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読書感想文2016 part 4
「読書感想文2016」 part4は、7月〜8月の読書録です。
↓ Click NOVEL mark !
くちびるに歌を (中田 永一著、小学館文庫)
作品の紹介
長崎県五島列島の中学校の合唱部顧問、柏木ユリは中学校の同級生、松山ハルコが産休の
1年間の期限付きで故郷に音楽教師として帰ってきた。 それまで合唱部は女子のみだったが、
柏木の美貌に魅せられ、男子部員が7人も入部。 しかし、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)
まで3か月しか残されていないにも関わらず、練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員
の対立が激化する。 一方で、柏木は、Nコンの課題曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、
15年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を出す、、、。 ハルコの出産が近づく
中、いよいよNコン長崎県予選を迎える、、、、、、。
多感な中学生たちの秘密、悩み、恋を交えながら、Nコンまでの道のりを巧みに綴った感動作。
お決まりのハッピーエンドではなく、もうひとつのハッピーエンドに涙腺が緩むこと必至。
著者の中田永一さんは、乙一さんの別名義。
2012年「本屋大賞」4位。 2015年映画化。 オススメ度:8.6
ペンギン・ハイウェイ (森見 登美彦著、角川文庫)
作品の紹介
アオヤマ君は研究好きの小学校四年生。 毎日、研究ノートに記録することに余念がない。
そして、かかりつけの歯科医のお姉さんが大のお気に入り。
ある日、アオヤマ君の街に突然ペンギンたちが現れ、次々と不思議なことが起こる。
さらに、お姉さんの不思議な力が一連のできごとに関わっていることがわかり、同級生の
ウチダ君とハマモトさんとともに共同研究を始める、、、、、、。
和風のイメージが強い著者のいつもの作品とは少し違うテイスト。 独特の世界観と波長が
合えば、かなり高評価となるのでは。
2010年「日本SF大賞」受賞作。 オススメ度:8.1
ホルモー六景 (万城目 学著、角川文庫)
作品の紹介
名作「鴨川ホルモー」の続編。 計6編を収録したオムニバス短編集。
「ホルモー」とは、1チーム10人の学生が、各自100匹の小鬼を操り戦う競技の名前。
京大をはじめ京都の4大学が毎年、ホーム&アウェーのリーグ戦を戦う。
本作は、ホルモーに青春を捧げる4大学の学生たちの過去と後日譚を描いた作品。
時空を越えたスケールの大きな?作品も3編収録されていて、こじんまりとしたスピン
オフ作品になっていないところがグッド。 これも著者の才能なのかと感心。
シリーズ第一作のブックレビューはコチラ。
オススメ度:8.3
握る男 (原 宏一著、角川文庫)
作品の紹介
昭和56年、両国の鮨屋「つかさ鮨」に21歳の金森と16歳の「ゲソ」こと徳武が半年違いで
弟子入りする。 ゲソは持ち前の話術と器用さでぐんぐん頭角を現し、店を牛耳ったばかりか、
「鮨ゲソ」のチェーン店を成功させる。 5歳年上で兄弟子の金森は、いつのまにか、ゲソの
ペースに巻き込まれ、番頭としてゲソを支え続ける。
その後も快進撃を続け、ゲソは卸売りから飲食店まで、日本の「食」の50%以上を傘下に
おさめる。 しかし、やがて、恐怖政治を敷く暴君に変貌していく、、、、、。
冒頭からぐいぐい引き込まれるリーダビリティーばつぐんの異色の食小説。
せつなくてしんみりとしたラストは必然の結果か。 オススメ度:8.3
