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読書感想文2016 part 5

「読書感想文2016」 part5は、9月〜10月の読書録です。

 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  マスカレード・イブ (東野 圭吾著、集英社文庫)   作品の紹介 

大ヒット作「マスカレード・ホテル」の主人公2人が出会う前を描いた、それぞれの物語。
表題作の中編の他に短編3作を収録。
ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク、山岸尚美は入社5年目。 一方、警視庁捜査
一課の新田浩介は、念願の部署に配属が叶ったばかりの新人刑事。
二人は鋭い推理力でそれぞれが直面する事件を粘り強く解決していく、、、。
時系列としては「マスカレード・ホテル」の前の話だけど、こちらがシリーズ第2作。
「マスカレード・ホテル」の主人公二人の仕事の原点とか性格の原型(尚美のきまじめさや
正義感。浩介の聡明さやプライドの高さ)がよく描かれています。
ミステリーとしても一級品だけど、ホテルの裏側の描写もナイス。 オススメ度:8.2

コメント  マスカレード・ホテル (東野 圭吾著、集英社文庫)   作品の紹介 

都内で発生した3件の連続殺人事件。 一見つながりがないように見えるが、犯人の残した
メッセージが事件の連続性を物語っていた。 そして、第4の犯行現場として、ホテル・コル
テシア東京が浮上。 ターゲットも容疑者も犯行時期も不明のまま、警視庁は大量の潜入
捜査チームをホテルに送り込む。 フロントで潜入捜査にあたることになった捜査一課の
新田浩介は、入社10年のフロントクラーク、山岸尚美とペアで事件解決に臨む。
最初は衝突を繰り返す二人だったが、次第にお互いのプロ意識を理解し、協力して事件に
あたり始める。 やがて捜査本部が犯人のターゲットを割り出し、犯行に向けて万全の準備
を進める中、事件は思わぬ展開を見せる、、、、、、。
さすがは渾身の東野作品。 事件の構成が緻密で、リーダビリティーもばつぐん。
一気読み必至のミステリー。 オススメ度:8.4

コメント  教場 (長岡 弘樹著、小学館文庫)   作品の紹介 

警察学校を舞台にした6つのエピソードからなる連作短編集。
プロボクサー、教師、インテリアデザイナー、サラリーマン。 様々な前職、背景を抱えた
学生が挑む半年間の厳しく過酷な授業、訓練、規律。 教官から退学を迫られる者、自ら学校
を去る者。 日を追うごとに同期生が減っていく。 さらに、野心、復讐、抜け駆け、裏切りなど、
様々な思いが事件に発展していく。 学生たちの間で起こる事件や不穏な動き、悩みを、教官
の風間は鋭い視線と推理で解決していく、、、。
ちょっと新鮮な視点のミステリー。 各種文学賞での高評価にも納得。
週刊文春「2013年ミステリーベスト10」国内部門:第1位、宝島社「このミステリーがすごい!
2014年版」国内編:第2位、2014年「本屋大賞」第6位。 オススメ度:8.2

コメント  オール・マイ・ラビング (小路 幸也著、集英社文庫)   作品の紹介 

大人気「東京バンドワゴン」シリーズの第5作。
東京の下町の「東京バンドワゴン」という古本屋を舞台にした物語。 4編の連作短編を紡いだ物語。
5作目を迎えても、マンネリにならず、パワーも、リーダビリティーも落ちない奇跡のシリーズ。
「サザエさん」と違って、家族が一冊ごとにひとつずつ歳を重ねていく中で描かれる喜びや悲しみ、
がんばり、思いやり、絆が感動的。 これほど映像が眼に浮かぶ小説もめずらしいかも。
第1作から第4作のブックレビューはコチラ。  オススメ度:8.4

コメント  オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ (小路 幸也著、集英社文庫)   作品の紹介 

大人気「東京バンドワゴン」シリーズの第6作。 4編の連作短編を収録。
いいことも悪いことも、家族で分かち合い、励ましあい、顔を上げて生きていくことがたいせつだと
教えてくれる、やさしい心根のたいせつさを思い出させてくれる作品。 シリーズが続く限り、読み
続けたい一作。 オススメ度:8.5

