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読書感想文2018 part 5

「読書感想文2018」 part5は、9月〜10月の読書録です。

 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  怒り(上) (吉田 修一著、中公文庫)   作品の紹介 

八王子で若い夫婦が自宅で斬殺され、現場には「怒」という血文字が残され
ていた。 犯人は山神一也、27歳と判明。 八王子署の南條と北見は捜査を
続けるが、一年経っても、事件解決の糸口を見つけられずにいた。
千葉の港町で働く槇洋平は、家出した愛子を歌舞伎町に迎えに行く。
やがて町に流れ着いた田代という青年が漁協でアルバイトを始め、愛子と
同棲することになる。
東京の大手企業で働くゲイの藤田優馬は、町で直人という青年を拾い、いっ
しょに暮らし始める。
福岡から夜逃げした母とともに小宮山泉は、沖縄の波照間島で暮らし始める。
やがて、無人島で暮らす田中と名乗ると知り合いになる。
やがて、大阪の整形医から山神の手術をしたとの連絡が入り、南條と北見が
向かう。 山神は目を二重にし、人相が変わっていた、、、。
上巻は、4組の登場人物たちの日常を多元中継のように描写していくつくり。
事件との関係は、まだいっさい語られることはないが、リーダビリティーは
高い。 まるで4種類の連作短編を読んでいるような感覚。
2015年「本屋大賞」:第6位。 2016年映画化。 オススメ度:8.3

コメント  怒り(下) (吉田 修一著、中公文庫)   作品の紹介 

警察はテレビで整形後の山神の写真を公開。 埼玉の土建会社で山神が
働いていたことがわかる。
槇洋平は田代が山神ではないかと疑い、田代が働いていた長野のペン
ションを訪れる。 やがて、田代が失踪する、、、。
藤田優馬は直人に山神ではないかと軽く問い質す。 その直後、直人は
黙って姿を消す、、、。
南條と北見の元に山神が鹿児島の工事現場で働いていたという情報が
入る。 さらに、事件の鍵を握るかもしれない情報が入り、二人は山神が
目撃された場所に向かう、、、。
山神と思われる三人の男、そして三人の男を信じたいが信じきれない人たち
を描いた構成が新鮮だった。 事件はあっけない結末を迎えるけど、山神
ではなかった男たちと彼らを愛した人たちのその後もきちんと描いていて。
ひとつの殺人事件だけではなく、三つの物語を並行して堪能できた感じ。
著者の代表作のひとつ「悪人」よりも読み応えがあった。
オススメ度:8.4

コメント  人生教習所(上) (垣根 涼介著、中公文庫)   作品の紹介 

新聞に「人生再生セミナー 小笠原塾」の広告が掲載される。
元経団連会長が主催、最終合格者は就職先が斡旋される12日間50万円
のセミナー。 東大を休学中の19歳の引きこもり、浅川。 38歳の元ヤクザ、
柏木。 29歳の肥満女性ライター、森川。 定年退職したバイクメーカーの
元工場長、竹崎、64歳。
人生再生のために集まった男女30名が小笠原諸島へと出航する。
父島での三日間の研修後、中間試験の結果、合格した11名が母島に
向かい、セミナーの第二部が始まる。 生きざまも立場も年齢も違う参加者
たちはしだいにうちとけていく、、、。
個性豊かな参加者たちの人物造形が秀逸。 セミナーの講義内容もきちん
と練られていてリアルな感じがした。 オススメ度:8.2

コメント  人生教習所(下) (垣根 涼介著、中公文庫)   作品の紹介 

母島でのセミナー第二部を終え、再び父島に戻った11名のセミナー参加者。
竹崎、柏木、森川、浅川のBグループ4名は、互いの理解を深めていく。
竹崎と浅川は同室で親交を深め、柏木と森川も自由時間に思わぬ関係に。
セミナー参加者たちは、小笠原の日本返還で生活が一変した欧米系島民
たちの話を聞き、視野を広げていく、、、。
セミナー終了後、竹崎、柏木、森川、浅川の4人は新しい人生に踏み出す。
上巻よりも小笠原の歴史と文化に深く踏み込んだ内容。 日本返還による
欧米系島民の悩みや苦労、そして、現在の小笠原の新島民、臨時島民の
暮らしなど、ストーリーの本筋以外も新鮮で味わい深かった。
オススメ度:8.2

