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読書感想文2016 part 2

「読書感想文2016」 part2は、3月〜4月の読書録です。

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コメント  星間商事社史編纂室 (三浦 しをん著、ちくま文庫)   作品の紹介 

川田幸代、29歳。 中堅商社の社史編纂室勤務。 姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、
ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、プレイボーイの「ヤリチン先輩」矢田が部署のメンバー。
刊行時期がずるずると延びていく社史編纂の仕事にゆるゆると、でもそれなりに取り組む幸代。
プライベートは高校時代からの親友二人とBL系同人誌の製作、コミケでの出店に没頭するはずだった。
しかし、社史編纂の取材を進めるうちに、会社の重大な秘密に気づいてしまう、、、。
それまでやる気のなかった幸代、みっこ、矢田の三人は、会社上層部の妨害が入る中、会社の過去の
闇の取材を敢行する。 けれど、幸代には、恋愛や同人誌制作など片づけなければならない問題が山積
していた。 しかも、カヤの外にいた本間課長が社史編纂に加えて、部署の同人誌をつくると言い出して
事態は、ますます混迷を極めていく、、、、、、。
社史編纂というメインストーリー以外に、恋愛、趣味(同人誌製作)、友情など読みどころ満載。
作品の随所に挿入されるBL小説と創作小説も、なかなかのデキ。 著者の構成力に脱帽の一作。
笑いの要素も満載で、リーダビリティーも一級品。 オススメ度:8.2

コメント  かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (万城目 学著、角川文庫)   作品の紹介 

かのこちゃんは小学1年生の女の子。マドレーヌ夫人は犬と話せるアカトラの猫。玄三郎はかのこちゃん
の家の老犬にしてマドレーヌ夫人の夫。 マドレーヌ夫人は、ある日、中年の女性、「かとりさん」の姿に
なってしまう、、、。 
かのこちゃんと親友すずちゃんの友情、マドレーヌ夫人と玄三郎の夫婦愛、そして、人間になったマドレーヌ
夫人の冒険などを独自の世界観で描いた佳作。 大事件が起こるわけではないけど、リーダビリティーの
高さは、なかなか。 あと、「鴨川ホルモー」や「プリンセストヨトミ」とは違った著者の新たな一面を垣間見る
こともできます。 「直木賞」候補作品。 オススメ度:8

コメント  どちらとも言えません (奥田 英朗著、文春文庫)   作品の紹介 

大好きな奥田英朗氏のエッセイ。 今回はスポーツがテーマ。 プロ野球、大相撲、サッカーW杯から
オリンピックまで著者独特の視点で、時におもしろおかしく、時に真摯に語りつくしています。
奥田さんのエッセイは、小説と同じくらいおもしろい。 肩がこらない内容なんだけど、時おりドキッと
する指摘も出てきて、、、。 小説と小説の合間に読むのに最適の一冊。 オススメ度:8.1

コメント  東京ピーターパン (小路 幸也著、角川文庫)   作品の紹介 

伝説のギタリストでありながら、今はホームレスのシンゴ(60歳)。 シンゴのファンで彼をあたたかく見守る
交番勤務の警察官、吉川(52歳)。 印刷会社の営業で、かつてバンドでボーカルをしていた石井(34歳)。
バンドが解散し、つけ麺屋でバイトをしているコジー(26歳)。 寺の住職の息子で、引きこもりの高校生、
聖矢(16歳)。 聖矢の姉で、ファミレスチェーンの企画の仕事をしている茉莉(26歳)。
シンゴと吉川、シンゴとコジーに多少の接点はあるものの、6人の独白が短編小説のように続いていく、、、。
とはいえ、作品としては長編小説なので、いったいどこでそれぞれのお話がつながるのか、、、と疑問に思い
ながら読み進めていくと、、、中盤で、6人が一堂に会する場面になって、ひとつの奇跡が起こる、、、。
年齢も生き方もバラバラの6人が、偶然、出会ったとき、音楽という共通項で結びつき、一夜限りの夢を見ると
いうお話。 物語の組み立て方がユニークで、ふしぎなリーダビリティーを持つ作品。 オススメ度:8.1

