先生」同様、シリーズ化。 オススメ度:8

コメント  陋巷に在り 1 儒の巻 (酒見 賢一著、新潮文庫)   作品の紹介 

孔子の最愛の弟子と言われた顔回の物語。 舞台は紀元前500年頃の中国、魯(ろ)の国。
孔子のもとには、次々と彼を慕う弟子たちが集まり始めていた。 儒の一族、顔氏の若者、顔回も
子どもの頃に孔子に魅せられ、成人を機に孔子に弟子入りする。 顔回は、一見、物静かで、特徴の
ない若者だが、孔子を護る超能力者としての才能を覚醒させていく、、、、、、。
著者の酒見賢一さんの「後宮小説」、「墨攻」を過去に読んでおり、どちらもとてもおもしろかったので、
この人気シリーズを手に取ることに躊躇はありませんでした。 が、しかし、前に読んだ二作とは違って
話が難しい。 特に、儒や礼や呪術、そして、人物の説明が、あまりにも多くて、読み進めるのがたいへん
でした。 この挫折ポイントを越えれば、必ずハマる作品だと書評にも書かれているのですが、二巻に進むか
どうかは、ちょっと考えてしまいます。
タイトルにある陋巷(ろうこう)とは、狭い露地、長屋くらいの意味。 顔回の住まいが陋巷にあるところから
つけられたタイトルなのでしょう。 人気シリーズの第一巻(全13巻)。 オススメ度:7.2

コメント  鬼平犯科帳 1 (池波 正太郎著、文春文庫)   作品の紹介 

「剣客商売」とともに池波正太郎さんの代表作。 計8編を収録した連作短編集。
徳川幕府ができて170年後、松平定信が筆頭老中の時代。
「鬼平」こと長谷川 平蔵は、江戸の特別警察、火付盗賊改方の長官。
42歳の旗本で、穏やかな顔立ちだが、若いころは妾腹の子ということもあり、荒れた生活を送った時期もあった。
盗賊たちからは「鬼の平蔵」と恐れられるが、平蔵は義理と人情に厚い。
捕えた盗賊の「小房の粂八」や、平蔵の無頼時代の取り巻き「相模の彦十」らは、平蔵を慕い、密偵として働く。
そして、若いころ、道場で剣の腕を競いあった親友、岸井左馬之助も平蔵の捜査に協力する。
同じ池波正太郎さんの「剣客商売」(全16巻)を読破し、「剣客商売」と双璧をなす本作にも興味を持ち、手に
とってみました。 時代的には、「鬼平」の方が5年ほど前に書かれています。
「鬼平」が盗賊の話を深く掘り下げて描いているのに対し、「剣客商売」は、主人公が浪人のため、さまざまな
事件が起こる、もう少しフリースタイルな作風の違いを感じました。
ドラマ化、映画化、舞台化、漫画化された昭和の名作「鬼平」、大人気シリーズの第一巻。
第一巻の刊行は1968年。 文庫本は全24巻。 オススメ度:8

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