コメント  夏美のホタル (森沢 明夫著、角川文庫)   作品の紹介 

写真家志望の大学4年生、慎吾。 ひとつ年上の彼女、夏美は幼稚園教諭。
二人で出掛けた房総の山奥で84歳のヤスばあちゃんと62歳の息子、地蔵さん
に出会う。 やがて慎吾と夏美は離れを借りて、ひと夏をヤスばあちゃん、
地蔵さんとともに過ごす。 地蔵さんは仕事の事故がもとで左半身がマヒ
していたが、二人に自然の中で暮らす様々な知恵を授ける。
他にも、近所に住む偏屈な仏師、雲月、天真爛漫な拓也とひとみの兄妹らとも
親交を深め、夏休み後も週末になると、ヤスばあちゃん、地蔵さんのもとを
訪れる。 しかし、地蔵さんの体調が急変して、、、、、、。
人と人のつながりの美しさ、人を想う心根のまっすぐさを直球で描いた作品。
感涙必至。 期待以上のデキ。 2016年映画化。 オススメ度:8.4

コメント  任侠学園 (今野 敏著、中公文庫)   作品の紹介 

シリーズ第二作。 出版社の経営再建を成功させた阿岐本組を頼り、阿岐本の
兄弟分、永神が私立高校の再建話を持ちこむ。
組長の阿岐本は井の頭学院高校の理事長に就任。 代貸の日村も理事となり、
学校に乗り込むが、そこは落ちこぼれたちの吹き溜まりで荒れに荒れていた。
しかし、日村は花壇をきれいにし、割れた窓ガラスを元通りにし、壁の落書きを
消す作業を根気よく続けていく。 やがて、日村に同調し、作業に加わる生徒、
そして協力する教員も次々に現れ、学校が生まれ変わっていく。
そんな矢先、多額の寄付金を盾に学校を牛耳ろうとする保護者が日村たちの前
に立ちふさがる、、、、、、。
中間管理職的な立場の日村のあわてぶりを軸にコミカルな描写が多いが、実は
まっすぐなことのすばらしさを訴えている小説だと思う。
シリーズ第三作「任侠病院」のレビューはこちら。  オススメ度:8.1

コメント  光媒の花 (道尾 秀介著、集英社文庫)   作品の紹介 

全6編を収録した短編集。 すべてのお話がゆるやかにつながっている。
クオリティーの高い作品が並んでいるとは思うけど、読後感がスカっと
しない薄曇りのような世界観。
2010年「山本周五郎賞」受賞作。 オススメ度:8

コメント  芸者でGO! (山本 幸久著、実業之日本社文庫)   作品の紹介 

5人の芸者を主人公にした6編の連作短編集の体裁をとった作品。
東京八王子の置屋「夢民」には5人の芸者が籍を置いている。
高校を卒業したての19歳。 元プロレスラーの24歳。 元キャバ嬢の29歳。
元OLの32歳。 元看護師の45歳。 過去も生きざまも性格も違う5人が恋や
家族や生き方に悩みながらも、助け合い、互いに見守りながら今日を生きる
様をあたたかい視点で描いた一作。 オススメ度:8.2

コメント  店長がいっぱい (山本 幸久著、光文社文庫)   作品の紹介 

計8編を収録した連作短編集。 各編の主人公が他人丼のチェーン店「友々家」の
店長という設定。 店長といっても、オーナー店長もいれば、直営店で働く「友々家」
の社員店長、フランチャイズ店の雇われ店長と立場はさまざま。 年齢も22歳、25歳、
28歳、40歳、55歳などさまざま。 左遷組、転職組、離婚した主婦、家出青年たちが
札幌、八王子、江の島、はては赤道直下の南の島で奮闘する日々を描いている。
それぞれは独立した話だけど、「友々家」のできる美人社員、霧賀や新メニューコン
テスト、「友々家」の残念な二代目社長などすべての話をつなぐ要素も豊富。
深刻にならず、店長たちの喜びや悩み、生きざまを描いた佳作。 「お仕事小説」が
得意な著者が書いた「お仕事×生きざま小説」か。 オススメ度:8.2

コメント  潜行捜査 (安東 能明著、双葉文庫)   作品の紹介 

東京の石神井で一家皆殺しという残虐な犯罪が発生。 警視庁捜査一課の40歳の警部補、
幸本は、初の捜査本部でのデスクの仕事にはりきっていた。 犯人の指紋をはじめ物証
が多く、事件の解決は時間の問題に思われたが、捜査はなかなか進展しない。
やがて、幸本の捜査に対する熱意が仇となり、捜査本部から外されてしまう、、、。
事件から5年後、杉並署の生活安全課で働く幸本のもとに、同期の監察担当から石神井の
事件の犯人の指紋が別の事件現場で見つかったと知らされる。 幸本は、たった一人で
5年前の事件の捜査を再開する。
一方、警視庁幹部も、幸本とは別の二つ事件で犯人の指紋を見つけ、捜査を進める。
幸本は犯人らしき人物をあと一歩のところまで追い詰めるが、逃げられてしまう。
しかし、やがて幸本の執念が実を結ぶ、、、、、、。
著者らしい世界観、精緻なトリック、リーダビリティーの高さを堪能。
オススメ度:8.1

