コメント HOME コメント り ん コメント かなう コメント Mama コメント T . T コメント Family


コメント コメント コメント コメント   コメント コメント コメント コメント コメント コメント

読書感想文2017 part 1

「読書感想文2017」 part1は、1月〜2月の読書録です。

 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  私の男 (桜庭 一樹著、文春文庫)   作品の紹介 

24歳の花は派遣社員の受付。 派遣先の育ちのいい男と結婚する。
花は、10歳のとき、震災で家族を亡くし、遠い親戚である淳悟に引き取られた。
25歳の淳悟は、花の養父となり、北海道の北の町、紋別で二人で暮らし始める。
淳悟は、花の実の父親であるにもかかわらず、やがて父と娘の一線を越え、愛し
あうようになる。 花は、高校1年のとき、二人の関係を知った町の長老を殺害。
花が犯人であることは、警察の捜査でわからなかったが、二人は東京で新しい
生活を始める。 しかし、花が犯人であると確信した紋別の刑事が東京を訪れ、
淳悟は、刑事を殺害する、、、、、、。
物語の第一章は、花が24歳のころを描き、3年前、8年前、12年前、15年前へと
遡っていきます。 章ごとに、語り手を、花、花の恋人、淳悟、淳悟の恋人へと
変えていく構成。 余人の常識にとらわれない、余人の理解を求めない、花と
淳悟の濃密な関係と時間を描いた問題作。 とても小説らしい小説。
2008年「直木賞」受賞作。 2014年映画化。 オススメ度:8.2

コメント  天国旅行 (三浦 しをん著、新潮文庫)   作品の紹介 

「心中」をテーマにした短編集。 計7編を収録。
二人の亡夫への愛の証として、静謐な最期のときを迎えた女性のお話。
心中まで決意して命がけで結ばれた夫婦の何年後かに再び訪れた心中の可能性。
突然の交通事故で幽霊になった彼女と暮らし続ける大学生のふしぎな日常。
「心中」がテーマだけど、ストレートに心中を描いたものは少なく、時間差の心中、
自殺とその可能性を描いた作品からなる短編集。 とはいえ、後ろ向きのお話は
少なく、生きる勇気とか心の再生も書かれていて。 名手にかかると、心中もこんな
ふうに料理されるのか、とただただ感心。
「本の雑誌」2014年度 文庫「エンターテインメント部門」:第5位。
収録の一編「炎」が2016年ドラマ化。 オススメ度:8

コメント  果てしなき渇き (深町 秋生著、宝島社文庫)   作品の紹介 

自室に大量の覚せい剤を残し失踪した高校生の加奈子。 離婚した妻の依頼でその行方を追う
元刑事で加奈子の父、藤島。
一方、三年前。 級友から酷いイジメにあっていた尚人は助けてくれた加奈子に惹かれ、彼女の
誘いであるパーティーに出かけるが、そこは闇の世界への入口だった、、、。
藤島が加奈子の行方を追い、捜査を進めるにつれ、少しずつ浮かび上がる加奈子の輪郭と実態。
加奈子は藤島の想像をはるかに超えた闇を抱え、力も持っていた、、、。
現在と過去の物語が交錯し、事件の核心に近づいていく構成、リーダビリティーが秀逸。
著者独特の世界観のなか、バイオレンスと絶望が支配するエンターテイメント作品。
2005年「このミステリーがすごい」大賞受賞作。 2014年映画化。 オススメ度:8.1

コメント  金曜日の本屋さん (名取 佐和子著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

倉井史弥は、東京の大手書店の御曹司。 内気な大学3年生。 病床の父に借りた本を失くして
しまうが、北関東の小さな本屋の駅ナカ書店「金曜堂」店長の南槇乃の助けで事なきを得る。
この出会いがきっかけで「金曜堂」でバイトを始めた史弥は、槇乃の同級生で書店オーナーの
ヤス、書店併設の喫茶店担当の栖川とともに書店員としてけんめいに働き、数々の名作に触れ、
本を介して様々な人々との交流を深めていく。 そして、槇乃にほのかな恋心を抱く、、、。
四章からなる連作短編集の体裁。 各章ごとに日本、海外の名作に一作ずつフォーカスしている
つくりが物語に厚みを持たせていました。 本好きに捧げる一作。 オススメ度:7.8

