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読書感想文2006 part 6

「読書感想文2006」 part6 は、11月〜12月の読書録です。


 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  終末のフール (伊坂 幸太郎著、集英社)   作品の紹介 

舞台は、3年後に小惑星が地球に衝突し、世界が滅亡することが確実となった時代。
5年前に地球滅亡が明らかになってから、人々は、狂気に陥った。 ある者は自殺し、
ある者は犯罪を繰り返し、食料も慢性的な不足状態になる。 企業も学校も機能
しなくなり、荒廃した街の中で、狂気に陥らなかった人たちでさえ、特にすることも
ない無為な日々を過ごしている・・・・・・。
この物語は、そんな時代の中で、いかに終末の時を迎えようとするか悩む人、そんな
時代の中でも懸命に生きようとする、仙台北部のとある団地に暮らす人たちの姿を描いて
います。  表題作(「終末のフール」)を含む計8作の連作短編。
地球が滅亡するという設定は、ふつうに考えたらありえないものだけど、この前提さえ
飲み込めば、描かれている人たちの心理や行動に、とてもリアリティーを感じるすばらしい
作品です。 伊坂ファンはもちろん、そうでない人にもオススメ。 僕のオススメ度:8.5

コメント  ダイヤモンドダスト (南木 佳士著、文春文庫)   作品の紹介 

表題作(「ダイヤモンドダスト」)を含む計4編の短編を収録。
表題作以外の3編は、タイのカンボジア難民キャンプでのボランティアに志願した医師たち
を描いた作品。 そして、1989年の「芥川賞」受賞作である表題作は、信州の、ある村の
病院に勤める30歳過ぎの看護士が主人公。 どの作品も医師である著者ならではの視点で
描かれています。 とは言え、医学の世界を描いた小説ではなく、むしろ医師と患者の人間
らしさを、やさしい視点で描いています。 僕のオススメ度:8

コメント  幻の女 (香納 諒一著、角川文庫)   作品の紹介 

35歳の弁護士、栖本(すもと)は、偶然、5年前に突然姿を消した、かつての恋人、
小林 瞭子に再会する。 しかし、その夜、瞭子はやくざに殺害される。 死の直前、
瞭子は栖本の事務所の留守電に「相談したい事がある」とメッセージを残していた。
手がかりを求めて、彼女の過去を調べるうちに、彼女が小林 瞭子を名乗る別人だった
という疑念が生まれる。 瞭子の同僚だった女性や興信所の協力を得て、本格的な調査
に乗り出す栖本。 やがて、瞭子が別人にすり替わった背景には、20年前の政治がらみの
陰謀や暴力団が関係していたことを知る・・・・・・。
膨大な人間関係や事件と事件のつながりを緻密に組み立てた秀作。 主人公の栖本は
瞭子と別れてから惰性で生きてきたものの、瞭子の死の謎を追ううちに、人として、
弁護士として再生していきます。 ハードボイルド/サスペンス系がお好きならどうぞ。
99年「日本推理作家協会賞」受賞、99年版「このミステリーがすごい!」第6位。
700ページの大作です。 僕のオススメ度:8

コメント  翼はいつまでも (川上 健一著、集英社文庫)   作品の紹介 

青森の十和田の中学二年生、神山は野球部の補欠部員。しかし、ある日、ラジオの
米軍放送から流れてきた、ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」を聴いて
衝撃を受ける。 クラスメイトの前で、この曲を歌って以来、度胸もついて、野球部
でのレギュラーを奪取。 そして、中学三年生の夏休み、十和田湖に単身キャンプに
出かけ、クラスメイトの多恵に会う。 多恵は学校とは全然違って、歌もピアノも
うまく、英語も話せる魅力的な女の子だった。 やがて、神山は彼女に恋心を覚え、
幼い恋が始まるかに見えたが・・・・・・。
明るくて、さわやかで、せつない青春小説です。 中学生〜大人まで、幅広く読める
作品に仕上がっています。 オトナには少し幼い気がするかもしれないけど、心が疲れた
人には、いい清涼剤になるのではないでしょうか。
「本の雑誌」2001年度総合ベスト1。「第17回坪田譲治文学賞」受賞。僕のオススメ度:8