コメント  ゼンカン (安東 能明著、幻冬舎文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「ゼンカン 警視庁捜査一課・第一特殊班」。 5編を収録。
特殊犯捜査第一係の係長として辰巳英司警部、48歳が十年ぶりに警視庁捜査一課に
復帰する。 辰巳は、部下となった日吉巡査部長を従え、着任早々、立てこもり
事件を鮮やかに解決する。
その後も、協調性には欠けるものの、独自の洞察力と抜群のフットワークで、ストーカー
事件、バスジャック、振り込め詐欺、幼女誘拐事件を次々と解決していく。
タイトルの「ゼンカン」とは「全管集結」の略。 警視庁捜査一課の課長、二人の理事官、
十人の管理官が全員現場に臨場すること。 誘拐、立てこもりなどの特殊事案の発生時
にゼンカンとなる。 オススメ度:8.1

コメント  強奪箱根駅伝 (安東 能明著、新潮文庫)   作品の紹介 

箱根駅伝を三日後に控えた12月30日の夜、神奈川大学駅伝チームのマネージャー、
水野友里が誘拐される。 犯人は駅伝で10区を走る予定の津留康介を出場させない
ことを要求。 やがて、監禁中の映像が駅伝を中継するテレビ局に届く。
駅伝の総合プロデューサー、幸田がトシオと名乗る犯人との交渉を開始する。
トシオは、駅伝生中継のジャックをも仄めかし、現金やダイヤを要求する。
神奈川県警の酒井、郡司をはじめとしたチームが捜査を進める中、駅伝がスタート。
警察は犯人のアジトと目星をつけたところに踏み込むが二度も空振り。
往路のレースが進む中、中継車のディレクター岡村と神奈川大の津留も犯人に拉致
される。 警察は犯人が光本という男であることを突き止めるが、捕捉できずにいた。
光本と共犯の宇部が警察の目をかいくぐる中、復路のレースがスタートする。
やがて、神奈川大の監督が光本を見つけ、幸田に知らせる、、、。
終盤で一気にスカッとする展開。 だけど、そこに行くまでが長かった。
精緻な組み立てのお話とは思うけど、、、。 オススメ度:8.1

コメント  通訳官エリザ (安東 能明著、双葉文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「復讐捜査線 通訳官エリザ」。
東京、名古屋の中間に位置する大浜市(浜松市がモデルか)。 ブラジルからの
出稼ぎ労働者が大量に暮らすこの街でブラジル人専門の人材派遣会社で働くエリザ
は26歳。 7年前に来日し、今は大浜署で司法通訳の仕事もしている。
エリザがブラジルにいた10歳の頃、殺されそうになった残忍な殺人鬼ジトが整形し、
名前も変えて大浜市に潜伏しているという情報をつかむ。 身の危険を感じたエリザ
は、自宅を離れ、ホテルに滞在、独自にジトの行方を探す。
ジトの仲間と目星をつけたウーゴを尾行するが、気づかれ、捜査をやめるよう脅される。
しかし、その直後、ウーゴは事故死。 そして、ジトであると確信したアレックスという
男も殺される。 やがて、エリザはジトの正体を突き止めるが、事件は思わぬ展開を
見せる、、、。
独特の世界観。 ドライブ感もあり、精緻に組み立てられたストーリーであると思うけど、
やや複雑。 最後まで感情移入できなかった。 オススメ度:8

コメント  喋々喃々 (小川 糸著、ポプラ文庫)   作品の紹介 

東京、谷中のアンティークきもの店「ひめまつ屋」。
28歳の経営者、栞は6年前に恋人と別れ、一人暮らし。 両親は離婚し、実家の
母と妹二人との交流、そしてご近所さんとの交流があるばかり。
そんな栞が店の客、春一郎にほのかな好意を抱く。 春一郎は小春という名の
10歳の娘がいる妻帯者。 やがて相思相愛の関係になり、慎ましい恋が始まる。
静謐なささやかな大人の恋のお話。 不倫の持つマイナスのイメージをまったく
感じさせないのは、栞と春一郎の人としてのまっすぐさゆえだと思う。
二人の脇をかためるキャラの人物造形も、谷中の街の描写も秀逸。
個人的に相性のいい作品。
タイトルの「喋々喃々」とは「男女が楽しげに小声で語り合うさま」のこと。
オススメ度:8.4

