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読書感想文2010 part 4

「読書感想文2010」 part4は、7月〜8月の読書録です。

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コメント  獣の奏者 T(闘蛇編) (上橋 菜穂子著、講談社文庫)   作品の紹介 

大人気シリーズの第一巻(全四巻)。 漫画にもアニメにもなり、海外でも翻訳されています。
リョザ神王国は、真王(ヨジエ)、ハルミヤが治める国。 王国の国防を担う重臣である大公(アルハン)が闘蛇(とうだ)を
中心とした軍備で他国への睨みをきかせている。 闘蛇は、兵を乗せて戦場を駆ける龍に似た獣であり、エリンは、闘蛇を
養育する山間の小さな村で生まれた。 父は幼い頃になくしたが、母、ソヨンは、闘蛇の世話をする獣ノ医師として村でも
一目置かれている。 しかし、ソヨンは、緑の目を持つ謎の民、「霧の民(アーリヨ)」の出であったため、長老や村人たちから
好意を抱かれるまでには至らなかった。 エリンが十歳のある日、母、ソヨンが世話をしていた最強の闘蛇軍が突然死して
しまう。 ソヨンは、責任をとらされる形で処刑されることになる。 エリンは、単身、母を助けようとするが叶わず、母に操ら
れた闘蛇に乗って遠くの地に逃れる、、、、、、。
幸運なことに、養蜂を営む初老の男、ジョウンに助けられ、山間の地での二人きりの生活が始まる。
ジョウンの愛情に包まれ、心の平静を取り戻していくエリン。 ある日、二人で出かけた山奥で、偶然、野生の王獣を目にする。
巨大な翼と白銀に輝く体毛、精悍な顔つきを持つ神々しい王獣にエリンは一瞬にして心を奪われる。
14歳になったエリンは、息子に請われ王都に戻ることになったジョウンと別れ、王獣保護場に併設された学校に入学する。
ジョウンの旧友で学校の教導師官、エサルに認められ、傷ついた王獣、リランの世話をすることになるが、、、、、、。
著者の代表作、「守(も)り人」シリーズのように、大人も楽しめる、良質のファンタジー作品にしあがっています。
個人的には、この「獣の奏者」の方が好みかも。 「ハリーポッター」を初めて読んだ時のような高揚感がありました。
講談社の「獣の奏者」特集ページは コチラ。  「本の雑誌」2006年上半期ベスト1作品。 僕のオススメ度:8.2

コメント  獣の奏者 U(王獣編) (上橋 菜穂子著、講談社文庫)   作品の紹介 

王獣保護場で、傷ついた王獣、リランと心を通わせることに成功したエリン。 しかし、エリンがリランと心を通わすことが
できたのは、リョザ真王国の祖であるジェが定めた「王獣規範」に従わず、エリン独自のやり方が功を奏したからだった。
王獣保護場で「王獣規範」に従って育てられている他の王獣と違い、リランは色つやのいい野生の王獣のように成長していく。
やがて、リランは、空を飛んだり、子を産んだり、それまでの(飼いならされた)王獣の常識を塗り替えていく。
女王、ハルミヤが王獣保護場を行幸で訪れた際、エリンは、刺客から女王の命を救う。 そして、女王に王国の始まりにまつ
わる歴史を話す。 人格者であり、寛容な心の持ち主であるハルミヤは、必ずしも耳触りのよくない、王国の真の歴史に耳を
傾ける。 ハルミヤによって、国も、王獣の扱いも、正しい道を歩むと思ったのもつかの間、女王が急逝し、孫娘のセィミヤが
即位する。 セィミヤの叔父、ダミヤが不穏な動きをする中、国が次第に揺れ始める、、、、、、。
著者による「文庫版あとがき」を読んでわかったのですが、この物語は、本来であれば、二巻で終わっていたのだそうです。
ところが、読者や作家からのリクエスト、アニメ化の動きなどが著者に力を与え、エリンのその後を描いた第三巻(探求編)と
第四巻(完結編)を書いたとのこと。 確かに、二巻で話はくぎりをつけています。 だけど、同時に、その後も読みたくなる
気持ちが猛烈に沸いてくる。 そんな傑作だと思います。 著者は「児童文学を書いたつもりはない」とも書かれています。
なるほど、大人にも読みごたえのある作品なので、「子ども向け?」とか「ファンタジーでしょ?」とかいう先入観を持たないで
ぜひ、手にとってみてください。 僕のオススメ度:8.7
コメント  風魔(ふうま) 上・中・下 (宮本 昌孝著、祥伝社文庫)  
コメント(上) コメント(中) コメント(下) 作品の紹介 

