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読書感想文2011 part 6
「読書感想文2011」 part6は、11月〜12月の読書録です。
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武士道セブンティーン (誉田 哲也著、文春文庫) 作品の紹介
大ヒット作「武士道シックスティーン」の続編。
幼いころから剣道一筋の磯山香織。 宮本武蔵を心の師とし、数々の大会で実績を残してきた剣道エリート。
西荻(甲本)早苗は、香織とは正反対のタイプ。 日本舞踊から転向して、中学から剣道を始めた変わり種。
剣道の名門、神奈川の東松学園高校剣道部で出会った二人は、最初、まったくかみ合わなかったが、徐々に
ライバルとして認め合い、風変りな友情を育んでいく、、、。 しかし、高二への進級を目前に控え、早苗が
父の仕事の都合で福岡に引っ越すことに。 早苗は剣道の名門、福岡南高校に転校する。
香織は関東大会の個人戦で優勝、早苗もインターハイの団体戦で優勝とそれぞれ結果を残す。
二人は夏に福岡で開催された玉竜旗杯という大会で再会する。 しかし、早苗の隣には、香織の宿敵ともいう
べき黒岩の姿があった。 早苗は、香織に勝つために、黒岩が自分を利用しているのではないかという心に
とらわれ、剣道が楽しくなくなる、、、。 やがて、父に東京転勤の話が持ち上がり、早苗は香織といっしょに
もう一度剣道をするために東松学園復帰を考え始める、、、、、、。
第一巻「武士道シックスティーン」に続き、一級品の青春スポーツ小説にしあがっていました。
ふつうの人にはあまりなじみのない剣道の話ではあるけれど、そんなの全く気にする必要ありません。
第二巻は、早苗の悩む姿が痛々しく、香織に比べて影が薄い印象を持ちました。 第三巻にして完結編の
「武士道エイティーン」が文庫で発売になったら、きっと読んじゃうと思います。
「武士道シックスティーン」のブックレビューはコチラ。 「武士道セブンティーン」特設サイトはコチラ。
僕のオススメ度:8.2
サッカーボーイズ 14歳 (はらだ みずき著、角川文庫) 作品の紹介
正式タイトルは「サッカーボーイズ 14歳 蝉時雨のグラウンド」。 「サッカーボーイズ」シリーズの第三巻。
桜ヶ丘FCでサッカーに明け暮れた武井 遼介と仲間たちは、桜ヶ丘中学サッカー部に進み、二年生に進級した。
桜ヶ丘FC時代の仲間が新たに二人、サッカー部に加わる。 一人は、Jリーグの下部チームをやめた星川 良。
そして、もう一人が野球部のオッサこと、長内 陽介。 良は故障が癒えず、まだリハビリ中だが、オッサは
故障中のキーパー、西牧 哲也に代わって、公式戦での活躍が期待された。
しかし、新チームとしての最初の公式戦は、県大会に進めず、市の予選リーグで敗退。 オッサが期待はずれ
のデキで、チーム内にも微妙な空気が流れる。
しかし、小学生のころ、桜ヶ丘FCで遼介たちを指導していた小暮がサッカー部のコーチに就任。
オッサの悩みもチーム一丸となって解決し、遼介たちは再スタートを切る、、、、、、。
第一巻、第二巻同様、子どもたちのひたむきさ、サッカーシーンのリアルさの描写が秀逸。
名作「バッテリー」みたいに、大人もひきこまれてしまうスポーツ小説。
第一巻「再会のグラウンド」のブックレビューはコチラ。 第二巻「雨あがりのグラウンド」のブックレビューはコチラ。
僕のオススメ度:8
ボトルネック (米澤 穂信著、新潮文庫) 作品の紹介
嵯峨野リョウは高校一年。 二年前に亡くなった恋人の諏訪ノゾミが死んだ東尋坊を訪れる。 そこに母から
連絡が入り、兄のハジメが亡くなったことを知らされる。 しかし、リョウは意識を失い、気がつくと金沢市内
のベンチに横たわっていた。 急いで家に帰ると、両親は不在で、嵯峨野サキと名乗る高校二年の女の子がいた。
そこはまぎれもなくリョウの家だったが、あるはずのものがなかったり、ないはずのものがあったり。
サキは、リョウがパラレルワールドに迷い込んだのではないかと告げる。 リョウがいた世界は、サキが流産で
死んでしまった世界。 サキがいる世界は、サキが無事生まれてリョウが生まれなかった世界と二人は考え始める。
やがて、リョウも今いる世界がパラレルワールドであることを認めざるを得なくなる。 リョウの前に死んだはずの
ノゾミが現れ、さらに兄まで姿を現す、、、、、、。
著者の代表作「インシテミル」とはひと味ちがった、ミステリー×SF×青春小説。 オリジナリティーあふれる世界観。
最後まで次の展開を気になってしようがなかったです。 僕のオススメ度:8
交換殺人には向かない夜 (東川 篤哉著、光文社文庫) 作品の紹介
人気シリーズ(通称「烏賊川市シリーズ」)の第四弾。
私立探偵、鵜飼のもとに、善通寺 咲子が訪れ、夫、善通寺 春彦の浮気調査を依頼する。
咲子は、春彦と同居中の姪、遠山 真理子との仲を疑っていた。 鵜飼は、さっそく、探偵事務所が入っている