コメント  思い出のとき修理します 2 (谷 瑞恵著、集英社文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車」。 シリーズ第2作。 4編を収録した連作短編集。
明里(あかり)は美容師の仕事に疲れ、先輩との恋も破れ、心機一転、昔、祖父母が経営していた理髪・美容店を
借りることになった。 そこは、シャッター商店街の一角。 やがて、ななめ向えで時計の修理の店を営む秀司と
恋におちる。 秀司のやさしさに癒され、次第に心がほぐれていく明里。 隣町の美容室で美容師として再スタート
をきった明里のもとに、10歳違いで父親が違う妹、香奈が訪ねてくる、、、。
第一作同様、明里と秀司、そして近所の神社で暮らす大学生の太一が、思い出を取り戻そうとする人たちのために
心を砕く物語。 大きな事件が起こるわけではないけど、こころに沁み入るストーリー。
シリーズ第1作のブックレビューはコチラ。  オススメ度:8

コメント  セカンド・ラブ (乾 くるみ著、文春文庫)   作品の紹介 

木工所の工員、26歳の里谷正明は、職場の先輩、紀藤に誘われ、紀藤と彼の彼女、尚美とスキーに出かける。
スキーには、尚美の大学時代の同級生で、大学院生の内田春香も参加した。 正明と春香は、意気投合し、
すぐに交際が始まる。 しかし、偶然、春香そっくりの女性、美奈子の存在を知った正明は、美奈子の勤める
スナックを訪れる。 美奈子は春香と生き別れた双子の妹だった。 春香との結婚を意識しながら、美奈子とも
交際を続ける正明。 やがて、春香と美奈子の秘密を知り、、、、、、。
著者の代表作である「イニシエーション・ラブ」の姉妹作として書かれた作品。
「イニシエーション・ラブ」でやられた感のある人は思わず手に取るはず。 もちろん、新たな「だまし絵」トリックを
堪能させてくれましたが、前作を読んだあとだと、その衝撃もやや控えめ。 前作を読まずに本作を読んだら、
より満足度が高かったでしょう。 オススメ度:8.1

コメント  白ゆき姫殺人事件 (湊 かなえ著、集英社文庫)   作品の紹介 

化粧品会社の美人OL、三木典子がメッタ刺しにされた上で焼かれるという無残な殺人事件が発生する。
典子の後輩、狩野里沙子は、高校の同級生でフリーライターの赤星雄治に事件のことを相談する。
赤星は、現地入りし、取材を進めるうち、典子の同僚の城野美姫が容疑者として浮上する。 美姫は
事件後、失踪していた、、、、、、。 赤星はさらに取材を進めるが、美姫に不利な証言が続く、、、。
ネットや週刊誌で美姫があたかも犯人として扱われる中、事件の真相は、意外なところにあった、、、。
匿名という隠れ蓑をかぶり、赤星の取材やネット上で、美姫を糾弾する無責任な人たちの無意識の狂気が
恐ろしいと思ったけど、誰もがこんな狂気を持つんじゃないかと考えさせられました。
赤星が取材した人たちの独白が次々と続く本編(200ページ)と事件の関連資料と称して関係者のブログや
週刊誌の記事が続く80ページで構成された作品。 独白と関連資料を交互に読み進めていくというちょっと
ユニークな構成がおもしろかったです。 事件の真相が明らかになるのが関連資料だというのもユニーク。
2014年映画化。 オススメ度:8.1

コメント  PK (伊坂 幸太郎著、講談社文庫)   作品の紹介 

「PK」、「超人」、「密使」の中編3作を収録。
一作目の「PK」と二作目の「超人」を読んで、二作品のつながりを把握しつつも、矛盾にも気づき、三作目の
「密使」を読んで、「なるほど、そういうことだったのか」とわかる仕組み。
とはいえ、初期の伊坂作品のような爽快な「だまし絵」感ではなく、わかりにくくて、なんだかもやもやした構成。
メモをとらないとわからないような作品はツライ。 オススメ度:7.4

コメント  完全なる首長竜の日 (乾 緑郎著、宝島社文庫)   作品の紹介 

淳美は、30代後半の中堅の漫画家。 自殺未遂が原因で植物状態になった弟の浩市と「SCインターフェース」という
機械を通して対話を続けるが、弟は自殺の原因を話すことなく、いつも対話が打ち切られる。
ある日、かつて淳美のファンであり自殺未遂で植物人間になった息子を持つ女性が、淳美に浩市との対話を依頼
してくる。 やがて、淳美の周囲でふしぎなできごとが起こり始める、、、、、、。
2011年「このエントリーがすごい!」大賞受賞作。 満場一致の高評価とのことですが、、、一般読者の評価は
どうなんだろう、、、と考えさせられた一作。 作品全体が「だまし絵」みたいなつくりになっているんだけれど、↑の
「PK」同様、わかりにくいつくり。 同じ「だまし絵」でも、映画「シックスセンス」や小説「らせん」くらいシンプルな構成
のほうが好みですね、個人的には。 オススメ度:7.2