豊臣秀吉の全国統一前夜から徳川家康の征夷大将軍就任までの時代を描いた作品。
箱根の山を本拠地とする忍(しのび)の集団、風魔一党の若き頭(かしら)、小太郎は、小田原の北条氏を攻める豊臣秀吉の
大軍を前に奮闘する。 しかし、決戦を前に父を失い、関東各地で敗戦を重ねた主家、北条氏もついに降伏する。
小太郎は、伊達や佐竹など名だたる大名の誘いを断り、幼馴染で古河公方となった氏姫を守る暮らしを選ぶ。
しかし、文禄・慶長の役に象徴される秀吉の政(まつりごと)に、大名たちは疲弊し、天下を狙う徳川家康の暗躍、石田三成の
台頭など、時代は再び波乱の予感を見せ始める。 そんな中、服部半蔵率いる伊賀の忍、そして、甲賀の忍、小太郎と袂を
わかった風魔の残党、柳生又右衛門などが、豊臣対徳川の対立の裏で暗躍する。 戦いを好まなかった小太郎だが、亡き父
の盟友であり、大坂方の忍の頭、新左衛門の動きもあり、争いの中に身を置くことになる、、、、、、。
2メートルを超える巨漢でありながら、小太郎は、敏捷で無敵、そして、心やさしい自然児として描かれています。
伊賀者や柳生との戦いで何度も絶体絶命の危機を迎えながらも、かつて、小太郎が助けた人々が、彼の窮地を救います。
それは、時には、徳川方のこともあり。 打算のない、無欲でさわやかな小太郎の生き方が、敵にも感動を与えるのです。
三巻で約1,300ページという大作ですが、ノンストップで読めるエンターテイメント歴史小説の傑作。
著者の宮本 昌孝さんは、本作以外にもハイレベルの歴史小説を書かれています。 たとえば、この二作↓(おすすめです)。
「藩校早春賦」、「夏雲あがれ」のブックレビューは コチラ
「本の雑誌」2009年度文庫「時代小説部門」第1位。 僕のオススメ度:8.2

コメント  黒龍の柩(ひつぎ) 上・下 (北方 謙三著、幻冬舎文庫)  
コメント(上) コメント(下) 作品の紹介 

「池田屋事件」から「函館五稜郭の戦い」までの新撰組 副長 土方 歳三を描いた作品。
京で倒幕派の浪士を斬り続け、次第にその地位を固めつつあった新撰組の中で、No.2の総長、山南 敬助は、幕府の軍艦奉行、
勝 海舟と出会い、新しい日本を考え始める。 やがて、不治の病を悟った山南は、自らの命と引き換えに、新撰組内の不穏分子
伊東 甲子太郎派の力を削ぎ、遺志を土方に託す。 勝 海舟、坂本 龍馬、そして、勘定奉行の小栗 上野介らと親交を深める内、
土方の頭の中に、幕府亡き後の新しい日本が見え始める。
坂本 龍馬が暗殺され、徳川 慶喜が大政奉還し、官軍となった薩摩、長州が江戸に向かって進軍する中、土方は、勝、小栗らと
ともに、不戦を貫きつつも、欧米列強に侵されない新しい日本をつくるため、奔走する、、、、、、。
北方 謙三さんの作品ですから、土方の熱い漢(おとこ)ぶりは堪能できるのですが、今までの土方像とはかなり違う面も描かれて
います。 物語後半の土方は、勝、小栗、榎本 武揚、大鳥 圭介らとともに、新しい日本をつくるために理想に燃える政治にも精通
した軍人のような印象を受けました。
「本の雑誌」2005年度文庫「時代小説部門」第6位。 僕のオススメ度:8