ビルのオーナー、二宮 朱美とともに善通寺家に、運転手と家政婦として潜入。 咲子は二人に後のことを託し、
一泊の予定で外出する。 夜中に、春彦は庭を掘り返し、そのまま姿を消す、、、。
一方、鵜飼の助手、戸村 流平は、以前、事件で知り合った十乗寺さくらとともに、さくらの友人、水樹 彩子の
別荘を訪れる。 その夜、近くの別荘で工務店社長の権藤 源次郎が殺害される。
烏賊川署の和泉刑事と志木刑事は、ナイフで刺されて殺害された女性の捜査にあたっていた。
物語は、上記の3つのシーンが交互に出てきて展開していきます。 一見、つながりのない3つの事件がつながる
ラストシーンはおみごと。 (ネタバレになるので書きませんが)「だまし絵」的な(読者に対する)トリックに
「ええ〜っ!そんなのあり?」と小さな反発を覚える人もいるかもしれません。 とはいえ、タイトルで堂々と
「交換殺人」とうたっている通り、その部分のトリックを楽しめばいい作品かと思います。 僕のオススメ度:8.2
きよしこ (重松 清著、新潮文庫) 作品の紹介
きよしは、幼いころから吃音が原因で引っ込み思案の孤独な少年だった。
きよしが6歳のクリスマスイブの夜、きよしこに出会う。
その後、きよしは、父親の仕事の都合で転校を繰り返す。 行く先々の学校で吃音が原因でからかわられる
ことも多かったが、きよしのことをわかってくれる先生や友だちもいた。
中学生になると、転校することもなくなり、変な友だちもできる。 野球部のレギュラーにもなった。
高校生になっても、吃音は治らなかったけれども、彼女ができた。 将来の夢も見つかる。
そして、東京の大学を受験することを決心したきよしのもとに、再びきよしこが現れる、、、。
7編の連作短編のかたちをとった物語。 なつかしい気持ち、やさしい気持ちがこみあげてくる秀作。
重松さんの作品を読んだのは、久しぶりだったけど、やっぱりいいなぁ。 僕のオススメ度:8
晩夏のプレイボール (あさの あつこ著、角川文庫) 作品の紹介
少年野球小説の金字塔「バッテリー」の著者、あさのあつこさんの短編集。 計10編を収録。
夢叶って甲子園に出場できた球児たち、甲子園出場が夢で終わった選手たち。 そんな選手たちを見守ってきた
大人たち、恋人たちとのつながりなどをていねいに描いています。
予定調和的な終わり方やハッピーエンドではなく、(フィクションの世界ながらも)著者は「現実」を描きたかったん
ではないだろうか、との印象を持ちました。 僕のオススメ度:7.8
孤高のメス V (大鐘 稔彦著、幻冬舎文庫) 作品の紹介
九州にいる当麻の母が脳腫瘍で倒れ、甦生記念病院に転院させるが、結局、熊本医大に再度転院させることに
なってしまう。
一方、近江大の実川のもとで準備が進められていた肝移植は、いよいよ待ったなしの状態に。
折りしも、実川の上司である卜部教授は、手術が成功すれば国立病院の院長のポストが手に入るという可能性が
出てきたため、肝移植にGoサインを出す。 患者の容態が急変したため、手術は予定を早めて実施される。
当麻も手術に参加するが、母の危篤の知らせがもたらされる、、、、、、。
肝移植が第三巻のメインストーリーでしたが、当麻と町長の娘、翔子との距離が縮まったり、当麻のよき理解者で
ある地元の開業医、蘭(あららぎ)に腫瘍が見つかったり、本線以外にも読みどころはいろいろ。
ただ、ちょっと物語の進行がちょっとゆっくりかな、との印象を持ちました。
「孤高のメス」1〜2のブックレビューはコチラ。 僕のオススメ度:8
楊令伝 5 猩紅の章 (北方 謙三著、集英社文庫) 作品の紹介
北方「水滸伝」(全19巻)の続編。 「楊令伝」は全15巻。
楊令は、梁山泊軍全軍を出動させ、梁山泊の塞周辺の城郭を一気に制圧。 続けて水軍も投入し、ひとつの州と同じ
くらいの領土を得る。
燕京では、燕国建国の際の新帝として推戴していた耶律淳を暗殺で失い、三将軍の一人、耶律披機も戦死。
燕対宋の戦いは終焉を迎えつつあった。 しかし、禁軍の趙安は後方に下げられ、代わって高きゅうが着陣する。
高きゅうは、大軍を頼りに、簫珪材、耶律大石に降伏を勧告するが、返り討ちにあい、大敗を喫する。
戦いの後、耶律大石は、自軍を率いて西の地に向かう。 簫珪材は、金軍の唐昇の勧めに従い、燕京から軍を引き
上げ、金王、阿骨打と会見。 三万の軍とともに金に迎えられる。
江南の地では、童貫と方臘の戦いが最終局面を迎えていた。 禁軍は、呉用の作戦により副官、畢勝を失うが、じり
じりと方臘軍を追い詰め、一年余にも渡った激戦に終止符を打つ。 呉用は、燕青と武松に救出され、方臘は自害する。
方臘軍の生き残りの精鋭、三千五百の兵は、梁山泊に受け入れられ、韓成が将校として率いることになった。
金では、阿骨打が病死し、弟の呉乞買が即位。 青蓮寺の聞煥章の間諜、呂英が扈三娘の子どもを誘拐する。
「楊令伝」前半の山場、方臘の戦いがいよいよ決着しました。 禁軍の総帥、童貫の目も、いよいよ梁山泊に向かう
わけですが、燕と江南の戦いで消耗した禁軍がすぐに梁山泊と戦う余力もなく、、、。 どうなる、第六巻!?