天下り酒場 (原 宏一著、祥伝社文庫)
作品の紹介
表題作を含む計6編を収録した短編小説集。
県庁を退職した役人に居酒屋を乗っ取られる話。 コネ入社で入社した若手サラリーマンが
ヒマにあかせて資格をとりまくり芸能界デビューする話。 倒産した歯科医が始める歯磨き
専門サービス。 一見ありえない話をドライブ感たっぷりに展開していく筆力はさすが。
オススメ度:8.1
at Home (本多 孝好著、角川文庫)
作品の紹介
表題作を含む計4編を収録した短編小説集。
父は泥棒。 母は結婚詐欺師。 長男は偽パスポートづくり。 そして、中学生の妹と
小学生の弟。 全員の血がつがらない家族が織りなす泣かせる家族模様を描いた表題作。
他の三作も、ちょっと変わった家族のカタチを描いた、心に沁みいる作品。
オススメ度:8.3
旅屋おかえり (原田 マハ著、集英社文庫)
作品の紹介
売れない元アイドルタレント「おかえり」こと岡えりか、32歳。 スポンサーの名前を
まちがえるというミスで唯一のテレビのレギュラー番組「ちょびっ旅」を打ち切られる。
ちょっとした偶然で彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする「旅代理業」だった。
最初の仕事で大成功をおさめたおかえりは、その後も、依頼人や旅で出会った人々を
次々に笑顔に変えていく。 旅代理業を始めた半年後、おかえりに仕事を依頼したのは
「ちょびっ旅」のスポンサー企業の会長だった。 しかし、この依頼は、おかえりの事務所
の社長のつらい過去と向き合わなければいけない苦難の旅だった、、、、、、。
まず着想のよさに惹かれ、次にテンポのよさに惹かれる作品。 主人公の人物造形も秀逸。
おかえりを支える脇役たちの描き方もグッド。 他の作品も読みたい作家です。
オススメ度:8.2
書店ガール 2 (碧野 圭著、PHP文芸文庫)
作品の紹介
人気シリーズの第二作。
たたき上げの書店員の理子、42歳。 お嬢様で新婚の書店員の亜紀、27歳。
同じ書店で上司と部下として働く二人は対立することもあったが、お互いを認め合うように
なる。 しかし、二人が勤める書店が閉店することに、、、。 とここまでが第一巻。
理子は、吉祥寺に出店する大手書店チェーンの店長にスカウトされ、亜紀や他の仲間たちと
転職。 副店長の田代の献身的なサポートもあり、順調に売り上げを伸ばす。
一方、念願の文芸担当として活躍する亜紀が妊娠。 長期の育児休暇を主張する夫との意見
の食い違いがピークに。 追い打ちをかけるように夫が編集長をつとめるコミック誌が回収と
なり、夫は編集の現場から外されてしまう、、、。
理子は妻子ある田代から告白されるが、田代の異動が決まる。 亜紀の産休、田代の異動の
前に理子は大掛かりなフェアを仕掛ける、、、、、。
第一作に続き、書店員の喜びや悩みをリアルに描いた佳作。 著者の綿密な取材の成果が
随所にあらわれています。
シリーズ第一作のブックレビューはコチラ。
オススメ度:8.2
思い出のとき修理します 3 (谷 瑞恵著、集英社文庫)
作品の紹介
人気シリーズの第三作。 計4編を収録した連作短編集。
明里(あかり)は28歳の美容師。 シャッター商店街で時計の修理の店を営む秀司という
恋人ができ、幸せをかみしめる毎日。 そんな二人が思い出を取り戻したい人たちのために
懸命にはたらく、心に沁みいるストーリー。 いつもながらの安定感。
シリーズ第一作のブックレビューはコチラ。
第二作のブックレビューはコチラ。
オススメ度:8.1
珈琲店タレーランの事件簿 3 (岡崎 琢磨著、宝島社文庫)
作品の紹介
京都の珈琲店「タレーラン」を舞台にした人気シリーズの第三作。
今回は「関西バリスタコンペティション」に出場することになった主人公、切間 美星