コメント  ジウV (誉田 哲也著、中公文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「ジウV 新世界秩序」。全三巻の完結編。
警視庁 捜査一課で同僚だった門倉美咲と伊崎基子という二人の対称的な女性を描いた新タイプの警察小説。
女性が主人公ですが、中身はハードな作品。 この第三巻は、超ハードなテイストでした。
【あらすじ】一連の事件の主犯と目される中国人青年、ジウを裏で操るミヤジが仕上げの行動を起こした。
新宿歌舞伎町を占領し、総理を人質にとる。 基子は、ミヤジに騙され、はからずも、ミヤジと行動をともにすることになる。
美咲は、基子を説得すべく、歌舞伎町に潜入するが、、、、、、。
第一巻、第二巻とはうって変わって、テロ組織 vs 警視庁というか、国家という、ややもすれば現実離れした展開に。
それにしても、タイトルにもなっているジウは、一巻、二巻に続き、ほとんど登場せず。 ま、いいんですけどねw
とは言え、ドライブ感とリーダビリティーは健在。 満足度の高いシリーズでした。
シリーズ第1弾「ジウT」のブックレビューは コチラ。  「ジウU」のブックレビューは コチラ。   僕のオススメ度:8

コメント  疾風ガール (誉田 哲也著、光文社文庫)   作品の紹介 

柏木 夏美、19歳。 ロックバンド「ペルソナ・パラノイア」のギタリスト。
宮原 祐司、29歳。 元ロッカー。 現在は芸能プロダクション「フェイス・プロモーション」の社員。
夏美のバンドのライブを見て、祐司は、夏美の天性の才能とスター性に一目ぼれする。 自分のプロダクションに
熱心に誘うが、バンドのボーカル、城戸 薫と活動を続けることに固執する夏美は、まったく相手にしない。
それでも、あきらめずにアタックを続ける祐司。 そんな中、薫が謎の自殺を遂げる、、、。
バンドのメンバーでありながら、音楽のこと以外、薫のことを何ひとつ知らなかった夏美は、薫のことを知ろうと、
彼の故郷ではないかとあたりをつけた新潟に行く決意をする。 祐司も強引に付き合わされることになり、夏美と
祐司の、薫の過去を探る旅が始まる、、、、、、。
という感じの、音楽×青春×ミステリー小説です。 著者の誉田 哲也さんの作品を最近、よく読むのですが(たと
えば、↑の「ジウ」シリーズ)、これまでに読んだ「警察小説」とは一線を画した作風でした。
とは言え、他にも、話題の「武士道シックスティーン」シリーズなども書かれているわけで、著者の中では、警察
小説とそれ以外の作品のバランスをうまくとっているんでしょうね。 それにしても、誉田さんは、女性が主人公
しか書かないんだろうか、、、。 僕のオススメ度:7.5

コメント  月光 (誉田 哲也著、徳間文庫)   作品の紹介 

結花(ゆか)は、3つ違いの姉と同じ高校に入学し、クラブも姉と同じ写真部を選んだ。 しかし、姉の涼子は、
卒業を前にバイクにはねられ事故死していた。 地元とは遠く離れた場所で、しかも、姉をはねたのが偶然通り
かかったクラスメイトの菅井だったという不自然さに疑いを持った結花は、姉の死の真相を調べ始める。
姉の撮った写真に多く写っていた音楽教師の羽田(はた)の協力を得て、涼子をはねた犯人、菅井の居所を
つきとめるが、知らなかった方がよかったかもしれない、姉の過去が明らかになっていく、、、、、、。
↑の「疾風ガール」と同じく、若い女の子を主人公にした軽めのミステリー作品です。 しかし、個人的には
救いのない話だという印象が強く、、、(バッドエンドにはしたくなかった著者の意図は感じましたが)。
うーん、でもやっぱり痛い話でした。 僕のオススメ度:7