コメント  クジラの彼 (有川 浩著、角川文庫)   作品の紹介 

表題作を含む計6編を収録した自衛隊限定ラブコメ短編集。
自衛隊員に恋した女性、自衛隊員を妻にした男、そして同期の自衛隊員の男女。
自衛隊というちょっと特殊な環境を味付けに使った彼と彼女の物語。
自衛隊3部作の「空の中」、「海の底」の番外編も収録した、著者のファンにはうれしい一冊。
ラブコメといっても甘ったる〜い世界観ばかりではありません。 オススメ度:8.2

コメント  一分間だけ (原田 マハ著、宝島社文庫)   作品の紹介 

ファッション誌の編集者、藍は32歳、同棲7年目。 恋人の浩介は30歳、ほとんど在宅勤務
の売れないフリーのコピーライター。 藍は6年前に取材で訪れたペットショップで保健所
送り寸前のゴールデンリトリーバーのリラと出会い、引き取る。
リラのために調布の郊外に引っ越し、安らぎを得るが、遠距離通勤の辛さに時々、心のバラ
ンスを失いそうになっていた。 やがて、浩介が他の女性を好きになり、家を出ていく。
こうして藍とリラの生活第二章が始まるが、思いもよらない事態が藍を襲う、、、。
物語のラストは予想できるんだけど、著者がいろんなしかけを用意してくれているので、最後
まで集中して読むことができました。 あと、タイトルの「一分間だけ」の意味は、予想をいい
意味で裏切られた感じ。 オススメ度:8.1

コメント  カフーを待ちわびて (原田 マハ著、宝島社文庫)   作品の紹介 

沖縄の与那喜島で雑貨商を営む明青(あきお)は、35歳の独身、ひとり暮らし。
裏に住むユタのおばあと肩を寄せ合って、ゆったりと生きている。 しかし、島にリゾート施設
建設の話が持ち上がり、集落の移転問題で周囲が騒がしくなってきた。
村のみんなと視察に出かけた北陸のリゾート施設近くの神社で、明青は絵馬に「嫁に来ないか。
幸せにします」と書く。 しばらくして、幸(さち)と名乗る女性から明青のもとに手紙が届く。
その手紙には「絵馬を拝見しました。私をあなたのお嫁さんにしてください」と書かれてあった。
はたして、まもなく幸が明青のもとに現れ、二人の同居生活が始まる。 美しい幸に魅せられ
つつも、いまひとつ裏があるのではないかと疑う明青。 二人の幸せな日々は続いていくが、
ある日、明青は非情な秘密を知る、、、、、、。
やさしくて、あたたかくて、でもキュンキュンのラブストーリー。 舞台設定と絵馬のエピソード
もナイス。 著者の作品は三作目だけど、いつもリーダビリティーの高さは秀逸。
第1回「日本ラブストーリー大賞」大賞受賞作品。 2009年映画化。 オススメ度:8.2

コメント  ゼロの迎撃 (安生 正著、宝島社文庫)   作品の紹介 

国家に妻と娘を人質にとられた北朝鮮の大佐、ハンが特殊部隊を率いて、東京にテロ攻撃を
仕掛ける。 政府、自衛隊、警察は混乱に陥り、有効な対策がうてない中、自衛隊 統合情報部
の真下三等陸佐は、敵の正体と居場所を突き止めるべく、奔走する。
しかし、与えられた部下は、わずか3人。 戦後最大の台風が東京を襲う中、自衛隊も警察も
200人にも満たないハンの部隊に翻弄され、多大な犠牲者を出す。
粘り強い分析の結果、敵の正体と居場所をつかんだ真下は、ハンとの最後の対決に挑む、、、。
2013年に「生存者ゼロ」で「このミステリーがすごい」大賞を受賞した第二作。 前作同様、
秀逸な着眼点、プロット、そして、リーダビリティー。 これほど次の展開が気になる作品には
そうそう巡り会えないのでは。 「生存者ゼロ」同様、読後に人に薦めたくなる小説。
470ページの大作。 オススメ度:8.4