コメント  インディゴの夜 (加藤 実秋著、創元推理文庫)   作品の紹介 

シリーズ第一作。 2003年「創元推理短編賞」受賞作「インディゴの夜」を含む計4編
を収録した連作短編集。
渋谷のホストクラブ「club indigo」。 クラブのようなハコでDJやダンサーみたいな
ストリート系のホストが相手をしてくれるクールなお店。
30代のフリーライター、高原晶(♀)と40代の編集者、塩谷馨(♂)が共同出資して
始めた。 店の経営は伝説のホスト、憂夜にまかせっきり。
店のホストが巻き込まれたストーカー殺人事件をきっかけに、ホストたちが探偵団の
ような働きを見せ始め、誘拐、恐喝、売春事件を次々と解決していく、、、。
ストリート系の青春×ミステリー小説。 1990年代に始まった「池袋ウエストパーク」
を彷彿させるオリジナリティー、ドライブ感、世界観、そしてクオリティー。
想像以上のデキ。 2010年ドラマ化。 オススメ度:8.2

コメント  水族館ガール (木宮 条太郎著、実業之日本社文庫)   作品の紹介 

千葉湾岸市役所に務めて三年、突然、市の水族館「アクアパーク」への出向を
命じられた由香。 イルカ課に配属になり、ぶっきらぼうだが仕事熱心な先輩、梶
の指導のもと、少しずつ水族館員として成長していく。
飼育するイルカの死、イルカショーでの失敗を乗り越え、ようやく一人前になりつつ
あった由香は梶に惹かれていく。 やがて、出向解除の日が近づき、梶も他の水族館
との人事交流で一年アクアパークを離れることになる、、、。
イルカの生態、水族館員のやりがいと悩み、水族館の裏側を巧みに描いたエンター
テインメント色豊かなお仕事小説。 期待以上のデキ。
2016年ドラマ化。 オススメ度:8.3

コメント  新釈 走れメロス (森見 登美彦著、祥伝社文庫)   作品の紹介 

名作に敬意をこめて著者が全く新しく生まれ変わらせた作品集。
「走れメロス」、「山月記」、「藪の中」、「桜の森の満開の下」、「百物語」の五編を
収録。 コメディータッチの「走れメロス」に著者の遊び心が出ていたり。 京都の
街を舞台につながる五つの物語。 著者のファン向けの作品かな。 オススメ度:8

コメント  小説家の作り方 (野崎 まど著、メディアワークス文庫)   作品の紹介 

物実はデビュー二年で四作のファンタジー小説を書いた新人小説家、24歳。
小説の収入だけでは生きていけず、塾講師のアルバイトを続けている。
そんな物実のもとに20歳の大学生、紫からデビュー以来初めてのファンレターが
届く。 紫は「この世で一番面白い小説のアイデアをひらめいたので、小説の書き
方を教えてほしい」と物実に依頼する。 報酬につられ、物実は紫に小説の書き方
を教えることになる。 紫は超美人でありながら、会話の間が悪い、天然も入った
ふしぎちゃん。 五万冊もの本を読破しているにもかかわらず、ほとんど文章を書い
た経験がなかった。 物実は根気よく紫に小説の書き方を伝授していく。
週一回の小説教室が始まり四ヶ月後、物実のもとにネットの世界の有名人、在原露
という天才女性が現れる。 紫に関する在原の予想を聞いた物実は、それを確かめ
るべく、行動に移す。 そして、紫の正体を知る、、、、、、。
著者ならではの個性的で新しい世界観、終盤のどんでん返しは健在。
この作品、映画化できんじゃない?と思ったりして。 オススメ度:8.2

コメント  食堂つばめ(2) (矢崎 存美著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

シリーズ第二作。 計4編を収録。
正式タイトルは「食堂つばめ(2)明日へのピクニック」。
この世とあの世の狭間の街にあるノエさんのお店「食堂つばめ」。
以前、ノエさんの料理の虜になった秀晴は、あの世に行くことなく、生きたまま
の状態で「食堂つばめ」でアルバイトをしている。 ノエの母、キクさんは死んだ
あと、少女の姿になって「食堂つばめ」を手伝っている。 そして、妻だったノエを
支えるりょうさん(ノエはその記憶を失くしているけど)。 りょうさんは秀晴の祖父
でもある。
今回も4人の旅人が食堂つばめを訪れ、ノエの料理を堪能、ある者は生を、ある
者は死を選び、店を後にする。 あたたかくて、やわらかい独特の世界観。
第一作のブックレビューはこちら。 オススメ度:8

コメント  食堂つばめ(3) (矢崎 存美著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「食堂つばめ(3)駄菓子屋の味」。 シリーズ初の長編。
友人に殺害された津久井英吾は、生き返りたいと思いながらも、なかなか現世に
戻れずにいた。 時間がかかることを覚悟しているノエをよそに、秀晴とキクは
英吾の友人や家族の様子を調べ始める。
やがて、秀晴は英吾を殺害した友人と接触。 殺害の動機を知る、、、。
料理の要素がやや後退した印象。 とはいえ、ミステリー部分が複雑になった
わけではなく。 オススメ度:7.9