コメント  嫌われる勇気 (岸見 一郎/古賀 史健著、ダイヤモンド社)   作品の紹介 

心理学者アドラーの提唱する「アドラー心理学」の入門書。
小説ではないし、ひごろこういう本はあまり読まないのだけれど、キャッチーなタイトルと
ドラマ化(それも刑事ドラマ)されることで興味を持ち、購入。
うまくいかないことの原因を過去の経験やトラウマとするフロイトの「原因論」−「子どもの
ころに虐待を受けたから、社会でうまくやっていけない」−に慣れた人には、アドラーの
「目的論」−「社会に出て他者と関係を築きたくないから、子どものころに虐待を受けた
記憶を持ち出す」−は、共感できるか否かは別にして、かなり新鮮なはず。
「人生とはいつでも選択可能であり、過去にどんなつらいことがあっても、これからどう生きる
かには関係がない。人は変われないのではなく、ただ『変わらない』という決心を下している
に過ぎない。幸せを実感できない人に足りないのは、幸せになることに伴う『勇気』が足りない
だけである」とする「勇気の心理学」を解説した一冊。
上記のようなアドラー心理学の入口の解説に始まり、主題である「嫌われる勇気」の説明へと
続いていきます。 「嫌われる勇気」を持つというのは、安易に「嫌われてもいいじゃないか」と
いう意味ではなく、「すべての人に好かれようとするのは、自分にも他人にも嘘をつく」という
ことだと書かれてあり、持論に近く納得。 すべての考えに賛同したわけではないけど、アカデ
ミックすぎず、興味深く読める一冊。 二度読みしてしまいました。
2014年Amazon書籍ランキング1位。 100万部突破。 2017年ドラマ化。 オススメ度:8.1

コメント  幸せになる勇気 (岸見 一郎/古賀 史健著、ダイヤモンド社)   作品の紹介 

上記「嫌われる勇気」の続編。 巻末の解説によると、「嫌われる勇気」がアドラー心理学の
地図=目標だとすると、本書はコンパス=行動指針のような位置づけだとのこと。
教育論に始まり、組織論、仕事論、社会論、人生論、そして、愛、自立というテーマに沿って
アドラー心理学の考え方、実践方法が展開されていきます。
二冊とも、フロイトやユングの心理学に慣れ親しんだ人にとっては、ひじょうに新鮮であり、
時には、日本でメジャーなフロイト心理学を否定しているかのようにもとれる劇薬のような
考え方に触れることができて、知的な刺激を受けることができました。
本書の考えたに従い、新しい人生を歩み始める、歩み続けるのは、時間と努力を要すること
ではあるけれど、部分的には試してみたい考えもありました。 話題になるのも納得。
個人的には「嫌われる勇気」のほうがおススメ。 オススメ度:8

コメント  アドラー心理学入門 (岸見 一郎著、ベスト新書)   作品の紹介 

上記の二部作を著したアドラー研究者のアドラー心理学解説本。 タイトルに「入門」とある
ものの、一般の読者への「入門」というには、ややアカデミックすぎる内容という印象。
どちらかというと、心理学専攻の学生や心理学に詳しい人向けの入門書では。 オススメ度:6