コメント  その女アレックス (ピエール・ルメートル著、文春文庫)   作品の紹介 

アレックスはパリで暮らす非常勤の看護師。 30歳、美人、ひとり暮らし。
ある日、アレックスは、かつての交際相手の父親に誘拐され、檻に監禁される。
一週間ほぼ水だけで命をつなぎ、死を目前になんとか脱出を図る。 しかし、彼女は警察に
かけこむことなく、恐ろしい計画を実行していく、、、、、、。
三章建ての作品。 アレックスの脱出までが第一部。 そして、彼女の変貌が第二部。
第三部はアレックスが登場せず、驚愕の結末を迎える。
ひじょうに緻密で斬新な構成。 ミステリーファンをうならせる一冊。 しかし、全体を覆う
世界観はダークで、せつなく哀しい。
「本屋大賞」翻訳小説部門:1位。 「本の雑誌」2014年度文庫「海外ミステリー」部門:第2位。
「イギリス推理作家協会賞」受賞。 海外でも、日本でも数々の賞を受賞したベストセラー。
オススメ度:8.3

コメント  さくら (西 加奈子著、小学館文庫)   作品の紹介 

長谷川 薫は東京で一人暮らしの大学生。 真摯な父、美人の母、2歳年上のヒーローの兄、
4歳下の超美形の妹、そして愛犬サクラと大阪のニュータウンで幸せな毎日を送っていた。
しかし、交通事故がきっかけで兄が障害を抱え、やがて自殺。 父は家出し、母は肥満化。
そして、妹は内に籠ってしまう。 薫はいたたまれない気持ちを抱えたまま、東京へ。
そんな薫のもとに父から「年末に家に帰る」という手紙が届く。 薫は大阪の実家に戻り
年末を過ごすことになる、、、。
涙も笑いも感動もせつなさも、いっぱい詰まった佳作。 後に「きいろいゾウ」でブレイクし、
「サラバ!」で直木賞を受賞する著者が注目を集めるきっかけとなった作品。
おもしろかったけど、個人的には、ちょっと心が痛くなる部分がありました。 ハマる人は
超ハマると思うスケールのお話。 オススメ度:8

コメント  聖夜 (佐藤 多佳子著、文春文庫)   作品の紹介 

ミッション系高校の3年生、一哉。 祖父も牧師、父も牧師。 オルガニストの母は、父と
離婚してドイツへ。 神を信じることができず、ロックに心奪われ、でも難解なオルガン曲と
格闘する毎日。 美人の後輩に告白されるも心動かず、部長を務めるオルガン部の発表会
をドタキャンする始末。 しかし、次第に自分と音楽と向き合えるようになり、クリスマス・
コンサートで難解なオルガン曲に再び挑む、、、。
大好きな著者の「らしい」部分は出ているものの、ちょっと宗教色が強すぎるのが気になる
ところ。 オススメ度:7.8

コメント  さようなら、私 (小川 糸著、幻冬舎文庫)   作品の紹介 

心が風邪をひいた3人の女性の再生を描いた短編集。
最初の物語は、中学時代の同級生のお別れ会のために帰郷した22歳の美咲のお話。
憧れの編集者になったものの、3か月で退職した美咲を、7年ぶりに再会した初恋の相手、
ナルヤがモンゴルへの旅に誘う。 美咲は、モンゴルの自然とあたたかい人たちに囲まれ、
次第に自分を取り戻していく、、、。
こころがじんわりあたたかくなる漢方薬のような作品。 改めて著者の筆力に感心。
オススメ度:8.1

コメント  猫と妻と暮らす (小路 幸也著、徳間文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷(あしのはらしきょう)」。
時は明治。 大学に勤める和弥は27歳。 古来より妖(あやかし)や怪異現象を鎮める
蘆野原の里の若き長(おさ)。 同じ一族で幼馴染の和泉と協力して、次々と怪事件を
解決している。
和弥は、恩師のひとり娘で25歳の優美子を妻とする。 優美子は才色兼備の申し分ない
妻だが、時おり猫に姿を変える。 猫になった優美子は和弥の危機を助けていく。
やがて、優美子が猫に姿を変えるのは、なにか怪事件の前兆であることがわかっていく。
そして、優美子と同じく猫に姿を変える10歳の娘、多美も家族に加わり、和弥を助ける
ことになる、、、、、、。
大人気シリーズ「東京バンドワゴン」の著者が描いたファンタジー小説。
明治版「陰陽師」のようなテイスト。 でも、陰陽師よりライトな感じ。
ちょっとふしぎな世界観の佳作。 オススメ度:8.2