コメント  波のうえの魔術師 (石田 衣良著、文春文庫)   作品の紹介 

株取引の世界で何十年も生き抜いてきた孤独な老人が一人の青年をスカウトした。
スカウトの目的は、ある都市銀行に復讐すること。 老人は青年に株取引のノウハウを
叩き込み、青年はみるみるうちに吸収した。 そして、入念な準備の後、復讐の幕が
開いた・・・・・・。  同じ石田作品の「池袋ウエストゲートパーク」とはひと味違った
経済系の犯罪サスペンス。 一気読みしてしまいました。 僕のオススメ度:8

コメント  催眠 (松岡 圭祐著、小学館文庫)   作品の紹介 

売れない催眠術師、実相寺の前に由香という女性が現れた。 由香は実相寺に「自分に
かかっている催眠術を解いてほしい」と頼む。 ところが、由香は催眠術にかかっている
のではなく、多重人格者だった。 やがて、そのことを見抜いたカウンセラーの嵯峨が
由香の治療に乗り出そうとするが、彼女は2年前のOL時代の横領容疑で逮捕されてしまう。
横領事件は、由香のもうひとつの人格が起こしたものなのか・・・。 嵯峨の推理が挑む。
催眠術をベースに置きながら、巨額の横領事件を謎解きするというサイコ & 犯罪ミステリーの
テイストです。 99年に映画化されました。 僕のオススメ度:8

コメント  千里眼 (松岡 圭祐著、小学館文庫)   作品の紹介 

カルト教団「恒星天球教」が日本政府を相手取り、無差別テロを開始した。
元自衛隊の戦闘機パイロットで、現在は新進気鋭のカウンセラーである岬 美由紀は
刑事の蒲生とともに、恒星天球教の攻撃に挑む・・・・・・。
↑の「催眠」同様、カウンセラーが主人公であり、物語の謎には催眠が大きくからんで
います。 でも、「催眠」よりもぐんと世界観がスケールアップし、ドライブ感があります。
主人公の人物造形、敵役の教団教祖の描き方もすばらしかった。 クライマックスの
シーンは、ちょっと現実離れして「えっ!?」と思ったけど、エンターテイメントとしては
一級品、かつ映画的。 読後感はとてもよかったです。 僕のオススメ度:8.5

コメント  千里眼 ミドリの猿 (松岡 圭祐著、小学館文庫)   作品の紹介 

「千里眼」シリーズの第二作。 ↑前作「千里眼」でカルト教団「恒星天球教」の魔の手から
日本を救った岬 美由紀。 この物語は、前作の8ヵ月後を描いている。
前々作「催眠」の主人公であった嵯峨が一人の女子高生、知美を保護する。 しかし、彼女は
まもなく公安警察に誘拐されてしまう。 同じ頃、アフリカでのODA援助視察の際に美由紀が
起こした事件をきっかけに中国が日本に宣戦布告する。 美由紀は、知美を救出し、嵯峨に
出会うが、単身、事件の黒幕に戦いを挑む・・・・・・。
物語は、美由紀と嵯峨が事件の黒幕の正体をつかんだところまでを描いています。 物語の
終末は、続編の「千里眼 運命の暗示」で明らかになります。 僕のオススメ度:8

コメント  霧の橋 (乙川 優三郎著、講談社文庫)   作品の紹介 

東北の小藩の中堅の家で次男に生まれた男、惣兵衛(そうべえ)。 彼の父は、愛する、小料理屋の
女将の命を守るため、同僚に切られ、命を落とす。 惣兵衛は、十年の時を費やし、江戸で父の仇を
うつ。 その後、浅草の紅を扱う小さな店の主人に見初められ、武士を捨て、店の娘と結婚する。
義父が世を去った後も、必死に店と妻を守ろうとする惣兵衛。 しかし、大店の陰謀に店の存続を
脅かされ、かつて父が愛した、そして父を死なせた女が出現し、彼の妻は夫が武士に戻ってしまうの
ではないかと心を痛める。 やがて、夫婦の心はどんどんかけ離れていくが・・・・・・。
不器用な夫とけなげな妻の夫婦愛がすてきです。 そして惣兵衛の父と女将の、かつての秘めた愛も、
添い遂げられなかったものの美しく描かれています。
1997年「時代小説大賞」受賞作。 僕のオススメ度:8