コメント  日本一わかりやすいアドラー心理学入門 (谷口 のりこ/土居 一江著、リンダパブリッシャーズ)   作品の紹介 

32歳のOL、静香、アドラー心理学の元教授、76歳の楽子、そして、静香の部署の新人で
アドラー的な考えの持ち主、よし子を中心とした物語。
静香が仕事で抱える悩みやよし子の行動を楽子に相談、報告し、楽子がアドラー心理学を
解説しながら、静香の悩みを軽くしていくという流れ。
生真面目な静香が楽子のアドバイスやよし子の生き方に触れ、徐々にアドラー的な視点、
考え方をいかして成長していくさまを描いています。 タイトルの通り、確かにわかりやすい
内容。 レベル的には「嫌われる勇気」の前に読む本かな。 アドラー心理学のさわりだけ
知りたい人にはおすすめだけど、この本だけで、生き方変えることはないかも。 オススメ度:7.2

コメント  アドラー365日の言葉 (津田 大愚著、リンダパブリッシャーズ)   作品の紹介 

その名の通り、アドラーのことばを365収録した一冊。 それぞれのことばにかんたんな解説が
加えられているだけのシンプルな構成。 「嫌われる勇気」と「幸せになる勇気」を2回ずつ
読んで、自分なりにアドラー心理学の基本的な部分は理解できたと考え、おさらい用に購入。
職場のデスクには「アドラー日めくり」を掲げ、家ではしばらくの間、この本を手元に置いて
おこうかな、という考え。 さっそく二度読み。 365のことばを集める、選ぶのはたいへんだった
と思うけど、アドラーブームに乗っかって急いでつくった感は否めない。 やや雑なつくりという
印象。 オススメ度:7

コメント  人生の意味の心理学 (岸見 一郎著、NHK出版)   作品の紹介 

NHK Eテレ「100分 de 名著」シリーズの一作。 2016年2月にオンエアされ、反響が大きく、
同年10月に再放送。 私は25分×4回の放送をYouTubeで観ました。 「人生の意味の心理学」
というアドラーの著書の解説だったので手にしてみたけど、内容はアドラー心理学入門的な
感じ。 初めてアドラー心理学に触れる人がその基本概念を知ったり、「嫌われる勇気」で
アドラーに触れた人のおさらいにはいい一冊。 オススメ度:7.3

コメント  漢方小説 (中島 たい子著、集英社文庫)   作品の紹介 

31歳独身の脚本家みのりは、元彼の結婚話を聞いて以来、原因不明の体調不良に。 救急車で
緊急搬送されたり、あちこちの病院で検査するも、原因はわからずじまい、、、。
そんな彼女が行き着いたのは漢方診療所。 担当の医師にほのかな恋心を抱き、少しだけど漢方
のことも勉強して、友だちと何気ない時間を過ごし、、、。 しだいに身体と心がが回復していく。
ひとりの女性のささやかな再生の物語。 肩に力の入らない読み心地のいいお話だったけど、私には
ややライトすぎたかも。 2004年「すばる文学賞」受賞作。 オススメ度:7

コメント  雀蜂 (貴志 祐介著、角川ホラー文庫)   作品の紹介 

11月下旬、吹雪の八ヶ岳。 山荘で目覚めた小説家の安斎にスズメバチの大群が襲いかかる。
スズメバチが活動しないはずの寒さの中、大量に出現した敵に戸惑う安斎。 彼は三年前に
スズメバチに刺され、重度のアレルギーを発症。 再び刺されたら、アナフィラキシーショック
により死に至ることもあると医師に宣告を受けていた。 妻は姿を消し、外部との連絡も一切
とれない状態にされており、吹雪の外に逃げることもできない。 安斎は、あの手この手でスズメ
バチを撃退し続けるが、、、、、、。
ラスト25ページで驚愕のどんでん返し。 ありかもしれないけど、共感できない読者も多いかも。
個人的には、やや納得いかず。 オススメ度:7