コメント  ラブコメの法則 (東山 彰良著、集英社文庫)   作品の紹介 

博多在住の映画評論家、松田杜夫、30歳、独身。 海外暮らしの長かった両親の代わりに
美人揃いで強烈な個性の伯母と叔母二人に育てられた。 そんな松田が、友人の同僚で2歳
年上のシングルマザーの岩佐まち子に恋をする。 松田は、時に甥の裕樹をダシに使い、
果敢にまち子にアプローチするも、彼女はまだ離婚していなかった、、、。 さらに伯母と叔母
たちからまち子との恋愛にさんざん口を挟まれ、ストレスは募るばかり、、、。
そんな状況の中、はたして、松田は、まち子の心を射止められるのか、、、、、、!?
「このミステリーがすごい大賞」、さらには「直木賞」受賞作家の作品だけに、期待値高く
読み始めたものの、大きな事件が起こるわけではなく、まさにラブコメに重点を置いたライトな
つくり。 強烈な伯母・叔母たちの個性に大いに笑わせていただいたけど、ラブストーリーとしては
イマイチ共感できず、ちと消化不良かも。 オススメ度:7.7

コメント  チョコレートの町 (飛鳥井 千砂著、双葉文庫)   作品の紹介 

名古屋の近くの町から上京して6年目。 不動産会社の支店で店長の遼は28歳。
故郷にある店舗の店長が起こしたトラブルのため、臨時店長として一時的に赴任する。
閉塞的な土地柄や何事にもいい加減な家族を嫌っていたが、友人の結婚問題や、
父親の退職にまつわるトラブルなどを経て、少しずつ見方が変わっていく、、、。
著者の作品はわりと読む方だけど、この作品はイマイチ感情移入できず。
この著者は女性が主人公の方がいいのかなぁ。 オススメ度:7

コメント  撲撲少年 (仁木 英之著、角川文庫)   作品の紹介 

大学生の勇吾は、単位の数え間違いで留年することに。 実家から仕送りをストップ
されることになるが、父の紹介でバイト先と住む場所を確保。 偶然、バイト先で幼馴染み
の湊と出会い、彼女から総合格闘技ジム「アライズ」で旧友の鉄也がトレーニングしている
ことを聞く。 勇吾はジムで鉄也とスパーリングをするも惨敗。 悔しさのあまりジム通いを
始め、メキメキと実力をつけていく。 そして、後楽園ホールで鉄也と雌雄を決することに
なるが、、、、、、。
ヒット作「僕僕先生」の著者の作品。 「僕」の字を「撲」の字に置き換えた、しゃれっ気の
あるタイトル。 しかし、内容は、いまひとつ感情移入できず。 著者は、「僕僕先生」の
ように、中国×ファンタジーが主戦場なのか、読者の固定概念が強いのか、どっちかな。
たぶん、どっちもなんだろう。 オススメ度:7.2

コメント  大阪人の格言 (小杉 なんぎん著、徳間文庫)   作品の紹介 

その名の通り、大阪人の格言165語を収録した本。
「わからんことはロマンやいうことにしとけ」、「無理はせなあかん。けど無茶はしたら
あかん」、「投げたブーメランが戻って来んこともあるんや」などなどの名作がずらり。
大阪人の方が笑えると思うけど、解説付きなので、大阪人以外の人も理解できるはず。
けど、この本買うのはやっぱり大阪人がほとんどなのかなぁと思う。 オススメ度:7.8

コメント  超高速!参勤交代 (土橋 彰宏著、講談社文庫)   作品の紹介 

舞台は享保20年(1735年)初夏、8代将軍、徳川吉宗の時代。 わずか1万5000石の東北の
小藩、磐城湯長谷藩に隠し金山の嫌疑がかかり、幕府老中から「5日以内に参勤せねば、
藩を取り潰す」という難題をふっかけられる。 藩主の内藤政醇以下7名は東国一の忍びに
江戸まで最短距離の道案内を依頼。 けもの道をものともせず江戸城へ急ぐ。
しかし、湯長谷藩の取り潰しを画策する老中が差し向けた公儀御庭番の精鋭の攻撃をはじめ、
さまざまなトラブルが一行を襲う。 江戸まであと一歩となったところで、藩主が足止めを
くらい、絶体絶命の危機が訪れるが、奇想天外な策で事態の打開を図る、、、。
まず、タイトルがすばらしい。 タイトルに惹かれて、この本を手にした人も多いのでは。
そして、内容もすばらしい。 湯長谷藩の面々のまっすぐな心根、困難を乗り越えようとする
強い意志をはじめとして、涙あり、感動あり、ドラマあり、笑いあり。 リーダビリティーも抜群
で、一気読み必至のデキ。
2011年「城戸賞」受賞作。 2014年映画化。 日本アカデミー賞「最優秀脚本賞」受賞。
続編も刊行されました。 オススメ度:8.3