コメント  無伴奏 (小池 真理子著、集英社文庫)   作品の紹介 

1970年。 学園紛争や反戦集会 真っ只中の時代のお話。
響子は女子高の3年生。 転勤になった両親と離れて、仙台の伯母の家に
下宿している。 でも、受験などそっちのけで、学校での制服廃止運動や
反戦集会参加に明け暮れていた。 そんな中、バロック音楽の流れる喫茶店
「無伴奏」で、東北大学の学生、渉に出会い、やがて恋に落ちる。
二人は、渉のルームメイト、祐之介と恋人のエマとともに、少し無軌道で
自由な日々を過ごしていたが・・・・・・。
ミステリーの要素の強い恋愛小説です。 結末に気づかずに読めたら、おも
しろい話だと思います。 残念ながら、僕は気づいてしまいました。
「本の雑誌」2005年度おすすめ文庫 国内ミステリー小説部門:第1位。
僕のオススメ度:7.5

コメント  北村 薫のミステリー館 (北村 薫編、新潮文庫)   作品の紹介 

北村 薫さんが選んだ国内・海外のミステリー18編を収録。
本格作品ばかりではなく、絵本風の作品あり、実験的な作品あり。
バラエティーに富んだ作品集です。 本格的ミステリーではなく、いろんな
ミステリーを堪能したい人におススメ。 ただし、作品によっては、かなり
好みが分かれるかも。
「本の雑誌」2005年度おすすめ文庫 総合:第9位。 僕のオススメ度:7.5

コメント  OKAGE (梶尾 真治著、新潮文庫)   作品の紹介 

熊本県内で子ども達の大量失踪事件が発生する。 子ども達は、皆それぞれ
守り神とも言える幻獣を連れていた。 その幻獣たちは、大人には見えず、
特殊な能力を持った子どもの前にだけ現れ、見えるものだった。 やがて、
子ども達の失踪は、熊本だけの現象ではなく、日本全国、世界全国に及ぶ
ことだと明らかになる。 幻獣たちに導かれ、目前に迫った世界規模の大災害
を逃れることのできる地へと向かう子ども達。 一方、子ども達を脅かす闇の
勢力も覚醒しようとしていた・・・・・・。
「黄泉がえり」の作者が描くファンタジー系のSF。 700ページの大作です。
僕のオススメ度:7.5

コメント  バルタザールの遍歴 (佐藤 亜紀著、文春文庫)   作品の紹介 

20世紀初頭のウィーン。 公爵家に生まれた双子、バルタザールとメルヒオール。
彼らは、双子ではあったが、肉体はひとつだった。 とは言え、二重人格ではなく、
ひとつの肉体を共有する存在。 そして、彼らは、時には、(共有する)肉体から
片方が離れ、影のないもうひとつの身体になることもできた。
やがて、ナチスの台頭とともに、彼らはウィーンを離れる。 そして、転落へと
向かう数奇な運命が始まる・・・・・・。
↓下記の「天使」と同じ佐藤 亜紀さんの作品。 世界観はとてもオリジナリティーが
高いけれど、好みが分かれる作品かも。 読書好きには向いてるかな。
1991年「日本ファンタジーノベル大賞」受賞。 僕のオススメ度:8

コメント  天使 (佐藤 亜紀著、文春文庫)   作品の紹介 

第一次世界大戦のころのオーストリアのお話。 人の心を読んだり、記憶を操れる
超能力を持った少年、ジェルジュ。 彼は、10歳のころ、オーストリアの諜報機関の
ボスに拾われ、組織のために働くことになる。 同じ能力を持つ仲間に囲まれ、少年は
能力に磨きをかけ、大人になっていく。 やがて、オーストリアは、崩壊の道をたどり、
彼の心も退廃的になっていく・・・・・・。
ほんとうに文学が人には絶品だと思います。 文体もすばらしい。 ただ、僕には少し
難しかったかも。 読むのに集中力が必要な、玄人受けする作品。
「本の雑誌」2005年度おすすめ文庫 現代小説部門:第1位。
2002年「芸術選奨新人賞」受賞。 僕のオススメ度:7.5

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