コメント  ケルベロスの肖像 (海堂 尊著、宝島社文庫)   作品の紹介 

「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」という脅迫状が高階病院長あてに届く。 高階は厚労省の白鳥に
相談。 白鳥の部下、姫宮が事件解決のしごとに病院の田口医師を指名する。
警察、医療事故被害者の会、内科学会、法医学会など、様々な組織の思惑が交錯するなか、エーアイセンター
設立の日を迎える。 そして、大事件が起こり、、、、、、。
シリーズ前半(特に第一作と第三作が秀逸)のようなドライブ感やリーダビリティーが、シリーズが進むにつれて
だんだんと失われていったような気がします。 本作も白鳥の出番が少なく、ちょっと期待はずれだったかも。
「チーム・バチスタ」シリーズの第六作にして完結編。 オススメ度:7.8

コメント  こいわすれ (畠中 恵著、文春文庫)   作品の紹介 

人気の「まんまこと」シリーズの第三作。 計六編を収録。
江戸神田の名主の息子、麻之助が、親友にして隣町の若き名主の清十郎、同心見習いの吉五郎とともに
町で起こるもめごとや事件を解決していく日々を描いた秀作。
愛妻、お寿ずが妊娠し、麻之助は大感激。 出産の日が近づき、わくわくが頂点を迎えつつあったが、、、。
「それはないだろう」という驚きの展開。 せつなさに涙する結末。 高品質の鉄板シリーズ。
第一作「まんまこと」のブックレビューはコチラ。  第二作「こいしり」のブックレビューはコチラ
「まんまこと」シリーズの特設サイトはコチラ。  2105年NHKでドラマ化。 オススメ度:8.3

コメント  十日えびす (宇江佐 真理著、祥伝社文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「十日えびす 花嵐浮世困話(はなしあらしよのなかこんなもの)」。
八重は五十歳。 五歳年上の錺(かざり)職人、三右衛門の後妻に入った。 若いころ、八重と右衛門は恋仲
だったが、親の反対で泣く泣く別れた。 三右衛門は別の女と所帯を持ち、八重は独身を通す。
三右衛門は三男三女の子宝に恵まれたが、妻が亡くなると、八重に求婚し、二人はようやく結ばれる。
三右衛門、八重、そして、末娘、おみちとの生活が始まり、つつましいながらも幸せな毎日が続くかに思われたが、
わずか五年で三右衛門が急逝し、残された八重とおみちは、長男の芳太郎に家を追い出される、、、。
八重は、日本橋で、長年営んできた小間物屋を開き、おみちとの新生活を始める。 しかし、近所に住むお熊と
いう猛女に閉口し早くも引っ越しを考える。 そんな中、おみちがお熊の息子と恋仲になり、、、、、、。
人様に迷惑をかけず、つつましく生きようとする八重にふりかかる問題の数々。 けれど、八重は逃げ出さず、
根気よく、やさしい心根で問題に立ち向かう。 そんな姿と家族愛、人間愛を描いた秀作。 オススメ度:8.1

コメント  酒田さ行ぐさげ (宇江佐 真理著、実業之日本社文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「酒田さ行ぐさげ 日本橋人情横丁」。 表題作を含む計6編を収録した短編集。
著者お得意の人情話の秀作がズラリとそろった作品。 感動あり、涙ありの佳作。 オススメ度:8.1

コメント  うわん (小松 エメル著、光文社文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「うわん 七つまでは神のうち」。 「うわん」シリーズの第一作。
町医者、青庵の娘、十六歳の真葛は、母亡きあと、父の手伝いをしながら、六歳の弟、太一のめんどうをみている。
ある日、太一の身体に墓守の妖怪「うわん」がとりつき、青庵は意識不明の状態となる。 うわんは、青庵と太一を
助ける条件として、真葛に九百九十九の妖(あやかし)を捕えることを要求する。 真葛は、うわんの助けを借りながら
妖怪退治を続けていく、、、、、、。
↑ ストーリーはこんな感じですが、妖怪退治がメインというよりも、妖怪がからんだ事件を真葛が解決するミステリー
の部分が中心の時代小説。 著者の代表作「一鬼夜行」シリーズ同様、暗くなく、ライトに読める妖怪×ミステリー×
時代小説。 オススメ度:8

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