コメント  100回泣くこと (中村 航、小学館文庫)   作品の紹介 

26歳の藤井、同じ歳の恋人、佳美。 藤井は実家で飼っていたブックの体調が
悪いと聞かされ、佳美の勧めで4年乗っていなかったバイクを修理して愛犬に
会いに行く。 バイクを修理しながら藤井は佳美にプロポーズする。
正式な結婚の前に、結婚の練習という名目で、二人は一年間の同棲を始める。
なにもかもが幸せだと思っていたが、やがて佳美が体調の変化に気づく、、、。
中盤まではいい感じのカラッとした空気感だったのに、後半は一転ウェットに
なってしまい。 80万部突破のベストセラーとのことだけど、「世界の中心で
愛を叫ぶ」を読んだ身としてはやはり新鮮味がなく。 断然「君の膵臓を食べ
たい」のアイディア、オリジナリティー、テーマに拍手でしょ。
2013年映画化。 オススメ度:7.8

コメント  地下の鳩 (西 加奈子著、文春文庫)   作品の紹介 

大阪の夜を描いた二編を収録。
表題作「地下の鳩」は、大阪ミナミのキャバレーで働く吉田がスナックのチーママ、
みさをに惹かれ、やがて同棲を始めるが自分らしさを失くしていくお話。
「タイムカプセル」は、「地下の鳩」に登場するオカマバーを営むミミィのお話。
どちらの話も、主人公の破滅願望を描いているのと感じる作品。 レベルは高いが、
好みが分かれる作品かも。 オススメ度:8

コメント  ときぐすり (畠中 恵著、文春文庫)   作品の紹介 

好評「まんまこと」シリーズの第四作。 表題作を含む六編を収録。
妻のお寿ずを亡くしてから一年。 麻之助は、神田の町名主の仕事を手伝いながら、
お寿ずを失くした痛みを少しずつ癒していく。
親友にして隣町の若き名主の清十郎、同心見習いの吉五郎に加え、吉五郎の姪で
お寿ずにそっくりの娘、おこ乃、両国橋の親分の息子、貞、そして金貸しの丸三など
麻之助のまわりはいつもにぎやか。 少しずつではあるが未来の町名主として、周り
の人たちの悩みや困りごとを解決していく、、、。
相変わらずの安定感。 個人的には同じ著者の「しゃばけ」シリーズよりもお気に入り。
お寿ず亡き後、おこ乃の存在が気になる巻となった。
第三作「こいわすれ」のブックレビューはこちら。  シリーズ特設サイトはこちら
2105年NHKでドラマ化。 オススメ度:8.3

コメント  すえずえ (畠中 恵著、新潮文庫)   作品の紹介 

大好評「しゃばけ」シリーズの第13作。 表題作を含む計5編を収録。
長崎屋の若だんな、一太郎と若だんなの幼馴染にして親友の栄吉の縁談を描いた巻。
栄吉の縁談はひと波乱あったものの、落ち着くところに落ち着く。
一太郎の縁談は、著者の粋なはからいが秀逸だった。 他にも、妖たちの新しい暮らし
が描かれていて。 13作目ながら絶好調のできばえ。
「しゃばけ」公式サイトはこちら。  オススメ度:8.4

コメント  ほかほか蕗ご飯 (坂井 希久子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「居酒屋ぜんや」シリーズ第一作。 計五編を収録した連作短編集。
神田花房町に店を構える「酒肴ぜんや」。 夫に先立たれた二十代半ばの美人女将、
お妙が上方と江戸の両方のよさを引き出した絶妙の料理を供する居酒屋。
口の悪い大年増、お妙の義姉、お勝が給仕として店を手伝っている。
常連の貧乏旗本の次男、林只次郎、二十一歳は、お妙にぞっこん。 鶯飼いとして
父を上回る収入を得て、一家を支えている。 只次郎のよき話相手で同じく常連の
太物屋の大店「菱屋」のご隠居。 只次郎の取り巻きで鶯の糞買いの又三。
酒問屋「升川屋」の若き主人、喜兵衛と上方から嫁入りした新造のお志乃。
「ぜんや」の常連たちがお妙の人柄と料理に惹かれて店に集い、ちょっとした事件
や問題に首をつっこみ、解決していく人情話。
現代もののイメージが強かった著者が書いた初の時代もの。 季節を感じさせる料理
が物語に彩りを添える。 読後感もさわやか。 ただ個人的にはお妙のキャラがもう
少し立っていてもいいのではと思うのだけど。 オススメ度:8.1

コメント  ふんわり穴子天 (坂井 希久子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「居酒屋ぜんや」シリーズ第二作。 計五編を収録した連作短編集。
大きな事件は起こらないけど、おいしそうな料理とお妙の心根に癒される巻。
二巻になってもリーダビリティーが落ちないのはさすが。 三巻も読もうかな
という気にさせるデキ。 オススメ度:8.1