コメント  金春屋ゴメス (西條 奈加著、新潮文庫)   作品の紹介 

近未来、かつての江戸幕府を再現した江戸国が日本から独立。 江戸は鎖国を貫き、人々は
江戸時代そのものの暮らしを送っていた、、、。
辰次郎は大学2年生。 江戸で生まれだが、致死率100%の伝染病「鬼赤痢」の治療のため、
5歳のときに両親とともに日本に移住した。 しかし、父の幼馴染で、今は江戸国の長崎奉行の
もとで働く十助の手引きで、15年のときを経て、江戸国に移住する。
辰次郎は、身の丈 六尺六寸、目方 四十六貫、極悪非道、無慈悲だが、頭脳明晰の女性「金春屋
ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守のもとで下働きを始めることに。 やがて、十助から、現在、江戸で
再び鬼赤痢が猛威をふるい始めていることを知らされる。 十助は、鬼赤痢の患者の唯一の生き
残りである辰次郎に治療方法を探るように命じる。 辰次郎が治療法を探るうち、鬼赤痢をめぐる
殺人事件が起こり、事件の解決とともに赤赤痢の治療法解明に近づいていく、、、。
近未来のお話なのに、中身はどっぷり時代小説。 うそみたいな設定だけど、読了したあとは、
この奇抜な設定の理由がすとんと腑に落ちるしくみ。 なかなか新鮮なテイストでした。
2005年「日本ファンタジーノベル大賞」受賞作。 オススメ度:8.1

コメント  世直し小町りんりん (西條 奈加著、講談社文庫)   作品の紹介 

元南町奉行所与力、榊安右衛門と辰巳芸者の間に生まれたお蝶は十八。 母と二人暮らしだったが、
一年前に母を亡くし、三月前に父も亡くした。 今は日本橋で長唄の師匠をしている。
南町奉行所与力を務めるお蝶の兄、安之の妻、沙十(さと)は、薙刀の名手。
沙十、お蝶の美人姉妹は、さまざまな頼まれごとを、力を合わせて解決していく、、、。
やがて、安右衛門が殺害された謎を探ることになり、二人は危ない目に合いながらも、徐々に事件
の核心に近づいていく、、、。
一見、連作短編と思いきや、やがて、安右衛門殺害の謎に集約されていくという宮部みゆきさんの
ような見事な組み立て。 人物造形も魅力的であり、著者の別の作品も読みたくなりました。
2016年度「本の雑誌」文庫 時代小説部門:第3位。 オススメ度:8.2

コメント  岳飛伝 3 嘶鳴の章  (北方 謙三著、集英社文庫)   作品の紹介 

兀朮(ウジュ)率いる金軍 二十万と呼延稜が指揮をとる梁山泊軍 八万が激突。梁山泊軍は旧楊令軍
を率いる蘇hが、楊令の遺児で、兀朮が養子とした胡土児に討ち取られ、二万二千の兵を失う。
しかし、金軍五万の兵を討ち取り、優勢のうちに戦いを終える。 聚義庁は宣凱に全権を託し、金との
講和交渉にあたる。
王貴は商材を輸送中、南宋の辛晃に急襲され、荷駄をすべて奪われ、隊が全滅する。 王貴も重傷を
負うが、致死軍の羅辰に救出され、岳飛軍の養生所で治療を受ける。 梁山泊は報復として、史進が
出撃し、張俊軍に一万の被害を与えた。
秦容は、金との戦いの後、軍を離れ、伍覇とともに遥か南の地で甘藷づくりに挑む。 やがて、軍を
退役した黄鉞も仲間に加わる。
一方、南宋では、岳飛が着々と金との戦いの準備を進め、王貴に兵糧の手配を依頼する、、、。
この巻は、何と言っても、呼延稜、史進とともに梁山泊軍の絶対的中心人物だった秦容が軍を離れた
のが衝撃。 あと、王貴と岳飛の交流も互いの陣営を認め合う漢たちの気持ちが颯爽と描かれていた
のも印象的。 オススメ度:8.3