コメント  八朔の雪 (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「八朔の雪 みをつくし料理帖」。 江戸時代のお話。 四編の連作短編集。
澪は上方生まれの十八歳。 八歳の時、洪水で両親をなくし、大坂で一流の料亭「天満一兆庵」にひきとられる。
料亭の主人、嘉兵衛は、澪の料理の才能を見出し、板場での修業をさせる。 しかし、二年前、隣家の失火に
巻き込まれ、店が全焼してしまう。 江戸で支店を開いていた息子の佐兵衛を頼り、嘉兵衛と妻の芳とともに
澪も江戸にやって来るが、江戸の店は人手に渡り、佐兵衛も行方不明になっていた、、、。
失意の内に、嘉兵衛は病死し、神田の長屋で澪と芳の生活が始まる。 澪は、神田明神下で蕎麦屋「つる家」を
営む種市に気に入られ、雇われる。 種市は、澪をあたたかく見守り、上方と江戸の味や素材の違いにとまどい
ながらも、店の新しい料理を考える澪の好きなようにやらせる。 浪人の小松原、町医者の源斉も、真摯な姿勢
で料理と向き合う澪を応援してくれた。 しかし、種市が腰を悪くし、急遽、澪が店を引き継ぐことになる、、、。
数々の困難を克服しながら料理に打ち込む澪の姿、そして澪を支える周りの人たちの心根の美しさがさわやか
な感動を呼ぶ作品です。 作中で澪が考案する料理もそそられるものばかり。 期待以上の小説でした。
「本の雑誌」2009年度文庫 総合:第8位 僕のオススメ度:8.5

コメント  たば風 (宇江佐 真理著、文春文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「蝦夷拾遺 たば風」。 表題作(「たば風」)を含む六編を収録した短編集。
江戸時代末期の松前藩にまつわる話を集めています。
表題作の「たば風」は、祝言を目前に許嫁の男性が半身不随になり、両親の反対で他家に嫁がされた女性が
数年後、その男性に救われるというお話。 ネタバレになるので、詳しくは書けませんが、人が人のために
できることの尊さを描き切った秀作です(ほんとに、じーんときました)。
他の作品も、人の慎ましさ、一途さを描いた、佳作揃い。 僕のオススメ度:8

コメント  雨を見たか (宇江佐 真理著、文春文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「雨を見たか 髪結い伊佐次捕物余話」。 人気シリーズの第七作。
表題作(「雨を見たか」)を含む計六編の連作短編集。 伊佐次は、三十歳。 髪結いにして、同心の下働き。
女房のお文(ぶん)は、伊三次と同い年の売れっ子芸者。 二人の間には、伊与太という二歳の男の子がいる。
題名の通り、本シリーズの主人公は伊三次なのですが、、、この第七作は、伊三次が仕える同心、不破の息子、
龍之進が、同心見習いの仲間とともに、江戸の町を騒がす本所無頼派を追いつめる活躍が主軸になっています。
著者の宇江佐 真理さんは、僕が大好きな小説家のひとり。 安定感抜群、外れなしなので、安心して読めます。
僕のオススメ度:8

コメント  真鶴(まなづる) (川上 弘美著、文春文庫)   作品の紹介 

京(けい)は45歳。 エッセイや小説を書いている。 母と中三の娘、百(もも)と三人暮らし。
夫の礼(れい)は、12年前に失踪した。 京(けい)は、礼を忘れることができずにいる。
今も心の奥では礼を深く想っているが、編集者の青茲(せいじ)との不倫が十年続いている。
京は、礼が日記に残した「真鶴」という地名が心に残り、ひとり、その地を訪れる。 その後も、まるで礼に引き
寄せられるかのように、何度も真鶴に足を運ぶ。 やがて、京は、真鶴で女の幽霊と親しくなり、、、、、、。
現実と妄想の世界をシームレスに行ったり来たり、という展開が続くふしぎな物語です。
2007年度「芸術選奨文部科学大臣賞」受賞。 「本の雑誌」2009年度文庫 現代小説部門ベスト10作品。
なのですが、、、、、、玄人受けする作品だと思います。 著者の川上 弘美さんは、「センセイの鞄」や「ニシノ
ユキヒコの恋と冒険」など、わかりやすくてすばらしい作品も多いのですが、芥川賞受賞作「蛇を踏む」や本作の
ような幻想的な作品は、好みがわかれるのでは? 僕のオススメ度:7

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