(きりま みほし)が、大会で次々と起こる事件の謎解きに挑むというストーリー。
過去二作よりもミステリー色が強いものの、事件が陰湿で終始曇り空のような展開。
この作品は、個人的には過去二作のようなライトミステリーの世界観がいいかも。
シリーズ第一作のブックレビューはコチラ。
第二作のブックレビューはコチラ。
オススメ度:8
ビブリア古書堂の事件手帖 6 (三上 延著、メディアワークス文庫)
作品の紹介
北鎌倉の古本屋、ビブリア古書堂を舞台にした大人気の古書ミステリー。
かつて太宰治の「晩年」の稀覯本を奪うため、栞子に大けがをおわせた青年、田中が
再び栞子と五浦の前に現れる。 保釈中の田中は二人に、彼の祖父が所蔵していた
別の「晩年」を捜してほしいという依頼をする。
捜索を進めるうちに、栞子と五浦は驚くべき事実に辿り着く。 47年前にあった太宰の
稀覯本を巡る盗難事件に栞子の祖父と大輔の祖母が関わっていた、、、。
一巻まるごと太宰でまとめた力作。 ミステリーとしても一級品だけれど、人間の業とか
性(さが)の怖さ、醜さの描き方も秀逸。 主人公の二人も恋人同士になり、シリーズも
いよいよ終盤にさしかかってきた印象。
シリーズ第一作のブックレビューはコチラ。
第二作のブックレビューはコチラ。
第三作のブックレビューはコチラ。
第四作のブックレビューはコチラ。
第五作のブックレビューはコチラ。
オススメ度:8.3
スイングアウト・ブラザーズ (石田 衣良著、光文社文庫)
作品の紹介
大学卒業から11年、ほぼ同時に彼女に振られた同級生三人組。 オタク、若ハゲ、デブの
32歳の3人は、大学時代のあこがれの先輩、河島美紗子から声をかけられる。
3人は、美紗子が経営するエステティックサロンで始めるモテ男講座第一期特待生になり、
一年にわたり、特訓を受けることになった。 肌の手入れ、スーツの選び方、女性への声の
かけ方、本の選び方など、内面も外面もランクアップをめざすレッスンに耐え抜き、徐々に
変わっていく男たち。 そして、運命の卒業試験の日を迎える、、、、、、。
独身男性の悩みを著者らしい軽快なタッチで巧みに描いた作品。 小説としてはおもしろ
かったけど、婚活準備としては、ちょっと痛いかな、という印象。 オススメ度:7.8
恋する組長 (笹本 稜平著、光文社文庫)
作品の紹介
地方都市の探偵を主人公にした連作短編集。 計6編を収録。
収入源は地元のやくざから請け負う仕事。 ハードボイルドに決めたいが、お人よしで
ツメが甘い。 そんな探偵の奮闘ぶりをユーモラスに描いた佳作。 洒脱なテイストをも
モノにする著者の筆力はさすが。 オススメ度:8.1
家族の見える場所 (森 浩美著、双葉文庫)
作品の紹介
著者の代表作「家族」シリーズの第7作。 計8編を収録した短編小説集。
家族のちょっとした瞬間や想いを上手に切り取り、そのたいせつさを描いた佳作。
このシリーズは、いつもながらの安定感。 オススメ度:7.8
妖怪探偵・百目 1 (上田 早夕里著、光文社文庫)
作品の紹介
計5編を収録。 連作短編集の体裁をとった作品。 全3巻の第一作。
妖怪と人間が共生する「真朱の街」。 美女の姿をしているが、全身に百の目を持つ妖怪、
百目。 彼女は妖怪がからむ事件を専門とする探偵事務所を開いている。 彼女の助手を
つとめるのは相良邦雄。 人間社会に絶望して真朱の街に流れ着いた。 百目の力を借り
なければならないときは、その代償として少しの寿命を差し出す契約を取り交わしている。
百目と相良のコンビは、百目の気の向くままに受けた事件解決に立ち向かう、、、。
前半の3編は、実力派の著者が軽いタッチで仕上げた作品。 百目と相良、そして妖怪と街
の紹介にページを割いている印象。 しかし、後半2編は、シリアスな内容となり、第5編で
登場する、妖怪の敵、播磨遼太郎と強敵の妖怪、濁は、第二作以降の鍵を握りそうな予感。