コメント  あきない世傳 金と銀 源流篇 (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

人気シリーズの第一巻。 江戸時代、享保期の物語。
摂津の津門村の学者の家に生まれた幸は、八歳の時に享保の大飢饉を経験する。
将来を嘱望された十歳上の兄を病で亡くし、続いて父も亡くなる。
幸は、残された母と妹と離れ、九歳で大坂天満の呉服商「五鈴屋」に奉公に出る。
五鈴屋は、二代目徳兵衛の妻で先代の母、富久のもと、次男の惣次、番頭の治兵衛
が店を切り盛りしていた。 長男で店主の四代目徳兵衛は、廓通いが治らず放蕩三昧。
三男の智蔵は、温和でやさしい性格だが、本の虫だった。
倹約令の影響で店の商いも苦しい中、徳兵衛は船場の商家の娘、菊栄を嫁にもらう。
幸は、店の奥働きの女衆でありながら、治兵衛にその才を認められ、少しずつ商いの
基本を学んでいく。 そして菊栄にも智蔵にも目をかけられるが、嫁いで二年で菊栄は
離縁して実家に戻る。 智蔵も作家を志して家を出ていく、、、。
主人公、幸の清廉でまっすぐな心根は、著者の代表作「みをつくし料理帖」の澪に通じる
ところがあり。 読む人が応援したくなる主人公を描くのがうまい作家だなと改めて思った。
この巻は七歳から十三歳までの幸を描いている。 オススメ度:8.3

コメント  あきない世傳 金と銀(二) 早瀬篇 (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

五鈴屋の商いは依然、上向かず、徳兵衛の廓通いも続いていた。 頭を痛める富久に
番頭の治兵衛は十四歳になった幸を徳兵衛の後添えに迎えてはと提案する。
富久も治兵衛の案に同意し、幸の母、房にも話を通す。 しかし治兵衛が卒中風で倒れ、
五鈴屋を去る、、、。 幸は結婚を決意。 呉服商の組合からも認められ、祝言をあげる。
徳兵衛が幸に無関心で廓通いを続ける中、幸は番頭になった鉄助から呉服商の基本を
学ぶ。 幸は次第に、治兵衛なきあと店を切り盛りする、次男の惣次とも打ち解ける。
そんな中、長年勤めた手代が二人、徳兵衛に愛想をつかして店を辞める、、、。
一年後、治兵衛の息子、賢輔改め賢吉が丁稚として五鈴屋で奉公を始める。
さらに二年後、幸は十七歳になった。 かつて治兵衛を引き抜きにかかった大坂一の
呉服商、伏見屋から惣次を末娘の婿養子にほしいとの話が持ち上がる。
しかし、その直後、徳兵衛が酩酊し堤から足を滑らせて落下。 帰らぬ人となる。
富久は惣次に伏見屋に婿に行かずに五鈴屋を継いでほしいと懇願する。 惣次は幸を
嫁にすることを条件に富久の願いを承知する、、、。
夫、四代目徳兵衛には手を焼くものの、徐々に呉服商を理解し、ご寮さんらしくなって
いくさまを生き生きと描いた巻。 この巻は子どもらしさの残る十四歳から娘らしくなった
十七歳までの幸を描いている。 オススメ度:8.3

コメント  あきない世傳 金と銀(三) 奔流篇 (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

幸は惣次の嫁になる決心をする。 惣次は筋を通し、伏見屋に縁談の断りを入れ、呉服商
の組合や町内にも幸をきちんとお披露目する。 祝言の後、惣次は五鈴屋の改革に着手。
富久、番頭の鉄吉をはじめ、店の者たちは戸惑いをしめすが、幸の考えた浮世草紙の巻末
に広告を出すという企画があたり、店は活気を取り戻していく。 幸はさらに店の名前と五つ
の鈴の切り絵をあしらった番傘を考案。 この傘が評判を呼び、五鈴屋はさらに新規の客を
得る。 一方、惣次は西陣以外の反物を安価に仕入れる方法を模索し始める。 幸の考えを
検討し、惣次が根気よく交渉を続けた結果、生糸の産地、江州波村で機織りをし、五鈴屋が
直接仕入れるという流れができる。 波村から最初の反物が届いた矢先、惣次が波村に
前貸ししていた手形を発行した両替商が潰れる。 倒産の心配があった両替商の手形を
波村にまわしたことに怒り、村の庄屋、仁左衛門と職人の亮介が五鈴屋を訪れ、取引の中止
を申し出る。 まさかの危機に、幸は機転をきかせ、羽二重だけではなく、縮緬も生産しては
どうかと提案する。 仁左衛門と亮介は、即座に幸の商才を認め、幸が店主であるなら取引
を続けると告げる、、、。
幸のホップ・ステップ・ジャンプのジャンプにあたる巻。 惣次というよき同志、理解者を得て、
これまで蓄えた知識を知恵に変えていく幸の成長ぶりを描いている。 しかし、惣次が幸の
商才に嫉妬し、夫婦の間に溝ができ始めたのが気になるところ。 オススメ度:8.3