コメント  狐狸の恋 (諸田 玲子著、新潮文庫)   作品の紹介 

人気シリーズ「お鳥見女房」の第四作。 計八編を収録。
将軍家の鷹場の巡検、鷹狩の準備、鷹の餌となる鳥の生息状況を調べる役目、御鳥見役の女房、
珠世と矢島家の家族、まわりの人々を描いた物語。
珠世の夫、伴之助は決死の密偵の仕事をやり終え、右筆として平穏な日々を過ごしていた。
長男、久太郎は見習いから正式のお鳥見役に任命される。 老中水野忠邦の鷹匠の娘、鷹姫こと
恵以との縁談は断ったものの、お互い惹かれあっていた、、、。
一方、次男、久之助も祖父、久右衛門が密偵として甲府に潜入していた頃に愛した女の娘、綾に
心を寄せる、、、。
この巻は、珠世の息子二人の恋の話が中心に展開していきます。 結局、二人の恋は成就し、久太郎
は恵以を嫁に迎えることになり、久之助は綾と二人、夫婦養子として他家に入ることに。
シリーズも四作目に入り、代替わりが始まった印象。
第三作「鷹姫さま」のレビューはこちら。  オススメ度:8.1

コメント  巣立ち (諸田 玲子著、新潮文庫)   作品の紹介 

人気シリーズ「お鳥見女房」の第五作。 計七編を収録。
珠世の次男、久之助が他家に養子に入り、綾との婚礼を済ませる。 続いて、長男、久太郎が
恵以を娶り、珠世の姑としての新しい生活が始まる。
かつて矢島家に居候していた源太夫の後妻、多津に子どもが生まれ、珠世の父、久右衛門が
名付け親となった。 そんな折、将軍の鷹狩りの直前に大事件が発生し、問題解決のために
奔走した久右衛門が倒れ、還らぬ人となる、、、。
久太郎の新妻、恵以と珠世、久右衛門の交流、やさしくまっすぐな心根に焦点をあてた巻。
久右衛門の晩年の描き方が秀逸。 オススメ度:8.2

コメント  幽霊の涙 (諸田 玲子著、新潮文庫)   作品の紹介 

人気シリーズ「お鳥見女房」の第六作。  計七編を収録。
次男、久之助の嫁、綾の流産。 次女、君江の出産。 源太夫の長女、里の縁談。
珠世のまわりでさまざまなできごとが起こる中、長男、久太郎が密偵の役目で相模に
出かけたきり、行方不明になる。 暗殺の危機を乗り越え、久太郎は無事に戻る。
そして、恵以にも懐妊のきざしが、、、。 しかし、相模で久太郎の命を助けた娘に
災難が降りかかる、、、、、、。
久太郎を想う珠世と恵以の心根の美しさが心をうつ巻。 六巻になっても、リーダビリ
ティーに衰えが見えないのはさすが。 オススメ度:8.2

コメント  ひなこまち (畠中 恵著、新潮文庫)   作品の紹介 

大人気「しゃばけ」シリーズの第11作。 表題作を含む計5編を収録。
ある日、長崎屋の若だんな、一太郎のもとに舞い込んだ木札には「お願いです。
助けてください」と書かれていた。 とはいえ、誰を助けたらいいのか、わからない。
そうこうしているうちに、一太郎は次々とやっかいが持ち込まれ、人助けをするが、
どうやら、木札とは別件のよう。 しかし、木札の意味がわかるときが訪れて、、、。
この巻の5つのお話は、木札の謎だけではなく、登場人物もゆるやかにつながって
いて、いつもの巻より連作短編の趣きが少し増した印象。 オススメ度:8.1

コメント  たぶんねこ (畠中 恵著、新潮文庫)   作品の紹介 

大人気「しゃばけ」シリーズの第12作。 表題作を含む計5編を収録。
あいかわらず、マンネリに陥らない、読者を飽きさせない著者の工夫とリーダ
ビリティーに脱帽。 前巻からの新しい登場人物が物語に彩りを添え、なおかつ
巻を越えたゆるやかなつながりも小技として効いていました。 オススメ度:8.1