オススメ度:8
すかたん (朝井 まかて著、講談社文庫)
作品の紹介
武士である夫の赴任先、大坂にともに移り住んだ知里。 しかし、夫は流行り病で急死。
江戸の実家に戻ることもできず、大坂の青物問屋で奥女中として働き始める。
戸惑いながらも、次第に大坂の文化、そして青物の魅力に目覚めていく知里。
やがて、遊び人だが心根のまっすぐな若旦那、清太郎の野菜への純粋な想いを知り、惹かれていく。
しかし、清太郎は農家の味方をしたことが大きな波紋を呼び、窮地に立たされる、、、。
著者の作品を読むのはこれで4作目ですが、いつもながら安定感ばつぐん。
大坂の人情ものをもっと読みたい気分にさせてくれる作品。 オススメ度:8.1
雷電本紀 (飯嶋 和一著、小学館文庫)
作品の紹介
十八世紀後半の江戸の相撲界に突如として現れた無敵の力士、雷電。
その強さ、破壊力は今までの常識を覆す次元のものだった。
44歳で引退するまで、通算254勝10敗。 圧倒的な強さを持つ男ゆえの
苦悩もあったが、鉄物問屋、鍵屋の主人、助五郎という最大の理解者にして
生涯の友を得る。 しかし、晩年に思わぬ苦難が待ち受けていた、、、。
実在する伝説の力士、雷電を緻密な時代考証をもとにドラマティックに描いた一作。
物語のラストは少しせつないものがありましたが、雷電の人としての正しさ、友を思う
一途な心根、そして、それに応える助五郎の心意気は、心打つこと必至。
ただ、本好きでないと、完読は少しつらいかも。 オススメ度:8.2
破軍の星 (北方 謙三著、集英社文庫)
作品の紹介
鎌倉幕府が倒れ、建武の新政で後醍醐天皇の命によりわずか16歳で陸奥守として
北畠顕家は奥州に赴く。 顕家はまたたく間に人心を掌握し、戦に勝利し、奥州を
まとめあげる。 さらに軍勢を率いて京に上り、盟友、楠正成とともに足利尊氏と
戦い、勝利をおさめ、奥州に凱旋する。 しかし、九州で再び勢力を回復した尊氏を
倒すため、再び京に向けて進軍する、、、、、、。
天皇の無能な廷臣たちの命令、肝心なところで詰めの甘い新田義貞の戦いに翻弄され
ながらも、矜持を捨てず、凜として自らの生きざまを貫いた男の生涯を描いた佳作。
1991年「柴田錬三郎賞」受賞作。 オススメ度:8.3
陰陽師 酔月ノ巻 (夢枕 漠著、文春文庫)
作品の紹介
ロングセラーの人気シリーズの第12作。 計9編を収録。
いつもながらの安定感。 佳作の短編がずらり。 オススメ度:8
姫は、三十一 4 (風野 真知雄著、角川文庫)
作品の紹介
平戸藩の元藩主、松浦静山の娘、静湖を主人公にした人気シリーズの第四作。
静湖(せいこ)姫は、才色兼備ながら、縁談の相手が病気になったり、事故にあったりで、
二十四を最後に縁談が途絶えている。 しかし、今年は「三十八万四千年に一度のモテ年」
と予言され、旗本、役者、同心、学者、戯作者、商人が次々と彼女に好意を寄せるが、、、。
本作はひとつの事件にフォーカスした構成。 けど、肝心のミステリー部分がちょっともの
たりなかったかも、、、。
シリーズ第一作のブックレビューはこちら
第二作のブックレビューはこちら
第三作のブックレビューはこちら
オススメ度:7.5
姫は、三十一 5 (風野 真知雄著、角川文庫)
作品の紹介
平戸藩の元藩主、松浦静山の娘、静湖を主人公にした人気シリーズの第五作。
前作に続き、恋愛の話もなく、ミステリーもやや物足りず。 オススメ度:7.5
姫は、三十一 6 (風野 真知雄著、角川文庫)
作品の紹介
平戸藩の元藩主、松浦静山の娘、静湖を主人公にした人気シリーズの第六作。
終盤、静湖に想いを寄せる男たちが次々と去っていく、、、。 オススメ度:7.6
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