コメント  あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

波村の仁左衛門と亮介に店主失格とされた惣次は店を飛び出し、消息を絶つ。 やがて
智蔵が五鈴屋を訪れ、惣次の「隠居し智蔵に店を譲る」という思いを伝える。
最初は逡巡していた智蔵も腹をくくり、六代目を継ぐことを決意。 そして幸に求婚する。
幸は智蔵の求婚を受け、ともに波村に挨拶に赴く。 智蔵と幸の祝言を見届け、富久は
静かに息を引き取る。 年が明け、五鈴屋は波村の羽二重を「浜羽二重」として売り出す。
重みがあって安価な浜羽二重は好評を博し、初売り用に仕入れた五百反はあっと言う間
に完売する。 幸は浜羽二重の販路を増やすべく、治兵衛の妻、お染の叔父で近江商人
の茂作に話を持ちかけ、快諾を得る。 そして、羽二重の影響で在庫が増えた他の反物
は、五鈴屋のかつての手代、留七と伝七に委託販売のかたちで行商で売り歩くことを
依頼する。 さらに、人形浄瑠璃の人形に五鈴屋の縮緬を提供し、幸自らが同じ生地の
衣装を着て小屋に通い続ける。 この宣伝があたり、さらに店の評判と売り上げを上げる。
そんな中、老舗の大店、桔梗屋が引退を機に売却の話を進めていた真澄屋からだまされて
いたことを知り、幸は桔梗屋買収に名乗りをあげる、、、。
早くも四巻だけど、リーダビリティーの落ちない作品。 ゆっくりとではあるが、読者の願う
ように話が展開していると思うけど、まだまだ予断を許さないお話なのでしょう。
オススメ度:8.3

コメント  糸車 (宇江佐 真理著、集英社文庫)   作品の紹介 

深川で小間物の行商を生業とするお絹、36歳。 三年前、蝦夷松前藩の江戸屋敷
家老の夫が謎の死をとげ、当時12歳だった息子の優馬も失踪する。
事件をきっかけに江戸に出てきたお絹は、行商をしながら息子を探している。
お絹に好意を寄せる同心、持田の手を借り、船宿の女将、おひろや水茶屋の茶酌女、
お君に励まされ、懸命に毎日を生きていた。
やがて、息子、優馬と再会を果たすが、優馬は一筋縄ではいかない事情を抱えていた。
持田の厚意で優馬の将来に光明が差すが、思いもよらない運命がお絹と優馬に訪れる。
不幸な結末ではないけど、幸福な結末でもなく。 個人的には主人公がもう少し幸せ
になってもいいのではという感想。
著者の出身地である函館に縁のある松前藩を描いた作品は、これまでも「憂き世店」、
「たば風」、短編集「余寒の雪」に収録された「蝦夷松前藩異聞」、「桜花を見た」に収録
された「夷酋列像」など佳作揃い。 今回の作品も著者ならではの視点が秀逸。
オススメ度:8.1

コメント  雛の鮨 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「料理人季蔵捕物控」シリーズの第一作。 表題作を含む四編を収録。
日本橋の料理屋「塩梅屋」の板前、季蔵は28歳。 かつては長崎奉行を務める
鷲尾家に仕える武士だった。 許嫁だった瑠璃は、奉行の嫡男、影守の策略に
より、父が切腹、家の存続のためにに嫁ぐ。 鷲尾家を出奔した季蔵は、塩梅屋
主人の長次郎に拾われ、板前となり五年が過ぎようとしていた、、、。
そんな矢先、長次郎が殺される。 町方の同心は殺人事件として捜査をしてくれない。
長次郎と一人残された娘、おき玖のために自ら犯人をあげようとする季蔵のもとに
北町奉行、烏谷が現れる。 烏谷は長次郎が奉行所の密偵であったことを明かす。
季蔵の推理が冴え、やがて長次郎殺しの犯人を突き止める。 烏谷は季蔵に長次郎
の跡を継いで密偵になるよう誘うが、季蔵は決心できずにいた。
やがて、烏谷の計らいで、季蔵は瑠璃に再会、鷲尾影守に復讐の機会を得る、、、。
期待以上にミステリーの構成が骨太で精緻。 話のテンポも秀逸。
オススメ度:8.2