コメント  美雪晴れ (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

大人気の「みをつくし料理帖」シリーズの第9作。
澪を料理人として育ててくれた大坂の「天満一兆庵」の御寮さん、芳が老舗の料理屋「一柳」の
主人のもとに嫁ぐ。 澪は、奉公先の「つる家」に居を移し、後任の料理人、政吉への引き継ぎを
少しずつ始める。 澪が「つる家」を巣立つ日が近づいていた、、、。
いよいよ物語はクライマックスへ。 長年読み続けた名作も残すところあと一巻。
シリーズ第8作のブックレビューはコチラ。  オススメ度:8.3

コメント  天(そら)の梯(かけはし) (高田 郁著、ハルキ文庫)   作品の紹介 

「みをつくし料理帖」第10作にして完結編。
幼馴染で吉原の花魁、あさひ太夫こと野江を身請けするために、四千両もの大金を工面する
ことに頭を悩ませる澪。 一方で、両想いの医師、源斉との恋も決断のときを迎えていた、、、。
読者の誰もが納得できる涙と感動の大団円。 ほんとうに読みごたえのあるシリーズでした。
「本の雑誌」2015年度文庫「時代小説」部門:第1位。 オススメ度:8.5

コメント  桜ほうさら(上) (宮部 みゆき著、PHP文芸文庫)   作品の紹介 

上総国搗根(とうがね)藩の武士の次男、古橋 笙之介、二十二歳。 父は冤罪で自ら命を絶ち、
家は断絶。 藩校の師の支援を受け、江戸留守居役、坂崎の庇護のもと、江戸深川の長屋で
暮らしている。 笙之介に写本の仕事をくれる貸本屋の治兵衛や人のよい長屋の人達に恵まれ、
平穏な日々を送るも、江戸に出てきた本来の目的である、父を陥れた事件の核心には近づけず
いた。 そんなとき、笙之介は近所に暮らす十九歳の娘、和香に出逢う。 和香は身体のおよそ
半分にも及ぶ痣のせいで、家からほとんど出ることなく暮らしていたが、笙之介に興味を持ち、
徐々に外に出るようになり、二人の距離も近づいていく、、、。
上巻では、まだ事件の核心はうっすらとしか見えないけれど、名人、宮部ワールドの美しい文章と
物語を味わうだけで十分。 オススメ度:8.2

コメント  桜ほうさら(下) (宮部 みゆき著、PHP文芸文庫)   作品の紹介 

笙之介と和香の関係は徐々に確かなものになっていく。 やがて、父に冤罪の罪を着せた事件の
核心にたどり着き、故郷の兄とも再会を果たすが、藩を揺るがす巨大な陰謀に翻弄される。
そして、笙之介は襲撃され、生死の境をさまようが、、、、、、。
いつもながらの宮部ワールド。 一見、関係ないかに見える事件が最後にみごとにからまり、物語
の核心が見えてくるしかけのすばらしさ。 縦糸の事件、横糸の恋の紡ぎ方も秀逸。
オススメ度:8.3

コメント  べっぴん (諸田 玲子著、文春文庫)   作品の紹介 

「あくじゃれ瓢六捕物帖」シリーズの第三作。
瓢六は、北町奉行所の与力の菅野、同心の篠崎から何かにつけて頼りにされる博学、二枚目
の遊び人。 売れっ子芸者、お袖との仲も円満で順風満帆のはずだったが、事件の聞き込みで
致命的な失敗をし、協力者の女を死なせてしまう。 お袖との仲もこじれ、篠崎の家に居候しな
がら、新しい生き方を探り、盟友、杵蔵の命を狙う謎の美女の行方を追う。
新しい身の立て方を見つけ、お袖との仲も修復した瓢六は、ついに事件の核心に近づく、、、。
もともと好きな作家ではあるけれど、このシリーズも出色の出来。 次作も楽しみ。
シリーズ第一作のブックレビューはコチラ。  第二作のブックレビューはコチラ
オススメ度:8.1

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