「楊令伝」公式サイトはコチラ。 「水滸伝」1〜4 ブックレビューはコチラ。 「水滸伝」5〜19 ブックレビューはコチラ。
「楊令伝」1〜4のブックレビューはコチラ。 僕のオススメ度:8.2
楊令伝 6 徂征の章 (北方 謙三著、集英社文庫) 作品の紹介
北方「水滸伝」(全19巻)の続編。 「楊令伝」は全15巻。
青蓮寺の聞煥章の間諜、呂英に誘拐された扈三娘と白寿の息子は北京大名府に連れて行かれる。 聞煥章は、部下で
あり、扈三娘の兄でもある扈僊(こせん)とともに、子どもを利用して、扈三娘を寝返らせるよう画策する。
子どもたちは、公孫勝から特殊部隊、致死軍を託され隊長となった侯真によって救出されるが、そうとは知らない扈三娘は
単身、聞煥章のもとに向かい、監禁されてしまう。 しかし、兄、扈僊が子どもたちが救出されたことを告げ、扈三娘は
聞煥章を殺し、梁山泊に戻る。
金の宮廷に仕える蔡福は、息子の蔡豹を将軍の簫珪材に預けようとするが、真婉はそれをきらって自殺。 蔡福に憎悪を
向ける蔡豹を伴い、武松は子午山を訪れ、蔡豹を王進に託す。
禁軍は、北と南の大戦で受けた傷を癒せないでいたが、童貫は、劉光世を副官に抜擢し、岳飛にも一万の兵を与え、晋州
に向かわせる。 梁山泊との戦いがまもなくだと覚悟した童貫は、王進のもとを訪れる、、、。
北と南との大きな戦が終息したこともあり、この第六巻は、比較的動きの少ない巻でした。
とは言え、梁山泊、宋、双方とも決戦が近いことを予感しており、第七巻以降、また大きな動きがある感じです。
「楊令伝」公式サイトはコチラ。 「水滸伝」1〜4 ブックレビューはコチラ。 「水滸伝」5〜19 ブックレビューはコチラ。
「楊令伝」1〜4のブックレビューはコチラ。 僕のオススメ度:8
楊令伝 7 驍騰の章 (北方 謙三著、集英社文庫) 作品の紹介
北方「水滸伝」(全19巻)の続編。 「楊令伝」は全15巻。
張平は、楊令に命じられ、黒騎兵から離れ、精鋭の騎馬隊、青騎兵を編成する。
宋の禁軍でも、いよいよ梁山泊との決戦の準備を終え、各軍が戦闘態勢に入る。
まず、かく瑾が岳飛の軍と遭遇し、続いて、花飛鱗の軍も岳飛の軍と戦うが、双方、大きな被害を出すことなく緒戦を終える。
禁軍の元帥、童貫が岳飛の軍の中にいるという可能性に賭けた楊令は、自ら先頭に立ち、張清の軍とともに岳飛軍に挑む。
童貫は確かにいたが、討ち取るまでに至らなかった。 しかし、岳飛軍800人を討ち取る勝ち戦となった。
梁山泊対禁軍の戦いは序盤戦を終え、いよいよ禁軍の本隊六万が梁山泊に向けて出発。 あわせて十八万の禁軍が梁山泊
一帯に布陣した。 楊令は、再び先頭に立ち、わずか六千騎で童貫軍十一万に突っ込む。 禁軍の間をを走り抜けただけの
行動だったが、どこか童貫を恐れていた梁山泊軍の士気は大いに高まった。
続いて、呼延灼、史進、花飛麟が禁軍と戦火を交える。 禁軍の将軍、趙安、陳しょを討ち取るが、息子の穆凌をかばい、
呼延灼が戦死する。 そして、童貫がいよいよ総攻撃を決意する、、、、、、。
いよいよ梁山泊と禁軍の本格的な戦いが始まりました。 なんと大物、呼延灼が戦死。 「水滸伝」同様、梁山泊軍の犠牲も
避けられない戦いが続くのでしょうか。
「楊令伝」公式サイトはコチラ。 「水滸伝」1〜4 ブックレビューはコチラ。 「水滸伝」5〜19 ブックレビューはコチラ。
「楊令伝」1〜4のブックレビューはコチラ。 僕のオススメ度:8.5
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