コメント  悲桜餅 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「料理人季蔵捕物控」シリーズの第二作。 表題作を含む四編を収録。
鷲尾影守のもとから救い出したものの、瑠璃は正気を失い、感情を失くしてしまう。
見かねた烏谷は、瑠璃を旧知の小唄の師匠、お涼に預ける。
長次郎の死から一年、季蔵は、まだ密偵になる決心がつかずにいた。 そんな矢先、
瑠璃が命を狙われる。 季蔵が窮地を救うが、烏谷から、瑠璃の命を狙ったのは、
影守と手を組んでいた豪商、太田屋であると聞かされる。
太田屋の悪事で罪もない人たちが命を失っていくのを目の当たりにした季蔵はつい
に長次郎の遺志を継ぎ、密偵となる決意をする。 そして、烏谷とともに策を練り
太田屋の暗殺に成功する、、、。
第一作に続き、テンポのよい展開。 リーダビリティーもグッド。
オススメ度:8.2

コメント  あおば鰹 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「料理人季蔵捕物控」シリーズの第三作。 表題作を含む四編を収録。
長次郎のあとを継ぎ、密偵となった季蔵の成長を描いた巻。
オススメ度:8.1

コメント  お宝食積 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「料理人季蔵捕物控」シリーズの第四作。 表題作を含む四編を収録。
季蔵の推理と密偵としての仕事ぶりが一段上の段階に上がるさまを描いた巻。
オススメ度:8.1

コメント  小説十八史略 傑作短編集 (陳 舜臣著、講談社文庫)   作品の紹介 

著者の名著「小説十八史略」に関係の深い短編小説十編を収録。
物語の主人公は、楊貴妃、孟嘗君、荊軻、班超など。
時代や立場、生きざまが違うさまざまな人物を取り上げたバラエティー
豊かな一作。 「小説十八史略」本編、「史記」好きの人にはお勧め。
「史記」の時代以降の作品も含まれているけど。 オススメ度:8

コメント  陰陽師 瘤取り晴明 (夢枕 獏著、文春文庫)   作品の紹介 

「陰陽師」シリーズ初の絵本。 絵は村上豊氏が担当。
薬師の平大成は、ある夜、鬼たちの宴に紛れこみ、踊りを披露。 鬼たちに
気に入られ、右頬の大きな瘤をとってもらう。 それを聞いた双子の弟、中成は
左頬の瘤をとってもらおうと兄の代わりに宴に出かけるが、まともに踊れず、
大成の瘤を右頬につけられてしまう。 兄弟から相談を受けた晴明は源博雅と
ともに鬼たちの宴に出かける、、、、、、。
晴明を恨む鬼よりも感謝し好意を寄せる鬼の方が多いというくだりが印象的。
通常の一話分の話を絵をふんだんに使って一冊に仕上げた作品。
いつもと趣が違って新鮮。 とはいえ「陰陽師」の表紙を描き続けてきた村上氏
の絵はこの作品にとてもしっくりくる。
「陰陽師」特設サイトはこちら。  オススメ度:8

コメント  陰陽師 首 (夢枕 獏著、文春文庫)   作品の紹介 

「陰陽師」絵本シリーズ第二作。
藤原長実の娘、青音を慕う二人の男、藤原為成と橘景清が、青音に呼び出される。
青音に言われるままに、景清が首塚で霊を鎮めている石を取りに行く。 なかなか
戻らない景清を心配して、為成が様子を見に行くと、景清は首を切られていた。
首塚から出てきた五つの首と景清の首から逃げて、為成が青音のところまで戻ると
青音も首を切られていた。 それ以来、為成は青音を含む七つの首に狙われる。
ほどなく、晴明と博雅が為成を救うべく、為成の屋敷に向かう、、、。
オススメ度:8

コメント  陰陽師 鉄輪(かなわ) (夢枕 獏著、文春文庫)   作品の紹介 

「陰陽師」絵本シリーズ第三作。
心変わりして自分のところから去った藤原為良を恨み、徳子は生成りの鬼と化す。
為良に復讐せんと屋敷に乗り込んだところ、晴明と博雅に止められる。
晴明と博雅が徳子の屋敷を突き止め、乗り込むが徳子は自ら命を絶とうとしていた。
この物語を舞踏劇と演じる際の著者自らが書き起こした脚本も収録。
オススメ度:8

コメント  華、散りゆけど (海道 龍一朗著、集英社文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「華、散りゆけど 真田幸村 連戦記」。
大坂冬の陣、夏の陣を中心に、幸村の父、昌幸が二度、徳川方に勝利した
戦いにも触れている。
経過も結末もわかっている物語なのに、ついつい読みたくなるのが、この
武将の魅力だと思う。 個人的に思い入れが強い人物でもあるのだが。
名作「真剣」を書きあげた著者なら真田幸村をどう描くのか期待して手に
とった一作。 500ページを超える大作。 オススメ度:8

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