コメント  えどさがし (畠中 恵著、新潮文庫)   作品の紹介 

「しゃばけ」シリーズ、初の外伝。 表題作を含む計5編を収録。
若だんな、一太郎の祖母である大妖、おぎんにつかえる前の佐助。 明治の世で、
長崎屋ならぬ長崎商会を守りながら、若だんなの生まれ変わりを待つ仁吉。
河童の親分の禰々子、広徳寺の僧の寛朝、岡っ引きの清七のおかみさん、おさき。
若だんなは出てこないけれど、周りを彩る登場人物たちの過去と未来、そして今を
描いたお話の数々。 「しゃばけ」ファンならお勧めの一冊。 オススメ度:8

コメント  信長の影 (岡田 秀文著、双葉文庫)   作品の紹介 

上杉謙信、織田信光、浅井長政、蒲生氏郷、柴田勝家、足利義昭、織田秀信、土田御前ら
信長の血縁者や家臣、好敵手たちの目を通して信長を描いた短編集。
作中、信長の心理描写は、いっさいないけれど、信長の行動や影に疑心暗鬼になったり、
怯えて、判断を誤ったり、墓穴を掘った人たちの心の揺れを描いた佳作。 オススメ度:8

コメント  泣きの銀次 (宇江佐 真理著、講談社文庫)   作品の紹介 

小伝馬町の大店の若旦那だった銀次は、十年前、最愛の妹、お菊が殺されたことが
きっかけで岡っ引きとなる。 以来、北町奉行所同心、表 勘兵衛のもとで懸命に
働くが、未だ妹殺しの下手人は挙がっていない。 岡っ引きとしての腕は一流だが、
殺しの被害者に感情移入して大泣きするので、「泣きの銀次」と呼ばれている。
二十八歳になった銀次は八丁堀近くの裏店で暮らし、実家の店で働くお芳を嫁に
もらおうと決めている。
そんな矢先、お芳の父で岡っ引きの弥助が殺される。 銀次は、弥助殺しの捜査を
進めるが、容疑者はなかなか尻尾をつかませない。 さらに、銀次の実家が押し込み
強盗の被害にあい、父と弟夫婦を失う。 銀次は実家に戻り、店の主人と岡っ引きの
二足のわらじを履くことに。 お芳は銀次が主人になったことで、自分とは不釣り合い
だと感じ、身を引くべく姿を消す。 銀次はお芳を探すが、いっこうに居場所がつかめない。
しかし、弥助殺し、妹のお菊殺しの犯人の証拠をつかみ、お芳の消息にもめどがたち、、、。
著者お得意の人情捕物帳。 人物造形、ミステリー、話の構成、どれもが秀逸。
読むたびに、これほど安定感のある作家はほんとに貴重ですばらしいと思う。
オススメ度:8.2

コメント  井伊直虎 聖水の守護者 (童門 冬二著、成美文庫)   作品の紹介 

桶狭間の戦いで今川義元が討たれた後、井伊家に次々と災難が降りかかり、尼になっていた
次郎法師が宗主となり、直虎と名乗る。 直虎は、勢いを増していた徳川家康に接近し、領地と
次期当主である虎松(直政)を守り続ける、、、。
2017年NHK大河ドラマの主人公、井伊直虎の生涯を解説した作品。 小説だと思って買ったら、
「歴史街道」のコラム風の文章の長編版でした。 井伊直虎は、これまで全く知らなかったので、
それなりに新しい知識は得たけれど、主人公に感情移入できずに読了。 小説みたいにドラマ
ティックな展開は期待していなかったけど、話のスケールが小さい上に、直虎の心根の描き方が
一本調子で、イマイチ偉大さを感じられず。 オススメ度:6.5

コメント 読書感想文2016-(6)へ   コメント 2017-(2)へ    コメント T.Tのページへ    コメント トップページへ